カラーバリエーションが豊富な猫の目の種類に「ダイクロイックアイ」という色が存在します。
左右の目の色が異なる「オッドアイ」よりも希少とされるダイクロイックアイ。
この記事では、ダイクロイックアイとは何か、その種類や原因、オッドアイとの違い、値段などをまとめました。
ダイクロイックアイとは
猫のダイクロイックアイは、1つの目の中に2つの色が存在している目のことをいいます。グラデーションのように段階的な色の変化ではなく、くっきりと色が分かれている状態です。
豊富な種類のある猫の目の色の中でも群を抜いて珍しく、ダイクロイックアイの猫を見かけることは稀で出会えたらかなり幸運なことといえます。
さらに希少なダイクロイックアイとオッドアイを併せ持つ猫も存在します。片方の目がダイクロイックアイでもう片方の目がブルーやイエローなどの単色の目をしています。
ダイクロイックアイは先天性で、後天的に現れることはありません。突然愛猫の目がダイクロイックアイになったとしたら、角膜炎の疑いが強いので医師の診断を受けるようにしてください。
視力に問題はないか
視力への影響はありません。
ダイクロイックアイやオッドアイは視力に問題があるイメージを持たれやすいですが、目の色が視力に影響を与える因果関係はないとされています。
ダイクロイックアイの種類
中心型虹彩異色症
扇型虹彩異色症
ダイクロイックアイには「中心型虹彩異色症」と「扇型虹彩異色症」2つの色のパターンがあります。
中心型虹彩異色症
目の周りを異なる色が縁取っているように見える目のことです。例えばブルーの目の縁をイエローが覆っているような状態です。
扇型虹彩異色症
一つの目の一部に異なる色が見られる目のことです。
必ずしも目の中心で2つに色分けされているわけではなく、1/3のみ異なる色であるケースもあります。
猫のダイクロイックアイの多くがこの扇型虹彩異色症に当てはまります。
ダイクロイックアイになる理由
ここではダイクロイックアイが出現する理由を紹介します。
中心型虹彩異色症の場合
通常の交配で現れることは稀です。キャットショーへエントリーするために行われた交配が失敗したものと考えられます。
ペットショップで販売されていることはほとんどありません。
扇型虹彩異色症の場合
被毛が白い白猫にたまに見られるため、角膜と水晶体の間にあり、網膜に入る光の量を調整する役割を担っている「虹彩」の一部のみに「白猫遺伝子」が影響しているとされます。
白猫遺伝子による場合
メラニン色素の量 | 色 |
---|---|
少ない | ブルー系 |
中間 | ヘーゼル |
多い | カッパー |
両目に白猫遺伝子が影響した場合、左右対称のダイクロイックアイになります。
目の色は虹彩への「メラニン色素」の付着量で変わります。
このことから、1つの目の中に2つの色が存在するダイクロイックアイは、目の部分によってメラニン色素の量が異なっているといえます。
また基本的に目の色と被毛の色は比例しませんが、ブルーだけは例外で被毛の色とリンクしています。
ダイクロイックアイとオッドアイの違い
ダイクロイックアイは1つの目の中に2つの色が混在している目のことをいいますが、オッドアイは左右で色が異なる目のことをいいます。
日本では「金眼銀眼(きんめぎんめ)」とも呼ばれ、縁起の良いものとされています。
オッドアイが現れる確率はダイクロイックアイよりは高く25%です。
白猫に見られることが多く、真っ白な猫が誕生する確率が5%、オッドアイはその中の25%です。
ダイクロイックアイとオッドアイの両方をもつケースも
ダイクロイックアイ、オッドアイともそれぞれに希少な目の色ですが、中には片目だけがダイクロイックアイであるオッドアイ+ダイクロイックアイと呼ばれる、合計3色を持つレアケースもあります。
例えば、右目が単色のブルーで、左目がグリーンとイエローのダイクロイックアイである場合を指します。
ダイクロイックアイの猫の値段
ダイクロイックアイ自体が非常に珍しいため、ペットショップやブリーダーサイトですら販売されていることはほとんどありません。
以前ブリーダーサイトでダイクロイックアイのスフィンクスの子猫が販売されていた際には、70万円近くの値がつけられていました。一般的な目の色のスフィンクスの子猫の平均価格が30万円程度であることを考えれば、かなりの高額といえます。
一方でオッドアイは珍しい目の色ではありますが、猫のオッドアイの発現率は比較的高いため、値段にそれほど反映させることはありません。
後天的に現れた場合は注意が必要
「出会えたら幸運」といわれる程希少なダイクロイックアイ。
その語源は光を反射してレッド、グリーン、ブルーの三原色に分離させる鏡の一種である「ダイクロイックミラー」で、光の三原色の中心が混ざり合っているような神秘的で美しい目の色であることから、ダイクロイックアイと呼ばれるようになりました。
珍しい目の色は先天性のもので、後天的に現れることはありません。もし愛猫がある日いきなりダイクロイックアイのような目の色になったならば、目の病気の可能性が高いので、動物病院へ連れて行くようにしてくださいね。