「普段は元気な愛猫が、最近なんだか食欲がなくて元気がない。もしかして風邪かも?」と悩んでいる方はいませんか。猫風邪といっても、人間の風邪のように放っておいて勝手に治るものではありません。
特に子猫や老描の場合は免疫力も低いため、放置することで症状が悪化し命に関わることもあります。
✓どんな症状だと猫風邪?
✓原因はどんなものがある?
✓そんなとき何をしてあげればいい?
この記事にたどり着いた方は、きっと今上記のような疑問で、不安もあるかと思います。まずは愛猫の症状を確認し、猫風邪かどうかを判断できればこの記事がきっと役立つはずです。
気になる症状が一つでもあって続くようであれば、動物病院を受診してくださいね。
目次
猫風邪の原因は?ウイルスの種類は?
猫風邪といっても、原因になるウイルスは様々で治療法も異なります。猫風邪は飛沫感染するので、野良猫が集団でいる場合、集団内のほとんどが猫風邪にかかっていると言えます。
引き起こす原因となるウイルスは「ヘルペスウイルス」「カリシウイルス」「クラミジア」の3種類です。免疫ができていない子猫が発症しやすいと言われています。
猫風邪の症状は?種類別の特徴
ウイルスの種類によって、猫風邪の症状は異なります。
ヘルペスウイルスによる猫風邪
結膜炎や鼻炎などが主に表れ、最初はくしゃみや眼が充血し涙っぽいなどの症状から始まります。そして発熱や元気消失、食欲不振などの症状がでます。子猫が感染し重度の結膜炎になると、眼球とまぶたがくっついて離れなくなる眼球癒着になることもあります。
感染経路
感染した猫の涙や目ヤニ、鼻汁などの分泌物にウイルスが含まれています。そのため分泌物に直接触れたり、くしゃみなどの飛沫から感染します。
検査方法
眼科、血液、X線など、ほかの症状に合わせて必要な検査があれば行われます。免疫が落ちているときに重症化しやすいことがあるので、FIVやFeLVの検査も行うこともあります。
予防方法
猫ヘルペスウイルスにはワクチンがあり、100%ではありませんが予防することができます。また、感染してしまった場合、症状が軽くなり期間の短縮にも効果的です。感染の機会を減らすように完全室内飼いにして、屋外に出さないようにしましょう。
多頭飼いの場合ワクチン摂取はもちろん、感染した猫がいたら隔離するなど、蔓延しないよう対策をしましょう。
引用元:猫ヘルペスウイルス感染症
カリシウイルスによる猫風邪
カリシウイルスは舌や口蓋、鼻の穴から肺までの気道の粘膜、結膜で増殖します。発熱や涙、くしゃみなど人の風邪のような症状が出始め、進行すると元気や食欲が落ちていきます。ヘルペスウイルスと区別が難しいですが、カリシウイルスは舌や口蓋に水疱や潰瘍ができるのが特徴的です。
感染経路
ウイルスを排泄している猫の分泌物中の病原体が、直接手口や鼻に付くことで発症します。また直接でなくとも、人や食器などを介して接触した場合でも感染するリスクがあります。
検査方法
血液、X線検査など、症状や経過によって異なります。
予防方法
病原体との接触を避けることが大切です。ワクチンがありますが、感染する可能性を0にすることはできません。発症時の症状を軽くし、重症化を防ぐことができます。屋外にはワクチンとは異なる株のカリシウイルスが存在するので、ワクチン接種していても感染することもあります。病原体に触れる機会をなくすよう、屋内飼育を徹底しましょう。
引用元:猫カリシウイルス感染症
クラミジアによる猫風邪
主に結膜炎、鼻炎が現れます。結膜炎は最初片側の眼から症状が出始めることが多く、進行すると両目とも症状がでます。猫の免疫力が低下している場合、肺炎になってしまう子も見られます。
感染経路
クラミジアは感染している猫の鼻汁や糞便の中に存在します。そういった分泌物に触れることで感染します。
検査方法
血液、眼科検査が行われますが、呼吸器症状がひどい場合はX線検査などが行われます。
予防方法
まずはワクチン接種を受けること。そして、感染した猫との接触を避けるため、室内飼いを徹底しましょう。屋外飼育の場合、感染する可能性はとても高くなります。クラミジアはもちろん、エイズなど致死的な感染症にかかる可能性も。
引用元:猫のクラミジア感染症の症状や治療法、予防策
[related id=’155′]
猫風邪、治し方は?自然治癒できる?
ヘルペスウイルス:抗ウイルス薬、インターフェロン
カリシウイルス:インターフェロン注射
クラミジア:抗生物質
ヘルペスウイルスは「抗ウイルス薬、インターフェロン」、カリシウイルスは「インターフェロン注射」、クラミジアは「抗生物質」での投薬治療が基本となります。
インターフェロンは、細胞の増殖を抑えるタンパク質のことです。まずは動物病院でウイルスの特定をしてください。結膜炎や鼻汁が多いときは、点眼薬や点鼻薬を処方されることもあります。
クラミジアで衰弱しきった子猫の場合は、「輸液」や「栄養補給」などを点滴する場合もあります。
自然治癒できる?
症状が軽く様子見をしている段階で症状が落ち着いたとしても、季節の変わり目などで体調を崩し再発することも考えられます。また、子猫や老猫は特に免疫力が低いため風邪が重症化しやすく、自然治癒はあまり望めません。
放置しておくだけでは症状は悪化するばかりです。症状が軽いとしても動物病院を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。通常であれば治療を始めてから約2週間から3週間ほどで回復します。
ただ、ヘルペスウイルスとカリシウイルスは症状が治まった後も、ウイルス自体は体内に残ります。そのため免疫力が下がったりストレスを感じたりしたタイミングで、再び症状が出てしまうことがありますよ。
猫風邪、治療費は?
治療費は猫風邪の種類や重症度によって大きく左右されます。また、かかる病院によっても検査内容や費用が違ってきます。こちらでは一つの治療費の目安をご紹介します。
猫風邪の治療費
全身の状態や治療内容でも変わりますが、診察料は数千円。1週間分のお薬代で5000〜1万円ほどかかります。1週間後に再診し、投薬が続くなるさらにプラスで薬代がつきます。
入院した場合、1日約5,000円かかりますが、感染病棟の場合は2,000〜5,000円と幅があります。血液検査が必要となった場合はさらに1万円ほどかかることを想定しておいてください。
※症状や治療の種類によって治療費は大きく異なりますので、詳しくはかかりつけの動物病院にご確認ください。
動物病院でかかる費用は決して安くありません。最近では治療費を見越して「ペット保険」に加入する飼い主さんも増えてきています。
猫風邪、市販薬は?あげても大丈夫?
猫風邪に効く市販薬はなく、病院で処方してもらう抗生物質が処方薬になります。
ただ、抗生物質は猫の体格や体力、症状などによって与える量も期間も異なります。素人判断で投薬をしていると、抗生物質が効きにくい体質になってしまうこともあります。
日頃忙しくて動物病院へ連れて行く時間が割けない場合でも素人判断で投薬するのではなく、なるべく早く病院へ連れていき診察を受けるようにしてください。
猫風邪は人間に感染するの?
猫風邪が人間にうつることは非常に稀ですが、「クラミジア」は人間にも感染する「人獣共通感染症」として知られています。
また、ウイルスに感染した猫の目ヤニや鼻汁がついた手を口に入れたり目をこすったりすることで「結膜炎」などを引き起こす可能性があるため注意してくださいね。
コリネバクテリウム・ウルセランス
2016年5月福岡県の60代女性が猫から「コリネバクテリウム・ウルセランス」菌に感染し死亡する事例が起きました。感染する事例は今までに25件近くありましたが死亡した事例は初めてでした。普段から女性は屋外で野良猫にえさをあげていて、そこから菌に感染したと考えられています。
感染した猫はくしゃみや鼻汁など風邪に似た症状や、皮膚病を起こします。
人間の呼吸器に感染すると最初風邪に似た症状を示し、その後せき、のどの痛みとともに白いうみ、うみが乾いてできた膜を認めることがあります。重篤な症状の場合には呼吸困難に陥って死に至ることもあります
もし飼っている猫がせき、くしゃみ、鼻水などの症状や皮膚病、皮膚や粘膜の傷を示していたら、すぐに獣医師さんの診察を受けるようにしてくださいね。症状が出ている猫に触るときは、手袋やマスクをしてできるだけ触るのを避け、触った後には手洗いを徹底してくださいね。
ウルセランス菌は抗菌薬によって治療が可能ですよ。
引用元:コリネバクテリウム・ウルセランスに関するQ&A|厚生労働省
猫風邪の対策方法は?
猫風邪は対策できる病気です。普段の生活からできる対策ももちろん重要ですが、病院での定期的な健康診断やワクチン接種を心がけることが大切です。
以下の対策法を参考にして、愛猫の健康を守ってあげてください。
生活環境
猫風邪などのウイルス感染は、感染猫との接触が主な原因(飛沫感染)です。猫たちがじゃれ合ったり舐め合ったりすることが多いので、そこから感染することもあります。
また、外で生活する猫たちのほとんどが感染していると言われています。そのため、外にお散歩に行くような子であれば、野良猫と接触した時にウイルスに感染してしまう可能性が高くなります。
外に出さない方針であれば完全室内飼いをしましょう。室内外を自由に移動できるようにしている場合は、ワクチン接種はもちろん、野良猫と喧嘩したような傷はないかなど入念に確認してください。
多頭飼いの場合は、他の猫への感染を阻止するためにも症状が出始めた段階で隔離してあげることで他の子への感染が防げます。
動物病院でのケア
かかりつけの病院があれば、定期的に検診に行くことをおすすめします。目やにや鼻水の量など、素人では気づきにくい初期症状を逃さず見つけることができます。
前もってワクチン接種をしておくことが最大の対策になります。仮にウイルスに感染してしまった場合でも軽症で済むことが多いので、定期検診に行っていなくてもワクチン接種を受けておきましょう。