日本での殺処分は未だになくならず、年間約10万匹もの犬・猫たちがまだある命を無理やりに奪われている悲しい現実があります。
約10万匹のうち半数にあたる約5万匹は、生後1年と生きられずに個室に閉じ込められ、二酸化炭素を注入した個室で窒息死しているともいわれています。
この記事は、日本における殺処分についてまとめました。
日本のペット殺処分の歴史は?
日本における最初の本格的な動物に関する法制化は徳川綱吉によって発せられた「生類憐れみの令」だと考えられています。1973年に「動物の保護及び管理に関する法律(動管法)」が制定されましたが、殺処分数は約122万匹でそのうちの約116万匹が犬という悲惨なものでした。
2005年に「少子高齢化によるペットの重要性の高まり」「捕鯨や実験動物などの実態が国際的に問題になる」などの世論を受けて再改正され、条文も31条から50条に増えました。
殺処分の方法については「動物愛護管理法」の第40条で「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」という条例が定められています。
2006年の殺処分数は約34万匹でそのうちの2/3が猫です。
ペットの殺処分、今の日本の制度は?
飼い主としての責任である「終生飼養」を明確にした改正が2012年に行われ、動物愛護管理法は65条まで増えました。保健所等に持ち込まれる動物に対する飼い主や動物取扱業者のずさんな対応・状況を受け、「自治体が殺処分希望の動物引き取りを拒否できる規定」も導入されています。
「動物の飼い主・動物取り扱い業者等が、都道府県(具体的には保健所等)に動物の引き取りを要求した場合、都道府県がその引取りを拒否できる」となりました。
ペットの殺処分、問題点は?
2012年の改正では、繁殖業者に対して生後56日を経過していない子犬・子猫の「販売」「展示」「引き渡し」を禁止しています。
しかし「2016年8月31日までは生後45日を期限とする」という経過措置が存在するため、生後1~2週間の子を売りに出している悪質ブリーダーやペットショップが後を絶たない現状です。
犬の生後3~12週、猫の生後2~7週は社会性を身につける時期なので親や兄弟のもとで育てられることが重要です。
多くの命が殺処分されている背景には「儲け」しか考えていない心無いブリーダーたちが社会性を身につけていない子犬や子猫を販売している現実があるともいえます。
ペットの殺処分問題、対策法は?
マイクロチップ
避妊去勢
野良猫の繁殖制限
殺処分を減らす対策としては「マイクロチップ」「避妊去勢」「野良猫の繁殖制限」などがあげられます。万一、ペットが脱走してしまった場合でもマイクロチップを装着していれば個体識別ができるので保健所で殺処分を免れることができます。
ペットに避妊・去勢手術を受けさせて、望まない命を増やさない事も重要ですよ。生理中の雌犬の生理の匂いつられた野良犬と交尾してしまうケースも少なくありません。
野良猫を増やさないようにT(捕獲)N(不妊手術)R(戻す)を行う繁殖制限も功を奏していますよ。
海外での対策
ペット先進国であるドイツでは、動物保護の観点から第三者にも説明できる正当な理由がない限り殺処分は認めらません。「ティアハイム」と呼ばれるシェルターで年間1万~1万5千匹のペットを保護し、新たな里親を探すための手助けをしています。
日本では人に馴れていない犬や猫は殺処分されますが、ドイなど専用スペースで人とのコミュニケーションを学ばせて人馴れさせてから新しい里親に譲渡する仕組みを採用している国も存在します。
ペットが置かれている現状の再確認を
未だに10万匹を超えるペットが殺処分されている事実は悲しい現実です。しかし昭和49年に122万匹を超えるペットが殺処分されていたことを考えると、我々の意識が変わってきていることの表れともいえますね。