【動物保護団体インタビュー】NPO法人ねこひげハウスさんを取材しました!

ねこひげハウス4

今回は、埼玉県八潮市を中心に活動をしている、NPO法人ねこひげハウスさんを取材しました。

今回取材した方

石川様
今回取材をした方はNPO法人ねこひげハウスさんの石川砂美子さんです。石川さんはねこひげハウスの代表理事を務めています。

活動歴は約12年と大変長く活動されています。この12年は中身が濃く、体力面、精神面で勝負だったとお話しされていました。

活動のきっかけ

石川さんが保護活動を始めたきっかけは、多頭飼育崩壊を起こしている飼い主さんとの出会いでした。現ねこひげハウスのシェルターはもともと多頭飼育崩壊を起こしていた飼い主さんの家です。その飼い主さんとは動物病院の待合室で知り合ったそうです。

その方はアニマルホーダーの方で、当時いたねこちゃんの数は成猫や幼猫合わせて170匹ほどだったそうです。動物福祉が守られておらず、飼育環境も最悪、不衛生で臭いもすごかったそうです。そこからお手伝いを始めたのが保護活動を始めるきっかけになったそうです。石川さんはもともと猫が好きなごく普通の一般人でした。

アニマルホーダーとは?
アニマルホーダーとは劣悪多頭飼育者のことを言います。「ホーダー」とはゴミや物を捨てられずに集めてしまう精神的病理のある人に対して使用される用語です。これが劣悪多頭飼育者にあてはめられて、アニマルホーダーと呼ばれるようになりました。周りに言われても手放さない、家の中がどんなに汚くても幸せだろうと思ってしまうそうです。

保護団体について

ねこひげハウス

保護団体設立の経緯

石川さんは、活動のきっかけとなったアニマルホーダーに関わったことで、動物福祉や保護活動について勉強し始めました。また、保護団体の先輩にコンタクトを取り、自分にできることはないかと相談しました。先輩からのアドバイスを参考にしてねこひげハウス(現団体)を作ったそうです。

最初は任意団体でしたが、飼い主さんから信頼を得るためにNPO法人にした経緯があります。アニマルホーダーの方から最初の1匹を保護するのに4年かかったそうです。

スタッフの数や犬猫の数

ねこひげハウスのスタッフの数は、49人です。分野別でボランティアさんがいるそうで、施設を回しているボランティアさんは27人だそうです。みなさん、仕事やお家のことがあるため、シフト制で活動しています。

保護されているねこちゃんの数は127匹(2024年3月現在)で、高齢猫や傷病猫をメインに保護されているため、新メンバーが増えたり、卒業したりと数は変動しているそうです。また、わんちゃんも2匹保護されています。

直近での数も教えていただきました。
2023年の1月~12月では猫の保護数が38匹、譲渡数が18匹、亡くなったねこちゃんが21匹だそうです。死亡数が多いのは、シニア層の猫や傷病猫、重症の猫を多く保護している関係で多いそうです。

活動の拠点

活動の拠点は、埼玉県八潮市を中心とした近郊エリアに対応しています。譲渡会なども開催されているので、公式HPでチェックしてみましょう。

保護活動について

ねこひげハウス譲渡会

活動内容

主な活動内容は保護シェルターの運営、譲渡会、チャリティー販売です。

ねこひげハウスでは主に行き場に困っている成猫たちや怪我をしているねこちゃんを中心に保護しています。その影響で、看取りや看病、介護が多いようです。石川さんは、その見取りや看病をしてきた経験を無駄にしたくないという気持ちがあるそうで、あえて行き場のない子たちを保護しているそうです。その結果、ねこちゃんだけではなく、他の団体さんにも役に立てるのではないかとおっしゃっていました。

譲渡会は月に2回開催し、猫グッズなどのチャリティー販売も行っています。

活動をしていてうれしかったこと

活動をしていてうれしかったことは、1番に素敵な縁があって里親さんのところでねこちゃんが幸せに暮らしてくれることだそうです。

また、応援やささえてくれる支援者さん、ボランティアさんがいることもうれしいことの1つだそうです。

活動をしていて大変だったこと

毎日百数十匹、1匹1匹お世話をするため、常に大変だとおっしゃっていました。しかしやりがいもあるそうです。実際に取材をした際に、健康そうなねこちゃんもいれば、脚が欠損していたり、毛並みが悪いねこちゃんもいました。1匹1匹に合ったお世話が必要なのだと取材をしていて感じました。

緊急のレスキューも大変なことの1つだそうです。1日のスケジュールが崩れてしまうそうで、かなり大変だとおっしゃっていました。また、看取りも多く、看取りが複数重なったり、終末期ケアが必要な場合、1日中時間関係なく体力勝負で大変だとおっしゃっていました。

活動をするうえで大切にしていること

活動をするうえで大切にしていることは、「動物愛護」というものを忘れずに活動していくことだそうです。

ねこひげハウスはねこちゃんの数も多いため、シェルターメディスンを基準として保護活動、飼育を行っていますが、1匹1匹と向き合ってお世話することを大切にしているそうです。また、動物愛護だけではなく、動物福祉も守るように心がけているようです。

シェルターメディスンとは?(日本シェルターメディスン学会より)
動物収容施設に関わる伴侶動物の群管理に関わる獣医療のことを指します。

保護猫の魅力

保護猫は性格や行動、好き嫌いがしっかりと把握されているため、里親希望者様のご希望や生活に合ったねこちゃんを迎え入れやすいそうです。また、スタッフさんによる飼育に関するサポートも充実しているため、不安ごとを解消できます。

飼育に不安がある場合は、ペットショップよりも保護団体から迎え入れるのも1つの選択肢ですよ。

これからについて

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ボランティアを始めたい人に向けて

勇気をもって門戸をたたいてほしいという想いがあるようです。やらない善よりもやる偽善からでもいい、行動を起こすことが大切とおっしゃっていました。

実際に活動するのは緊張するという方は、まずは情報の拡散や情報収集など自分にできることからはじめてみましょう。

今後について

保護施設の環境をよりよくするために引越する予定があります。引っ越し先はケア、介護、入院設備が充実しています。そのため、重症のねこちゃんや、他では受け入れが難しいねこちゃんを救うことができます。

また、施設を開拓していけたらいいなと考えているそうです。さらに、いずれなにか事業を立ち上げたい考えているそうです。

石川さんの想い

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アニマルホーダー

全国でもたくさん事例があり、根深い問題だと思っているそうです。もっとアニマルホーダーのことを知ってもらいたいという気持ちがあるそうです。

また、海外では日本と異なりアニマルホーダーを精神疾患として扱っているそうです。日本ではまだまだ対応が追い付いておらず、アニマルホーダーの患者さんを診ることができるお医者さんがいないのが現状です。

アニマルホーダーは表に出てくることもあまりなく、見えないところで発生しています。1人1人が注意を向けることで、多く劣悪な環境で生きているわんちゃん、ねこちゃんを1匹でも多く救うことができるかもしれません。

ボランティア、寄付について

日本はまだまだボランティアや寄付精神が遅れているため、もっと積極的になることが必要だと感じているそうです。

海外では生活に困窮している方などには寄付を行う文化が根付いているそうです。動物保護だけではなく、様々なボランティアや寄付に積極的にかかわれるようになれたらいいですね。

高齢者のペット問題

高齢者の飼い主さんが病気などが悪化しても誰にも頼ることもできず、わんちゃん、ねこちゃんにごはんやお水を与えることができずに放置してしまう現状があるようです。

自分に何かあったときに託せる人を探すか、親族に頼んでおくことが大切だそうです。また、ペット信託などを利用するのも1つの方法として挙げていました。

それでも不安な場合は、手放す勇気を持ってほしいそうです。

動物保護団体は、保護できる数に限りはありますが、どうしてもという場合は保護を受け付けている場合があります。しかし、動物保護団体が引き取ってくれるから大丈夫という考えはしてはいけません。最終手段として考えましょう。

石川さんは家族として飼われている犬猫が路頭に迷わないようにしてほしいと願っています。

NPO法人ねこひげハウスさんの情報

ホームページ https://nekohigehouse.org/
Instagram https://www.instagram.com/nekohigehouse/
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