犬を飼い始めてから自分や家族に犬アレルギーが発覚すると、愛犬といっしょに暮らすことさえもが辛くなりますよね。家族の一員である愛犬が原因で、日々悪戦苦闘している飼い主さんは決して少なくありません。
この記事では、人間の犬アレルギーに関する原因や症状、検査についてまとめました。
目次
犬アレルギーの原因は?
犬アレルギーは、犬が持つアレルギーの原因となる物質「アレルゲン(抗原)」が人間の体内に入ると起きます。体に侵入したアレルゲンを排除するために免疫細胞が過剰に反応して、アレルギー反応が引き起こります。
犬アレルギーの原因となるアレルゲンには、Canf1からCanf7まであり、どれでアレルギー反応が起きるかは人によって異なります。
Canf1
皮脂腺から分泌される物質「リポカリン」で構成されます。被毛・フケ・だ液に多く存在しますね。
Canf2
Canf1と同じ物質リポカリンで構成されます。「Canf2」に反応する人は、ネコ・ウマ・ウシなどにも反応しますよ。
Canf3
血清中に多く含まれる物質「アルブミン」で構成されます。
Canf4
犬のフケに多く含まれる物質「脂質輸送タンパク」で構成されますよ。
Canf5
オシッコに多く含まれる物質「アルギニンエステラーゼ」で構成されます。
Canf6
Canf1やCanf2とは異なるリポカリンで構成されますよ。
Canf7
2016年に発見されたばかりで、細胞小器官「リソソーム」に含まれるタンパク質「NPC2」で構成されます。
犬アレルギーの症状は?
初期症状は、気道・鼻の奥・目の周りやまぶた・結膜・皮膚に炎症が起きますよ。
「咳」「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」「目の腫れ・目ヤニ」「充血・涙」「湿疹(しっしん)・かゆみ」といった軽い症状です。
治療せずに放置していると、症状が悪化します。腸や胃の粘膜に炎症が起きると「下痢」や「おう吐」、低血圧や酸素不足による「めまい」、咳や喘息などを伴う「動悸」、気道の炎症が重症化した「呼吸困難」といった重い症状ですね。
急性アレルギー反応「アナフィラキシー・ショック」でも「呼吸困難」になるとされ、緊急の処置が必要ですよ。
犬アレルギーの症状、赤ちゃんは?
大人に比べて赤ちゃんはアレルギーに反応しやすいです。肌が弱く敏感なので、アレルゲンに反応しやすいからです。
赤ちゃんは少しの刺激でも耐えられないことが多く、全身を搔きむしってしまいます。傷口から細菌が入ることでさらに炎症を引き起こすこともあり、注意が必要ですよ。
赤ちゃんの犬アレルギー反応には「くしゃみ」「鼻水」「咳」「湿疹」「目の充血」などがありますよ。風邪でもないのに症状が出ているときは犬アレルギーを疑います。重症化すると「呼吸困難」や「喘息」が起きてしまうことがありますよ。
犬アレルギーの検査方法や費用は?
犬アレルギーの検査は、内科・耳鼻科・皮膚科・アレルギー科などでできますよ。検査には事前に予約が必要な場合があります。
犬アレルギーの主な検査方法は2種類です。
ブリックテスト
皮膚にアレルゲンを触れさせて反応を確認する検査は「プリックテスト」です。結果は15分ほどで出ますが、血液検査ほど細かい数値ではありません。アレルゲン1つを検査するごとに、400円程度かかりますよ。
RASTテスト
採血をして血中の抗体値を確認する血液検査は「RASTテスト」です。検査結果が出るまでに1週間ほどかかりますね。費用は5000円程度ですが、アレルギー症状が出ている時は保険が適用されますよ。症状がないときは、全額自己負担となりますね。
犬アレルギーの治療法は?
犬アレルギーは完治することはありません。治療法は、一般的に薬を服用してアレルギー反応を抑えます。
アレルギー反応がある限り、服用を続けますよ。薬の価格は、飲む薬の数や量によって異なりますが、月に1,000~3,000円程度ですね。ショック症状が出た場合は緊急処置となり、別に処置費用がかかりますよ。
犬アレルギーの治療、薬は?
現在では、アレルギーは不治の病です。免疫細胞が異物ではないものを異物と間違えて過剰に反応することで起こります。
一度アレルゲンとして認識すると、毎回反応してしまうのです。犬アレルギーも同様に完治はしないので、薬は一時的に症状を抑えるために使われます。
犬アレルギーに使われる代表的な薬には「飲み薬」「外用薬」「点眼薬」「スプレー剤」などです。
「飲み薬」には、アレルギーを引き起こすヒスタミンがヒスタミン受容体と結合できないようにする「抗ヒスタミン薬」、気管支を広げる「気管支拡張薬」、リンパ球の作用を抑える「ステロイド」の3種類がありますよ。
犬アレルギーの対処法は?
犬アレルギーの対処法は5つあります。
事前のアレルギー検査
被毛のケア
掃き掃除
服を分ける
免疫力の向上
犬を飼う前に家族みんなで検査をしておきます。アレルギーを発症する前に検査を受けることで、犬が飼えるかどうか判断できますよね。
愛犬を毎日ブラッシングして定期的にシャンプーすることで、皮膚や被毛の状態を健やかにします。アレルゲンの発生を抑えることができますよ。
アレルゲンとなる被毛やフケなどが部屋の中を舞わないよう、拭き掃除を中心に部屋の掃除をします。カーテンにもアレルゲンが付着しているので、定期的に洗うことをおすすめします。
愛犬と触れ合うときの部屋着と、寝る時のパジャマを分けることで、アレルゲンと接する時間を減らすことができますよ。洗うときも分けることをおすすめします。
アレルギーは免疫力が低下すると発症することがありますね。免疫力がアップする食材やサプリメントを摂ると良いですよ。免疫細胞は6~7割が腸内に存在するので、腸内環境を整えることも免疫力アップにつながりますよ。
犬アレルギーは対処することができる
犬アレルギー症状が出ると「どうしよう、大丈夫なのかな」と途方に暮れてしまいますよね。ですが実際には、飼い主さんの努力により愛犬をいっしょに暮らし続けているケースが多いものです。対処法をきちんと行うことが大切ですよ。