クランバースパニエルは18世紀にイギリスで作出されたスパニエル犬種の一種です。
重量があって風格があるところから、「スパニエル界の貴族」と呼ばれます。今回の記事はクランバースパニエルの歴史、性格や特徴、しつけ、寿命や病気、飼い方についてまとめました。
目次
クランバースパニエルの歴史と特徴は?
歴史
詳細は不明ですが、クランバースパニエルの起源は1700年代にまでさかのぼります。フランス革命時にイギリスに渡り、18世紀半ばにニューカッスル公爵がイギリス領地であるクランパーパークで改良し誕生したといわれています。クランパーパークにちなんで「クランバースパニエル」と名付けられました。エドワード7世とその息子のジョージ5世など英国の王族が、クランバースパニエルを寵愛していたことは有名ですよ。
特徴
クランバースパニエルは体高43~51cm、体重25~39kg前後の中型犬に分類され、スパニエル種の中では最も大きな犬種です。
見た目
大きめの頭部と短く太い首、ボリューミーな体型に垂れ耳と飾り毛のある垂れ尾が特徴的です。幅広い胸と筋肉質なおしりは、狩猟の際に低い茂みの中を容易に動き回れるように進化したものです。
被毛
被毛は外界から体を守るように、柔らかい絹糸のようなロングコートがまっすぐ密集してはえています。カラーはホワイトをベースに部分的にレモンやオレンジなどの茶色っぽい色が入っています。抜け毛とよだれが多く、よくいびきをかくことで知られています。
クランバースパニエルの性格は?
性格
温厚
物静か
優しい
利口
愛情深い家族犬
クランバースパニエルは見た目通り、温厚で物静かな性格をしています。飼い主家族に対して献身的な愛情を示します。見知らぬ人間や犬とはあまり関わりたがらない人見知りな性格です。子犬の頃から、様々な環境で多くの人間や犬・動物に慣れさせるといいかもしれません。
番犬には向かない
スポーティングドッグの中で最も控えめで大らかな性格の持ち主です。攻撃性もほとんど持っていないため、番犬には不向きと言えるでしょう。
クランバースパニエルの寿命や病気は?
寿命
12~13年前後
クランバースパニエルの平均寿命は12~13年前後です。中型犬の中では平均的です。
病気
股関節形成不全
椎間板ヘルニア
注意すべき病気は「股関節形成不全」「椎間板ヘルニア」などです。
股関節形成不全
股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。原因は遺伝的なものと、肥満や激しい運動があげられますので、後天性の場合は飼い主さんの健康管理が大切になります。
椎間板ヘルニア
人間でも身近な椎間板ヘルニアは、肥満による体重増加が原因の他に激しい運動の場合でも発症します。クランバースパニエルは体重が重い犬種ですので、食事管理など注意してくださいね。
その他、「眼瞼異常」「外耳炎」「皮膚病」にも注意が必要です。瞬膜(眼球を保護する半透明な膜)が露出している個体が多いので、散歩の際に外傷を起こさせないように気をつけてください。また垂れ耳でむれやすいため、耳の中も定期的なお手入れが必要ですよ。皮膚病も被毛の清潔さを保つことや、食事管理によって防ぐことが可能です。
クランバースパニエルは生後6~12ヶ月にかけて動きが鈍くなる時期がありますが、骨の急激な成長に体が付いていけないために起こる現象です。心配であれば、獣医に相談してみてくださいね。
クランバースパニエルの散歩やしつけは?
散歩や運動
散歩は1日2回30分程度を目安に行いましょう。夏の季節は涼しい時間を選んで散歩するようにしてあげてください。
太りやすい体質なので注意が必要です。肥満になると椎間板ヘルニアを発症しやすくなりますよ。体重が重く積極的に走り回ることをしないので、散歩を中心に遊びを取り入れた運動を行ってみましょう。
しつけ
クランバースパニエルは温厚な性格で、飼い主に献身的な愛情を示すためしつけはしやすいですが、マイペースな性格なので一度では理解してくれないことがあります。ゆっくりと愛犬のペースに合わせてしつけるようにしてあげてください。叱ったり厳しくするよりも、オーバーに褒めて長所を伸ばすしつけ方がおすすめです。クリアできた時はご褒美を与えてみて下さいね。おやつの他、おもちゃで遊んだりすることもご褒美になりますよ。
クランバースパニエルの飼い方は?
飼育環境
日本での飼育は室内飼育がオススメです。クランバースパニエルは暑さに弱く、熱中症や脱水症状にかかりやすいため、夏場の体調管理には気を使ってあげてください。
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
クランバースパニエルとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
耳掃除
歯磨き
爪切り
クランバースパニエルとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛の手入れは週に2〜3回程度のブラッシングと月に1~2回のシャンプーで十分ですが、汚れやすい部分は頻繁に手入れをしてください。被毛の白さを保つように手入れするのがポイントです。
耳掃除
クランバースパニエルは垂れ耳をしており通気性が悪いため、耳の中で炎症を起こしている場合は悪化しやすくなります。専用のクリーナーを使って、見える範囲で汚れを取り除きましょう。「耳垢が増えた」「耳から悪臭がする」といった場合は炎症を起こしている可能性がありますので、病院での診察をオススメします。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
クランバースパニエルにおすすめドッグフードは?
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
ドッグフードの場合は裏面に記載されている量を与えるようにしましょう。ただ、体重との換算表は愛犬が「理想体型」であることが前提ですので、太っている子や痩せている子の量は調整が必要になります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
クランバースパニエルを迎え入れる方法は?
クランバースパニエルを迎え入れる方法としては、「ブリーダー」「里親」などが挙げられます。
日本では見かけることが少ない犬種ですが、タイミングが合えば出会うことができる可能性がありますので、根気よく探してみてください。
イギリス王室に愛された犬
いかがでしたでしょうか。
クランバースパニエルの優しい表情と白くて大きな体は、いつでも愛嬌たっぷりで来客を迎えてくれます。飼い主もクランバースパニエルの優しい性格と、外見の優雅さに魅了されること間違いなしですよ。
愛犬といつも一緒に過ごしたい、のんびりとした朝夕の散歩のパートナーを探している方におすすめの犬種です。