今回は、東京都世田谷区を中心に活動をしている、NPO法人 日本動物生命尊重の会 アリスさんを取材しました。
今回取材した方
今回取材したのは、「NPO法人 日本動物生命尊重の会 アリス」の「金木洋子」さんです。現在は、保護団体の代表を降りて、相談役をしているそうです。物腰が柔らかく、とても話しやすい方でした。
金木さんは、保護活動歴が今年で31年目で、長く活動されています。今までの31年間はあっという間だったとご本人はおっしゃっていました。
活動のきっかけ
保護活動を始める前、金木さんの会社の周りや自宅の周りに子猫が捨てられていました。合計17匹拾ったそうで、そこからが保護活動を始めたきっかけになります。
金木さんはもともとお仕事をされていたので、日中はお仕事をし、夜は子猫のお世話をする日々を送っていました。夜は3時間おきに子猫にミルクを与えなければならないため、睡眠不足で地に足がついていないような感覚だったそうです。でも好きなことだからできていたのではないかとおっしゃっていました。
保護団体について
17匹の子猫を拾ったことから保護団体が始まりましたが、その話には少し続きがあります。
もともとねこちゃんを専門に保護活動を行っていましたが、ある方から一般相談で、保健所にいるわんちゃんをどうにかできないかと連絡がありました。これがきっかけとなり、NPO法人 日本動物生命尊重の会 アリスさんではねこちゃんだけではなく、わんちゃんも保護するようになったそうです。
現状、小型犬を専門に保護する団体が多いですが、日本動物生命尊重の会 アリスさんは大型犬や雑種の犬、病気がちのわんちゃんも保護しています。
動物保護や、虐待、実験動物など様々なことについてアドバイスをくれた方がいたから続けられているとおっしゃっていました。もしかしたら、最初に拾った17匹の子猫が譲渡されていたらやめていたかもとお話ししていました。
スタッフの数や犬猫の数
取材時(2024年2月21日時点)でのスタッフの数は44名で、保護されている犬が25頭、猫が10頭だそう。
スタッフさんは皆さんお仕事をしながら保護活動されているようで、専任で行っている方はいないそうです。スタッフさんは穏やかな人が多く、活動も和やかな雰囲気で行えているそうです。
活動の拠点
活動の拠点は世田谷区です。スタッフのお家でわんちゃんやねこちゃんが過ごすため、決まったシェルターなどはありません。譲渡会やイベントで東京近郊で活動もされているので、ホームページで確認してみてくださいね。
保護活動について
活動内容
日本動物生命尊重の会 アリスさんでは、埼玉県や東京都の保健所の犬猫をレスキューしています。そのレスキューされた犬猫は、預かりスタッフがいるため、預かりスタッフの家で過ごしています。
また、一般相談を受け付けたり、命が危ないわんちゃんねこちゃんも引き取っているそうです。
過去には多頭飼育崩壊の改善にも取り組んでいたそうです。雑種の多頭飼育崩壊は誰も手を付けていないため、進んで着手していたそうです。
活動をしていてうれしかったこと
保護活動をしていてうれしかったことは、命の危険があるわんちゃんや、不幸なわんちゃんが、幸せそうな顔をしてくれた時だそうです。
保護するわんちゃんは、柵や檻に繋がれっぱなしで、粗悪なドックフードを食べていることが多く、とても可哀想なわんちゃんが多いそうです。中には怪我を放置されてしまっていたり、虐待を受けていたわんちゃんもいるそう。
そんなわんちゃんたちが一緒に暮らしていく中で、心を開いてくれたり、噛まなくなったり、目が優しくなる瞬間は本当にうれしいそうです。
活動をしていて大変だったこと
金木さんは活動をしていて大変だったことはほとんどないとおっしゃいました。それは、メンバーと一緒に活動することが楽しく、保護したわんちゃんたちが段々と元気になり、穏やかな顔になっていくのがうれしいからと語っていました。メンバー全員が穏やかだから続けられているとおっしゃっていました。
活動をするうえで大切にしていること
活動をするうえで大切にしていることは、「品性」を保つことだそうです。
譲渡会などのイベントでも女性はジャケット、男性はブレザーを羽織り活動しているそうです。団体のイメージアップにつながるだけではなく、わんちゃんねこちゃんの印象もよくなるとおっしゃっていました。
また、他の団体と友好的に接することも大切にしているそうです。
これからについて
ボランティアを始めたい人に向けて
いろいろな施設に行ってみるのがいいとおっしゃっていました。また、譲渡会に参加すれば雰囲気も大体掴めるそうです。自分に合うところが見つかるそうですよ。
今後について
今後の目標を3つ教えていただきました。
シェルターの設立
現在、元猟犬の野良犬や虐待されてしまっているわんちゃんが増えているそうです。そういうわんちゃんたちを保護したいけれど、スタッフの数が間に合わず、引き取りを断念することもしばしばあるそうです。それを解決するために、保護犬専用のシェルターが欲しいとお話しされていました。
アニマルポリスの導入
海外のようにアニマルポリスを日本にも導入してほしいとおっしゃっていました。アニマルポリスとは主にアメリカやイギリスで取り入れられている制度で、動物殺傷や遺棄、ネグレクトなど、動物虐待に対応する専門機関になります。日本ではまだ取り入れられていないもので、金木さんはこのアニマルポリスを取り入れられたらいいなとお話ししていました。
飼育方法の平面化
さらに、動物に対する扱いも全国的に平面化するべきだとおっしゃっていました。活動をする中で、まだまだ地方では外でわんちゃんを飼育している家庭が多いとお話ししていました。外飼いは気温や音、環境などの影響でストレスが溜まりやすいです。愛玩動物という認識より、番犬の認識が強いため、そこを改善して、室内飼育をしてほしいとおっしゃっていました。
協力できること
動物保護活動で協力できることとして、保護団体に入り活動を行ったりすることも立派な協力になりますが、物資を送ったり、預かりスタッフの必要性、早めの相談、SNSでの拡散も力になるそうです。もし忙しくて保護活動に参加できない場合は、こういった方法で協力することもおすすめです。