近年さまざまな動物と一緒に暮らす家庭が増加する一方で、虐待されて命を落とす動物が跡を絶たない現状をご存知でしょうか。
動物虐待による動物愛護法違反者も年々増加傾向にあり、数多くの動物が健康に過ごせていません。
この記事では、動物虐待にあたる行為や動物愛護管理法、発見した時の対処法をまとめました。
目次
動物虐待とは?
意図的な虐待
ネグレクト
動物虐待とは、愛護動物を不必要に苦しめる行為のことをいいます。
愛護動物とは人に飼われている哺乳類・鳥類・爬虫類などの動物のことで、動物を殺したり傷つけたりする意図的な虐待と必要な世話を放棄するネグレクトの2つが動物虐待に該当します。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
愛護動物には牛、馬、豚、めん羊、ヤギ、犬、猫、イエウサギ、鶏、イエバト及びアヒルの他、人が占有している哺乳類、鳥類及び爬虫類が定められています。犬や猫だけではなく牛や馬も該当します。
意図的な虐待
やってはいけない行為を行うことを意図的な虐待といいます。
殴る・蹴る・熱湯をかけるなどの暴力によって身体に外傷が生じる、生じる恐れのある行為が該当します。また、心理的に恐怖や苦痛を与えることもやってはいけない行為に含まれます。
ネグレクト
やらなければいけない行為をやらないことをネグレクトといいます。
病気になっても病院へ連れて行かない、水や餌を与えない、不衛生な環境で育てることなどが該当します。また、衰弱していなくても世話を放棄した時点で虐待になります。
動物虐待とみなされる行為は?
一般家庭
餌を十分に与えない
骨が浮き上がって見えるほどやせている
餌が腐る・固くなるまで放置する
汚れたままの器や水入れを使用する
爪が異常に伸びたまま放置している
飼育環境が不衛生で悪臭がする
狭いケージに閉じ込めたまま外へ出さない
怪我や病気になっても治療を受けさせない
体に負担がかかるほど首輪やリードが短い
殴る・蹴るなどの暴力を与える
一般家庭の場合、上記のような行為が虐待としてみなされます。
動物取扱業者等
狭いケージの中に排泄物と餌が放置されたまま
水を常時飲める状態にしていない
適切な食事の量や回数を与えない
動物の身体が汚れている
怪我や病気になっても治療を受けさせない
多頭飼育による飼育環境の悪化で悪臭がする
狭いケージ内での過密な飼育
体調不良や不健康な動物をふれあい体験などに参加させる
十分な期間を空けずに繁殖を繰り返す
動物取扱業者等では上記のような行為が虐待とみなされます。
もし、一般家庭や動物取扱業者等で上記のような行為を見つけた場合は、速やかに警察などに知らせることが大切です。
動物愛護管理法とは?
動物愛護管理法とは、昭和48年に制定された法律です。
平成11・17・24年、令和元年、2年に法改正が行われていますが、基本原則は「すべての人が動物は命あるものであることを認識し動物を虐待することのないように人間と動物が共に生きていく社会を目指すこと」と定められています。
また、飼い主の責任として「動物の種類や習性などに応じて健康と安全を確保するよう努めること」「飼育している動物が人に害を加えたり迷惑を及ぼすことのないようにすること」「みだりに繁殖しないように避妊去勢手術を行うこと」「感染症の予防のために必要な注意を払うこと」「動物が自分の所有であることを明らかにするようにすること」なども定められています。
動物虐待をすると、どんな罪に問われるの?
動物虐待は、第44条に基づき罰則が課されます。
愛護動物をみだりに殺したり傷つけた場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、水や餌を与えずに衰弱させるなどの行為(ネグレクト)や動物を置き去りなど遺棄した場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
虐待行為を見つけた時はどうすればいい?
虐待行為を見つけた時は、すぐに警察に通報してください。
虐待は犯罪行為なので確信した場合は迷わず警察に知らせることが大切ですが、確信が持てない場合は動物保護センターや保健所に相談することもできます。
虐待している家・人が分かっている場合
近所や出先で虐待している家を見つけた場合は、虐待している家・人が住んでいる管轄の警察や保健所に通報します。
警察や保健所に通報しても、通報した人を警察が虐待している人に伝えることは無いので安心してくださいね。
虐待している家・人がわからない場合
投稿サイトやインターネットの動画などで虐待を見つけた場合も通報する必要があります。
虐待している人や場所がわからない場合にはサイバー警察に通報するようにしてください。
サイバー警察はインターネットなどのサイバー犯罪を取り締まるための警察組織ですが、都道府県別で連絡先が違うのでまずは自分の住んでいるところに連絡するようにします。
虐待を通報する時に必要な情報は?
通報者の氏名、住所、連絡先
虐待している家の住所
虐待を受けている動物の種類
虐待の内容
虐待している家がわかっている場合は、住所と犬・猫などの動物の種類のほかに発見した時にどのような虐待を受けていたかもわかる範囲で伝えるようにします。
インターネット上で発見した場合はURLやサイト名を伝えてください。虐待している動画や写真が重要な証拠になることもあるので、可能であれば保存しておくことが大切です。
一人で行動しないで周りと協力する
動物虐待を発見した場合は、一人で行動せず近所の人と協力することも大切です。
周りの人と協力することで虐待に関する情報や証拠が集まりやすくなりますし、一人では行動に起こせなかったことが起こせるようになることもあります。
罪のない動物を救うためにも、できることから少しずつ始めてみませんか。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
動物虐待は周りが虐待を発見して通報をしていくということが大切です。多頭飼育崩壊も虐待に当たります。多頭飼育崩壊では、鳴き声がひどくなったり、大量に虫が発生したりします。周りが積極的に通報をしていくことで、亡くなってしまう動物も減っていきます。