犬の膵炎、原因と症状、治療まとめ。手術費用や術後、食事は?対策できる?

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愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。2024年にはペット栄養管理士の資格も取得。

愛犬が突然食欲がなくなってしまったり、嘔吐や下痢に見舞われたら心配ですよね。もしかしたらそれは、膵炎かもしれません。

膵炎とは、膵液が逆流し、膵臓を傷つけることによって起こる病気です。膵液が逆流するのは、腫瘍や異物などで膵管が詰まったときや、激しい嘔吐が続いたときで、人間と同じように、犬も膵炎にかかることがあるのです。

特に、中年齢のメス犬や肥満体、高脂血症の犬だと発症するリスクが高いので、日頃から注意が必要です。

注意って言っても何をしてあげればいいの?
膵炎について詳しく知りたい
日頃のケアで回避できる?

おそらくこのページを見ている方は、愛犬の異変について調べていてここまでたどり着いたかと思います。そうなるとこのような疑問を抱えているでしょう。

この記事では、膵炎の原因や症状から治療、手術関連の情報についてまとめています。他にもおすすめのドッグフードについても紹介しています。

これらの情報で少しでも不安を取り除くことができれば幸いです。ぜひ愛犬の健康にお役立てください。

 

犬の膵炎とは?

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犬の膵炎とは、膵臓が自ら作り出した膵液によって消化されることで炎症を起こす病気です。

急性の膵炎は強い腹痛を伴うため、犬が背中を丸めてお腹を抱えるような姿勢をしたり、後ろ足を立てたまま前足と胸を地面につけるような姿勢を取ることがあります。

急性膵炎から慢性膵炎になることがあり、犬では慢性再発性膵炎といいます。頻繁に急性膵炎を再発することが多いです。

膵臓の働き

膵臓は、胃の背中側にある臓器です。

血糖値を上下させるなどの働きを持つホルモンを分泌する内分泌機能と、消化酵素である膵液を分泌する外分泌機能を担っています。

 

犬の膵炎、症状は?

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犬の膵炎には、「急性膵炎」と「慢性膵炎」の2つがあります。

急性膵炎

主な症状は「よだれ」「嘔吐」「下痢」「食欲不振」「激しい腹痛」などですが、重症になると「消化管出血」「黄疸」「発熱」などもみられるようになります。

重篤になると、多機能不全に陥り死に至ることもありますよ。

 

慢性膵炎

急性膵炎は突発的な激しい症状がみられることが特徴的ですが、慢性膵炎は「嘔吐」「下痢」「体重減少」「食欲不振」「脱水症状」などの他の消化器系疾患とは区別しづらい症状がみられます。

悪化すると低体温や黄疸(目の白目の部分が黄色っぽくなる)などの症状が出たり、糖尿病を発症することもあります。膵臓はインスリンという血糖値を下げるホルモンを分泌する重要な臓器です。慢性膵炎では膵臓の機能が落ち、インスリンが分泌されないことによって糖尿病にもなる可能性があるため注意が必要です。

また、激しい炎症によって暴走した体内の免疫機能が血液を固めようと働くことで体内に無数の血栓ができるようにもなります。

この血栓によってショック状態に陥ったり臓器内の細い血管に詰まったりすることで様々な臓器が傷つけられるため死に至ることもあります。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
血栓は血液成分の固まりで、血管を塞いで血液の流れを止めてしまいます。血液には酸素や栄養素が含まれており、血栓によって各臓器に酸素や栄養が送り届けられない状態に陥ります。血栓症になるとチアノーゼ(酸素不足による色調の変化)などが起こります。チアノーゼになると口の粘膜が紫色になります。

犬の膵炎、原因は?

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膵炎の原因

食事
ホルモンの病気
ストレス

発症原因は食事で、脂肪が多く含まれている食事は膵炎を引き起こしやすいとされています。高脂質の食べものを食べ続けることで肥満になり、膵炎にかかることが多いですね。

そのほか、特定の犬種、ホルモンの病気(クッシング症候群、甲状腺機能低下症、糖尿病)、ストレス、抗がん剤や農薬などの薬剤、去勢手術をしたことがある場合も発症に影響するといわれています。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
去勢手術後は肥満になりやすい傾向があります。原因はホルモンバランスの変化で、 繁殖のために必要な性ホルモンが少なくなるので、去勢前と比べると1日に必要なカロリーが下がります。去勢後はご飯の見直しが必要になります。

膵炎の診断・治療方法は?

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診断方法

まず、食事内容や嘔吐の様子などを問診します。

膵炎の特徴的な症状が確認できたら、血液検査や血液化学検査で膵酵素量を測定します。併せて超音波検査とレントゲン検査を用いての他の消化器疾患との区別も行います。

治療方法

症状や病院によって異なりますが、一般的には輸液を行いながら、嘔吐を抑える薬や鎮痛剤、抗生剤を投与します。

また、膵臓の酵素の活性化を抑えるため、タンパク分解酵素阻害剤の投与をしながらチューブでの低脂肪・低たんぱく食の栄養補給、短期間の絶食も併せて行います。治療は主に入院治療となり、期間は症状にもよりますが1週間前後を目安と考えてください。

手術費用について

腫瘍による急性膵炎であれば手術が必要な場合もあります。手術費用は病院によって異なりますが、10〜15万円ほどの病院が多いようです。手術費用とは別に入院費用として1日6000円〜1万円ほどかかります。

膵炎にかかってからでは遅いですが、病気に備えてペット保険に入っておくと安心ですね。

術後の対応

基本的に手術後は、検査の結果が問題なければすぐに退院できます。

膵炎にかかった犬は、食事を気をつける必要があり一定期間は薬を飲むことになりますよ。獣医の指示に従い、ケアをしてあげましょう。

手術後はいつもとうんちが違うこともあります。普段とは柔らかさや色が異なるうんちが数週間〜1ヶ月ほど続くようであれば、再度獣医に相談をしましょう。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
ブリストルスケールというものを見てみると正常なうんちかを判断することができます。インターネットで調べてみましょう。普段の健康管理にも役に立ちますよ。

犬の膵炎、食事は?

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膵臓に負担をかけないよう、脂肪分の少ない栄養バランスの取れた食生活を持続させることが基本となります。植物油、バター、動物性の脂など、脂肪分の多い食品の摂取量を最小限に抑えてください。

膵炎は糖尿病を引き起こす可能性もあるので、糖分の摂取量も注意が必要です。カボチャやトウモロコシ、果物、白米以外の炭水化物類を与えすぎないようにしましょう。

オススメの食材は、鶏肉やジャガイモ、低脂肪チーズ、キャベツ、ブロッコリー、適量の白米です。水分を多めにとらせたり、消化されやすいよう室温と同じくらいの温度で出してあげたりすることも重要ですよ。

急性膵炎の場合は獣医と相談し、数週間ほど脂肪分の少ない食事を与えましょう。慢性の場合はずっと脂肪分の少ない食事が必要で、併せてサプリなどでカルシウムも取らせてあげましょうね。

 

膵炎になりやすい犬種は?

ヨークシャテリア

遺伝的素因として上げられる犬種は以下の通りです。

・ミニチュアシュナウザー
・ヨークシャーテリア
・コッカースパニエル
・コリー
・ボクサー

これらの犬種は膵炎を発症するリスクが高いと言われています。しかし、膵炎は高脂肪の食事や肥満などによっても発症する病気です。

そのため、すべての犬種で注意が必要だといえます。

 

膵炎は対策できる?

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膵炎は珍しい病気ではないものの、重症化して死に至る病気です。そのため、毎日の食事をきちんと管理してあげましょう。

人間が食べる味の濃いものを与えていたり、脂質の高いおやつを過剰に与えないようにすることが何より大切です。それらを気をつけていれば、太りすぎる心配もなく、膵炎以外の病気のリスクも減らすことができます。

食事をメインに体重管理をしてあげ、定期的に健康診断をすることをおすすめします。早期発見ができれば、重症化する前に完治することも可能な病気です。

愛犬の健康はバランスの良い食事を心がけることで、守ることができるのです。今が健康だからといって慢心するのではなく、日頃の食事のケアに気をつけてあげてくださいね。

毎日の食事で愛犬の健康を守ろう!

膵炎は日々の食事から発症する病気ということもあり、とても身近な病気です。しかしその分、毎日の食事から予防することができる病気でもある、ということです。

わたしたちが健康のために食事管理をするのと同じように、愛犬の食事もきちんと管理することで、太りすぎず痩せすぎない、健康的な体型をキープさせてあげましょう。

また、運動することも健康には欠かせません。食事と運動で、愛犬との生活を楽しいものにしたいですね。

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