今回は、神奈川県横浜市を中心に活動をしている、神奈川コパンさんを取材しました。
今回取材した方
今回取材したのは、「神奈川コパン」の「安濃直樹」さんです。保護団体の代表を務めています。実は安濃さん自身も編集・ライターをしており、過去には動物愛護管理センターや動物愛護団体の取材も行っていたそうですよ。
保護活動歴
安濃さんは個人で活動をしていた時期を含めて保護活動歴は15年は超えています。
現在は神奈川県在住ですが、以前、徳島県に住んでいらしたときに、地元の動物保護団体さんのボランティア活動に数か月に1回参加していたそうです。
徳島県でボランティアを始めてから2021年までは現在よりも活動頻度はそこまで多くありませんでしたが、2021年から本格的に犬の保護活動を始めました。
活動のきっかけ
2つきっかけを教えていただきました。
安濃さんは過去に動物愛護管理センターに取材に行ったことがあるそうです。動物愛護管理センターでは、収容されている動物だけでなく、“ドリーム号”と呼ばれる殺処分用の設備を目の当たりにして「自分にできることをやりたい」という気持ちになり、そこから動物保護団体でボランティアを始めました。
また、ボランティアに行った先の保護団体では生活を犠牲にしてまで活動をしている人たちがたくさんいて、その状況に危機感を感じたこともきっかけの1つだそうです。安濃さんのお知り合いには多頭飼育崩壊を起こしたり、ボランティア活動に対してキャパオーバーになってしまった方がいたそうで、そういった方たちに問題を抱え込ませたくないともお話しされていました。
団体の代表になるときのお話
安濃さんは2023年に、活動歴が15年を数えていた動物保護団体「神奈川コパン」を継承という形で代表に就任されました。ただその当時は、わくわく感と不安感の2つがあったそうです。
現在、神奈川コパンは、安濃さんとその奥さんが中心になって運営していますが、お二人ともフルタイムでお仕事をされています。多くの動物保護団体の代表は動物保護活動を専属で行えていますが、それは難しいとのことでした。
団体の代表になる決め手について
団体を継ぐ直前、高齢犬の里親探しに難航していたそうで、その際に、「情報発信」の重要性を感じたそうです。
高齢犬や高齢猫は里親が見つかりにくいという難点があります。そんな中、Twitter(現X)での情報発信を開始。その結果、8か月後に里親探しに難航していたワンちゃんの里親が見つかったそうです。
この経験から、「神奈川コパン」を引き継いで、特に情報発信に注力し、里親探しをしていきたいと考えたそうです。
今後は発信力を高め、里親が見つかりにくい高齢犬や雑種の子を神奈川コパンでお世話をして、いい里親さんにもらわれるように舵を取っています。
保護団体について
スタッフの数
スタッフの数は、運営者が2名、預かりボランティアが8名、トリミングボランティアが3店舗と個人で1名、送迎ボランティアが2名です。
運営者は安濃さんご夫婦が担っており、現在運営サイドの人手のなさが目立つそうです。
神奈川コパンでは、運営のお二人の家で保護をしたワンちゃんの様子を1週間ほど見てから預かりボランティアさんのお家にいくというシステムを取り入れているそうで、多くても月に2匹ほどしか保護できないのが現状のようです。
そのため、運営を一緒に行ってくれるボランティアさんを募集していますので、気になった方はお問い合わせしてみてください。
犬猫の数
神奈川コパンではワンちゃんが5匹保護されていて、そのうち2匹はトライアルまで決まっている状態です。(取材時:2024年6月21日)(詳しくは公式HPに掲載されているのでチェックしてみましょう!)
ねこちゃんの保護は残念ながら行っていないそう。昨年の秋までは犬の保護団体として活動していたので、ワンちゃんのボランティアさんの応募がほとんどだそうです。
今後はねこちゃんのボランティアさんも募集をして、保護活動をしたいそうです。
活動の拠点
神奈川コパンの活動の拠点は、神奈川県横浜市です。
神奈川県以外でも、過去にお世話になった徳島の保護団体さんや石垣島でレスキューをしたワンちゃんを預かったりしたことがあるそうです。
基本は横浜市にある「横浜市動物愛護センター」から優先的に保護をしています。
保護活動について
活動内容
横浜市動物愛護センターから引き取って、行き場のないわんちゃんに新しい生活の場を、出会いの場を提供しています。
預かりボランティアさんにお世話をお願いして、運営サイドでは広報活動をして新しい出会いにつなげています。
公式ホームページには里親募集をしているワンちゃんの紹介ページがあり、性格など細かく記載されています。
また、預かりボランティアさんにもお願いして積極的にSNSを活用してもらうなど、情報発信には特に注力しているそうです。
活動をしていて嬉しかったこと
保護活動をしていく中で、いろいろなワンちゃんに出会えるのが嬉しいそうです。
また、顔や名前を知らない方たちから支援や寄付をいただくことも多く、そんなときにはぐっとくるそうです。メッセージ付きで支援をしていただくことが多いそうですが、温かい心をもって自分たちを応援してくれるという事実に泣いてしまうこともしばしばあるそうです。
さらに、高齢のワンちゃんの里親さんが見つかったときも嬉しいとおっしゃっていました。シニアの子に手を差し伸べてくれる人がいて、特に「すごく気に入った」「ひとめぼれ」と言ってくれることもあるようで、その時の様子を思い出すように本当に嬉しそうにお話しいただきました。
活動をしていて大変なこと
安濃さんご夫婦は基本的に平日がお仕事で、土日がお休みですが、そのお休みに事務作業や保護犬の通院、お見合い、トライアルなどがあり、とても忙しいそうです。
特に事務作業にはとても苦労されています。過去にボランティアとして活動していた時は周りのスタッフさんが見えないところでたくさん準備をしてくれていたおかげで、不自由なく活動ができていたとおっしゃっていました。そして今自分たちが事務作業を行う立場になり、とても苦労していると同時に過去のスタッフさんに感謝の意を表しておられました。
また、金銭的にも大変だそうです。安濃さんは「寄付だけに頼らないで、資金を作る手段」を確立していくことを考えています。そのため物販なども視野に入れていますが、まだ手が回らないそうです。
「課題は山積しているので、徐々に課題をクリアしていけるように奮闘しています。」と力強くお話しいただきました。
活動をするうえで大切にしていること
活動をするうえで無理をしないことを大切にされています。安濃さんご夫婦お二人が無理をして倒れてしまったりすると、保護できるワンちゃんが引き出せなくなる可能性があります。これでは元も子もないとおっしゃっていました。
体力的にも金銭的にも無理をしないことを大切にされています。
これからについて
ボランティアを始めたい人に向けて
頑張りすぎず、継続できる人が動物保護団体には必要だそうです。
一時の情熱で少しだけかかわることはとても簡単なことです。一時の情熱で2〜3匹保護するのではなく、無理せず長く続けて100匹救う気持ちでボランティアに参加するようにしましょう。
今後について
今後は持続性の高い組織にして、団体の運営を確立させたいそうです。
※動物保護団体が持続性を高めるには、ボランティアさんの力や資金が必要不可欠です。少しでも力になりたいと思った方は公式HPを見てみましょう。
また、「例えば廃校を活用してシェルター化したり…みたいなことも考えていたりします」とも。現在日本では廃校が増えてきている状態なのですが、校舎内には教室もたくさんあるので、ワンちゃん、ねこちゃんを保護するにはうってつけです。
例えば、岡山県に一般社団法人ティアハイム小学校という施設があります。これに倣って、廃校を利用した保護シェルターが増えるといいですね。
最後に、筆者が印象に残った安濃さんの言葉
「動物愛護センターには獣医師が在籍していますが、彼らは動物の命や健康を守るためにその資格を取得したはずです。しかし、殺処分をしなければいけないときがあります。
それは本人も決して望んでいるわけではないはずで、だからこそ私は、犬・猫だけでなく職員さんたちの力にもなりたいと思っています。
センターの方々は動物を保護してしてすぐのお世話や健康管理という、最も辛い役割を担ってくれています。
動物保護団体は、動物を綺麗な状態でセンターから受け取って、お世話が大変なときもありますが、それでも、最後には幸せな里親さんにもらわれるため、幸せを感じる場面が多いですが、センターではそういったことがほとんどないため、センターのスタッフさんにはとても感謝しています。
センターの方々がつなげてくださった命をどのようにつなげるか、この子がどのような家庭であれば幸せに暮らせるかを考えながら活動しています。」
神奈川コパンの情報
ホームページ | https://copain-dogrescue.com/ |
X | https://twitter.com/thezoo1103 |
https://www.instagram.com/kanagawa_copain | |
Youtube | https://www.youtube.com/@kanagawa_copain |