大きな垂れ耳とツヤのある被毛が特徴的なキャバリアはかしこくてしつけがしやすいため、犬の飼育経験が少ない初心者の方におすすめの犬種です。
この記事ではキャバリア(キャバリアキングチャールズスパニエル)の性格、体重や被毛の特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてまとめました。
目次
キャバリアの基本情報
歴史
キングチャールズスパニエルは王族や貴族に愛されてきた犬種ではあったものの、イビキがうるさく病弱であったことから古いタイプのスパニエルを残そうという運動が起こります。
繁殖家たちの戻し交配によって品種が固定されたキングチャールズスパニエルに中世の騎士を意味する「キャバリア」と名付けて誕生したのがキャバリアキングチャールズスパニエルです。
イギリス本国では1945年、アメリカでは1996年に犬種として固定され現在に至ります。
大きさや体重
キャバリアは体高約30cm、体重は6~8kgです。体高よりも体長がやや長めでがっしりした骨格をしています。
外見の特徴
大きさと丸みのある頭と垂れ耳が特徴的で、可愛らしい大きな瞳が愛らしい小型犬です。
脚・胸・しっぽに生えている羽毛のような飾り毛は、知的で優雅な印象を与えてくれますね。
被毛とカラー
キャバリアの被毛は、「ストレート」と「ウェーブ」の2種類があります。
被毛カラーは「ブレンハイム」「ブラックタン」「ルビー」「トライカラー」の4色あります。
一般的なカラーは白と茶の「ブレンハイム」ですが、ブラックが際立つ「ブラックタン」、赤茶色一色の「ルビー」、黒と焦げ茶と白の3色がミックスされた「トライカラー」などのバリエーションがあります。
キングチャールズスパニエルとの違い
大きさ
鼻
性格
大きさの違い
キャバリアの方が少し大きめの体格を持ち、体重も多いです。
鼻の違い
キャバリアは尖った鼻であるのに対し、キングチャールズスパニエルは鼻がつぶれている様な形です。
性格の違い
キャバリアは社交的な性格を持つのに対し、キングチャールズスパニエルは初対面の人間や犬に苦手意識を持つ傾向があります。
キャバリアの性格について
賢い
友好的で社交的
穏やかで優しい
キャバリアは「賢い」「友好的で社交的」「穏やかで優しい」といった性格をしています。
賢い
キャバリアは、どんな環境にも柔軟に対応する賢さがあり、性格は飼い主に似てきます。活発な方であれば元気なキャバリアになり、物静かな方であればおとなしいキャバリアになります。犬の飼育が初めての方向きの犬種ですよ。
友好的で社交的
キャバリアは家族以外にも友好的な性格であるため、他の人間や犬・動物に対しても仲良くすることができます。社交的な一面もあるので、初めて会う人にもなつく傾向にあります。そのため、番犬には不向きな犬種とも言えますね。
穏やかで優しい
キャバリアは争いごとが嫌いで、穏やかな日常を好む傾向にあります。そのため、小さなお子さんや高齢の方が居るご家庭でも飼育しやすい犬種と言えますよ。
キャバリアの運動について
キャバリアは鳥猟犬を祖先に持つ犬なので、1日2回30分程度の運動が理想的です。
幼犬期の頃から筋肉を付ける事は大切ですが、過剰な運動は「関節疾患」のリスクを高めるので、成長に見合った運動量をさせてあげるのがベストです。
キャバリアの生活環境について
飼育するために準備しておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
キャバリアとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。室内には犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材については、すべりにくい材質のものを選ぶことをおすすめします。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意しましょう。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
キャバリアの食事について
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。
ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
食欲旺盛で太りやすいですが、食べ過ぎた場合でも便がゆるくなる等の症状が出にくい体質です。定期的に体重を計って確認しながら体型をキープするようにしてください。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・形状が気に入らない」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変えてみる
食器や食事の場所が関係する場合は、これらを変えるようにしてみましょう。フードを入れる容器や水飲み場を食事しやすい食器に変更したり、落ち着いて食べられるスペースを確保してあげるといいかもしれません。「飼い主さんと過ごす時間が足りない」「運動不足」などでストレスを抱えている場合もあるので、たくさん遊んだり散歩の時間を増やしてストレスを発散させてみるのもオススメです。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。ぐったりしている、元気がないといった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
キャバリアのしつけについて
しつけで大切なことは、飼い主がリーダーであるという関係性を理解してもらうことです。
キャバリアは賢く素直なので、大きな声で叱りつけるのではなく褒めて伸ばすことがポイントです。遊びながらしつけるのもおすすめですよ。
思春期(反抗期)
しつけを終えたはずなのに、言うことを聞かなくなった・・・という場合は、思春期が関係しているかもしれません。
犬によって思春期の時期があり、小型犬はだいたい生後5ヶ月ごろに迎えると言われています。
反抗的な態度や「噛む」「唸る」といった行動をすることもあります。
思春期の場合は感情的に叱るのではなく、そうした状況を回避するようにしましょう。
心が不安定な時期なので気持ちをぶつけるようなことをせず、温かい気持ちで接しましょう。
トイレを失敗することも
思春期を迎えると、ホルモンバランスが変化して、トイレを失敗することもあります。
この場合は、もう一度トイレのトレーニングを行いましょう。
思春期が終わっても、以前のようにトイレをしてくれるとは限りません。
再度しつけるのは大変ですが、飼い主さん自身の為にもトレーニングしてくださいね。
キャバリアのお手入れについて
お手入れについて
被毛ケア
シャンプー
歯磨き
爪切り
耳掃除
キャバリアとの生活をより良くするためには、日々のこまめなケアが大切です。
被毛ケア
ダブルコートで被毛が絡みやすいので、できれば毎日ブラッシングを行うようにします。
スリッカーブラシで余計なアンダーコートを取り除いた後にコームで仕上げます。
シャンプー
月2回を目安に行います。シャンプーの回数が多すぎると逆に皮膚病を発症してしまう事もありますよ。
シャンプー前にブラッシングで余計な抜け毛を取り除いておくと、毛が絡みにくくなってシャンプーしやすくなりますよ。
シャンプーが終わった後は流し残しのないように、丁寧にすすぐことも忘れないでくださいね。
歯磨き
口腔疾患のケアには定期的なケアが欠かせません。
指に巻いたガーゼで歯の表面に付着した汚れをふき取るようにします。
爪切り
爪の先端から少しずつカットすると、血管を傷つけずに爪を切ることができます。
万が一の時のために止血剤も用意しておくといいですよ。
耳掃除
定期的に耳掃除を行いましょう。
垂れた耳は通気性が悪いため、炎症があると悪化しやすくなります。
耳専用のクリーナーなどを使って、見える範囲の汚れを取ってあげましょう。
「首を掻く仕草が増えた」「耳から悪臭がする」といった場合は病院での診察をオススメします。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。
キャバリアの寿命・病気について
寿命
およそ12年
キャバリアの寿命はおよそ12年で、小型犬の中では短命です。
健康な子であれば14年近く長生きする事もありますが、10年に満たない子もいます。
これはキャバリアに近親交配が行われた経緯があり、遺伝疾患である「僧帽弁閉鎖不全」を発病しやすいからだと考えられていますよ。
かかりやすい病気
僧帽弁閉鎖不全症
外耳炎
かかりやすい病気としては、「僧帽弁閉鎖不全症」「外耳炎」などに注意しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症とは、左の心臓にある僧帽弁が異常を起こし、血液が逆流を起こしてしまう病気です。キャバリアは遺伝的にも僧帽弁閉鎖不全症を発症しやすいです。
症状は運動をしたがらない、朝や夕方に咳をする、肺水腫や呼吸困難、チアノーゼを起こします。
治療は酸素吸入を行ったり、投薬治療を行います。食餌の見直しや激しい運動を避けるようにしましょう。
外耳炎
真菌や細菌、アレルギーなど様々な原因で発症する耳の病気です。キャバリアのようなたれ耳の場合、通気性が悪いために症状が悪化しやすい傾向にあります。
痒みや違和感で首を掻くことが増えたり、頭をかしげる様子、悪臭がする場合はすぐに病院で診てもらいましょう。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
外耳炎の予防で定期的な耳のケアを行うことは大切です、ですが、耳掃除の際、人用の綿棒は使用しないでください。犬の皮膚は人と異なり薄く傷つきやすいです。人用の綿棒は刺激が強すぎるため、獣医さんや動物看護師さんに正しい耳掃除の方法を教えてもらってから行いましょう。
肥満や過剰運動は「関節疾患」になる可能性が高くなりますので、体形に合わせたドッグフード選びと、適度な運動を心がけましょう。
他にも様々な病気がありますので、下記の記事を参考にしてみてください。
キャバリアの迎え入れについて
価格
30万~50万円
キャバリアの子犬の販売価格は30万~50万です。
迎え入れ先
ブリーダーや里親、ペットショップなどで迎え入れることができます。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分に合った方法で迎え入れてくださいね。
子犬を選ぶポイント
子犬を選ぶときにチェックしたいポイントは、「体の大きさ」「顔のパーツ」「骨格」です。
体の大きさについては、子犬の時から平均よりも大きい場合、大人になった時も大きめの体格になります。
顔のパーツは、「頭のてっぺんがほぼ平らである」「口元が長い」「目が突出していない」子を選ぶと良いですよ。
骨格は、しっかりした骨格のキャバリアを選びましょう。同時に、歩行の違和感や耳などの匂いも確認しておくことをオススメします
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事ではキャバリアについての全記事を紹介しました。
初心者の方で犬を飼育したいという方にはオススメの犬種です。
いつまでも長く健康的でいてもらう為にも、食事や運動は適切に行いましょう。
キャバリアが発症しやすい「僧帽弁閉鎖不全症」は早期発見が大切なので、定期的な健康診断は必須ですよ。
不安なことや疑問点は、プロの方に相談することもオススメです。
飼い主の皆様にお役に立てる情報があれば幸いです。