クロアチアンシープドッグは14世紀頃から存在しているといわれるクロアチア原産の牧羊犬種です。
アジアから輸入された犬種とセルビアの「プーリン」という犬種をかけ合わせることで作られました。
今回の記事はクロアチアンシープドッグの性格、特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてまとめました。
目次
クロアチアンシープドッグの基本情報は?
歴史
クロアチアン・シープドッグは14世紀から存在している古い犬種です。家畜を集めたり守ったりする能力が非常に発達していますが、ガード・ドッグとしても活躍しています。原産国のクロアチアでも数が少ない、とても希少な犬種ですよ。
出典:JKC「クロアチアン・シープドッグ」、若山正之監修「まるごとわかる犬種大図鑑」
特徴
体高 40〜51cm
体重 13〜16kg
被毛 ダブルコート
被毛カラー ジェットブラック
クロアチアンシープドッグは体高40〜51cm、体重13〜16kgの中型犬で、中型犬のなかでは最小犬種に分類されます。
見た目
クロアチアンシープドッグは日本犬のような「スピッツタイプ」の犬種で、キツネのような細い頭や小さく琥珀色の目、大きめの三角形の立ち耳やフサフサの巻き尾が特徴的です。
被毛
被毛はダブルコートで、柔らかく密生したアンダーコートと、7~14cmほどの長さのカールしたアウターコートが生えています。厚い巻き毛のショートコートですが、顔と脚の前部のみスムースコートになっているのも特徴です。
被毛カラーはブラックが認められており、稀にホワイトの斑を持つ個体もいますがこれは好ましくないと判断されます。
クロアチアンシープドッグの性格は?
性格
従順
活発
警戒心が強い
聡明
従順で落ち着いている
クロアチアンシープドッグは飼い主に従順で、謙虚で大人しい性格をしています。また、警戒心の強い一面があるので、番犬として向いている犬種と言えます。見知らぬ人に対しては無愛想な態度をとることもありますよ。
活発で賢い
クロアチアンシープドッグは牧羊犬として活躍していたため、働くことに喜びを感じます。また、牧羊犬としての忍耐力と聡明さから家庭犬としても適しており、訓練も抵抗なく受け入れるためしつけは難しくないでしょう。活発でエネルギッシュな一面もあるため、十分に運動できる時間が必要です。
クロアチアンシープドッグの寿命や病気は?
寿命
13~14年
クロアチアンシープドッグの平均寿命は13~14年です。中型犬としては平均的です。食事や運動を気にかけることで、さらに長い時間を共に過ごすことができますよ。
病気
股関節形成不全
クロアチアンシープドッグは健康的で病気に強い個体ですが、「股関節形成不全」などに注意が必要です。
股関節形成不全
股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。病気には親からの遺伝である「遺伝性疾患」と、発育期の環境が大きく関わる「後天性疾患」があります。「遺伝性疾患」は事前に遺伝子検査を行うことである程度避けることできますので、迎え入れる前に検査を行うようにしてください。「後天性疾患」は太り過ぎや幼犬期の過度の運動が主な原因なので、飼い主さんの健康管理が大切になりますよ。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方やモンローウォークと呼ばれる腰を左右に振る歩き方をします。このような歩き方をしていたら動物病院を受診しましょう。
クロアチアンシープドッグの飼い方は?
飼育環境
クロアチアンシープドッグは暑さにあまり強くないので、屋内での飼育がオススメです。
フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてください。
揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
クロアチアンシープドッグとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
クロアチアンシープドッグとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛は定期的にブラッシングすることが重要です。毛の絡まりや抜け毛を防ぎ、清潔で健康な被毛を保つことができますよ。週に1~2回のブラッシングで十分ですが、換毛期には丁寧にムダ毛を取り除いてあげてくださいね。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。シャンプーは月に1回程度を目安に行いましょう。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。
クロアチアンシープドッグの散歩やしつけは?
散歩・運動
クロアチアンシープドッグはエネルギッシュに走り回ることが大好きな犬種なので、運動は多めに必要です。
散歩は毎日1回1時間以上行うようにしましょう。散歩に加えて、ドッグランに連れて行ったりフリスビーで遊んであげたりすると喜んでくれますよ。活動的で運動神経もいいので、アジリティも得意分野です。
しつけ
クロアチアンシープドッグは、初心者の方でもしつけしやすい犬種です。
飲み込みが早く学習能力が優れているので、基本的なトレーニングはすぐに覚えてくれます。高レベルのトレーニングであっても、繰り返ししつければすぐにこなせます。
飼い主のいうことをよく聞いてくれるので、信頼関係をしっかりと構築してください。幼犬の頃から主従関係を教え、服従訓練をしつけることをおすすめします。
ご褒美を与えてみて
しつけの際はたくさん褒める他に、ご褒美を与えてみてもいいでしょう。おやつを与える他、たくさん遊んであげる事でもご褒美になりますよ。
クロアチアンシープドッグにおすすめのドッグフードは?
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
ドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
クロアチアンシープドッグを迎え入れる方法は?
日本では出会うことが難しいため、クロアチアンシープドッグを迎え入れるためには海外から輸入する方法となります。
また、ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録数によれば、2023年度版には1頭も登録がされていません。
引用:JKC|2023年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数
珍しいけど家庭犬にピッタリ
いかがでしたでしょうか?
原産国のクロアチアでも滅多に見れないほど珍しい犬種ですが、家庭犬に適した犬種です。
豊富な運動量さえ確保できれば都会でも飼うことができます。小さな子供や他のペットとの相性も問題ありません。
日本で出会う機会があれば、ぜひチェックしておきたい犬種です。珍しい犬種の愛犬を飼いたい方や、ドッグスポーツに参加したいという方におすすめですよ。