今回は、栃木県那須町を中心に活動をしている那須ハイランドパーク×那須高原りんどう湖ファミリー牧場 SOS活動さんを取材しました。
今回取材した方
今回取材したのは、「那須ハイランドパーク×那須高原りんどう湖ファミリー牧場 SOS活動」の「大島崇寛」さんです。保護団体の活動責任者を務めています。
保護活動歴
那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場でのSOS活動は2017年に始まり、大島さんもその年から保護活動に参加しました。責任者として担当になったのは2022年の12月からです。
責任者になる前は、那須高原りんどう湖ファミリー牧場のスタッフとして勤務し、運営の傍らSOS活動をサポートしていました。
大島さんはもともと動物が好きで、自宅では捨て犬や捨て猫を保護していたそうです。その経験が動物好きになるきっかけだったと話してくれました。
団体設立の経緯
那須ハイランドパークの運営会社の親会社を含め、グループ全体として社会問題の解決に取り組もうと考えたのがきっかけだそうです。那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場は敷地が広く、自然に囲まれていることなどを有効活用して、保護犬・保護猫の殺処分数を減らす方法を模索しました。まずは保護犬を引き取って譲渡することを始め、将来的には猫の保護活動や譲渡活動も行いたいと語りました。
那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場で活動を行う理由は、一般のお客様が訪れるというメリットがあるためです。一般の方々に保護犬について知ってもらい、啓発やきっかけづくりのために施設を活用しています。
那須ハイランドパークがある栃木県や隣接する茨城県では、殺処分数や収容されている犬の数が多いそうです。特に元野良犬や野犬が多く、その中から一頭でも多く引き出して譲渡に繋げています。時には、多頭飼育崩壊を起こしているブリーダーなどからレスキューすることもあります。
また、犬の保護活動だけでなく、子ども食堂などのSDGs事業も行っています。
保護団体について
スタッフの数
那須ハイランドパークでの常勤の方は5名、那須高原りんどう湖ファミリー牧場での常勤の方は4名おり、合計9名がいらっしゃいます。そこにボランティアの方が3~4名、活動に参加しています。
SOS活動では50〜60頭の犬が保護されており、今の人数では対応しきれない部分があるため、対策として他の部署(遊園地のスタッフやホテルを運営しているスタッフなど)から日替わりでお手伝いに来ていただいているそうです。お散歩やお掃除を手伝ってもらったり、子犬と遊んでもらう時間を設けています。このようにして他の部署からヘルプをいただいているそうです。
他の部署と連携がしっかりとれており、なおかつスタッフ全員が保護犬に対して理解があるからこそ、SOS事業が成り立っているのではないでしょうか。
保護されている犬の数
那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場で保護されているわんちゃんの数は50〜60頭です。
1か月で平均7~8頭のわんちゃんが譲渡されているそうで、1シーズンでは約100頭ものわんちゃんが新しい家族の元へ旅立っています。2024年8月末時点では引き取り数が304頭、譲渡数が236頭です。
この状況を打破できるように大島さんをはじめとしたスタッフさんたちは奮闘されています。
活動の拠点
活動の拠点は、那須ハイランドパーク、那須高原りんどう湖ファミリー牧場がある栃木県と、わんちゃんを引き出している茨城県です。
メインは栃木県や茨城県ですが、里親希望の方は県外からもたくさん来るそうで、特に東北地方からのお問い合わせが多いそうです。東北地方は保護犬が少ないのだとか。
お見合いのために、那須ハイランドパークもしくは那須高原りんどう湖ファミリー牧場に来ていただき、トライアルの初日にはご自宅まで連れていくそうで、東北地方など遠方まで向かうこともあるそうです。1番遠かったのは神奈川県の藤沢で、4時間ほどかかったことも。
県外からの里親さんも積極的に募集しているようなので気になった方は足を運んでみてはどうでしょうか。
保護活動について
活動内容
指定の動物愛護団体から保護された犬を引き取り、那須ハイランドパークおよび那須高原りんどう湖ファミリー牧場で里親探しを行っています。そして、広い犬舎とドッグランを活用し、譲渡に向けたトレーニングや避妊・去勢手術も行っています。
しかし、資金不足の課題があるため、それを補うためにTシャツやステッカーなどの物販も行っています。
また、那須町にある那須ガーデンアウトレットで出張譲渡会を行い、保護犬について一般の方に知ってもらうための啓蒙活動もしています。那須ガーデンアウトレットは犬同伴OKの施設で、ドッグランも完備されています。
さらに、犬関連のイベントに出張し、告知用のブースを設けて活動を知ってもらうことで、保護犬という選択肢を広める啓発を行っています。
そして、那須ハイランドパークではワンちゃん関連のイベントとしてオフ会やマルシェを開催し、SOS活動ブースを設けて現在の保護犬について紹介しています。
活動をしていて嬉しかったこと
譲渡されること自体も嬉しいですが、さらに嬉しいのは譲渡後に里帰りをしてくれることや、再会できることだそうです。例えば子犬の時に譲渡し、成長した姿を見せてもらうことで、その成長を感じることがとても嬉しいと笑顔でお話しされていました。
里親さんの中には近くに住んでいる方が月に1度遊びに来てくれるそうです。
SOS活動では同窓会を開催しており、里親さんとワンちゃんを招待し、食事をしたり、里親同士の交流を深めるイベントを行っています。さらに、クイズ大会やビンゴ大会などのちょっとした催し物も企画しているそうですよ。
活動をしていて大変なこと
メインとして引き取ってくるワンちゃんが元野良犬が多いため、人に慣れさせることが大変なようです。人慣れしていないワンちゃんは、首輪をつけたり触られることを怖がり、慣れさせるまでに時間と労力がかかります。ですが、大島さんはそこにやりがいも感じるそうです。
スタッフさんたちは動物関連の知見がある方ない方がいらっしゃるそうで、全員でワンちゃんの性格や情報、トレーニング方法などを共有してお世話をしています。さらには、自身で勉強しつつ、動物病院の先生にアドバイスをもらいながら日々手探りですが、安全第一にお世話をしています。
活動をするうえで大切にしていること
保護犬たちの幸せ、新しい家庭で幸せになることを1番に考えているそうで、そのために、犬舎での環境に工夫をしています。例えば、犬舎での環境が1番いいと、譲渡先でギャップが出てしまうことがあるそうなので、極力ギャップが出ないよう、一般のご家庭に合わせるように環境を整えたりしているそうです。
これからについて
最大の目標は殺処分数を0にすることで、そのために現状のキャパシティを拡大していきたいそうです。
そのためには、スタッフ数も増やし、お世話をできるワンちゃんを増やすために、犬舎も増やしていきたいとのことでした。
それが、殺処分数0につながるのではないかとお話しされていました。
大島さんからのメッセージ
まずは、保護犬という存在をもっと知ってもらいたいです。その中で、この先ワンちゃんを迎える際に「保護犬」という選択肢を一度検討いただければと思っております。