ペットとして飼われている犬は肥満になりがちです。肥満対策には生活習慣全体の見直しがポイントになります。
この記事では、犬のダイエット方法についてまとめました。肥満になりにくい食事や運動を生活に取り入れてあげてくださいね。
目次
犬の肥満、原因とチェック方法
犬の肥満の原因は「運動不足」「不適切な食事」「病気」「加齢」など多くが人間と同じです。
去勢・避妊手術でホルモンバランスが変化したことも肥満の原因として考えられています。犬の胴体を上から見てくびれがなく、体を触り肋骨をすぐに探し当てられない場合は肥満です。ダイエットを取り入れてあげてください。
肥満と寿命の関係
犬は食べすぎて太ると病気にかかりやすくなります。
太りすぎた犬は4本の足で体重を支えることが困難になり、足が関節炎になったり椎間板ヘルニアになったりしやすいです。
また重い体を動かすには心臓に負担がかかりますし、体内の太った組織が呼吸器を圧迫すると、犬は息苦しくなります。
そのほか太ることで高血圧、ガン、糖尿病、皮膚病にかかりやすくなります。
肥満度をチェック
ボディコンディションスコア
マッスルコンディションスコア
体型を写真に撮る
体重を測る
ダイエットを始める前に現在の愛犬の状態を把握します。
犬の肥満を測る際はボディコンディションスコア、マッスルコンディションスコアでわかる体型と、体重を目安にします。
ボディコンディションスコア
ボディコンディションスコアではやせすぎから太りすぎまでを5つの段階に分け、肋骨や腰の肉付き具合を手で触ることで観察・肥満具合を判断します。
飼い主さんが判断しにくいときは、獣医さんのアドバイスをもらうとコツがつかめます。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
BCS(ボディコンディションスコア)は指標があります。インターネットで検索すると画像が出てきますので、それらを参考にして判断してみましょう。
理想体重
理想とされる体重の95~106%で、体脂肪率が15~24%です。
標準の体型は「肋骨を被う余分な体脂肪がない、肋骨が触ってわかる、上から見たとき肋骨の後ろに腰のくびれが見える、腹部が引き締まっている」状態です。
体重過剰
理想体重の107~122%で、体脂肪率が25~34%です。
少し太っていると「皮下脂肪に覆われている、肋骨に触るのが難しい、骨格の出っ張っている部分に触れる、腰のくびれがわかりにくい、上から見ると背中が横に広がっているように見える」状態です。
肥満
理想体重の123~146%、体脂肪率が35%以上です。
太りすぎな体型は「腹部・脊椎・尾の付け根に大量に脂肪がある、腰のくびれ・腹部のひだがない、首と四肢に脂肪がある、腹部の膨らみが明らか」な状態です。
マッスルコンディションスコア
マッスルコンディションスコアでは、ボディラインから肉の付き具合を細かくチェックします。
タンパク質が不足すると筋肉が委縮してしまいます。
日常的にチェックし、毛の長い犬種でシルエットがわかりにくい場合はマッサージやブラッシングのついでにチェックするといいですね。
普通の筋肉量
「頭部にある咀嚼筋が緩やかな丸みを帯びて出ている、肩の肩甲骨・背骨・肋骨・ももにある大腿骨に適度に筋肉があり浮き出ていない」のが通常の状態です。
ちなみに筋肉を喪失すると上記の筋肉があるべき部分がへこみ、骨が見えるようになってしまいます。
体型を写真に撮る
体型をボディコンディションスコアやマッスルコンディションスコアで確認したら、写真を撮っておきます。
撮影場所を変えず、犬を前・横・後ろ・上から撮影します。写真を見比べることで、ダイエットによる変化点が一目でわかります。
体重を測る
体重は決めた時間に測ります。食前・食後や排泄前・排泄後で、体重は微妙に変化するので、決めた時間に測ることで誤差を減らせます。
簡単な測り方は「飼い主さんが犬を抱えて体重計に乗った数値から、飼い主さんの体重の値を引く」方法です。
人間は体重を100g単位で計測しますが、犬の場合は10g単位で測ります。ですので使う体重計は、より細かな計測のできる「赤ちゃん用」のものがおすすめです。
犬のダイエットのコツ、人との違いは?
飼い主さんが太らせている
g(グラム)ではなく%(パーセント)
愛犬のダイエットに臨むにあたって意識することは、愛犬を太らせているのは実は飼い主さんであること、体重をgではなく%で把握することです。
飼い主が太らせている
飼い主さんが愛犬のおねだりに負けごはんをあげすぎてしまったら、もちろん太ってしまいます。
おやつを与える際には一日のドッグフードの量を調節しましょう。
犬の肥満は病気のリスクを高めます。愛犬の長生きのため、体重管理には気をつかってあげましょうね。
グラムではなくパーセンテージ
人と犬ではサイズが違いますから、同じ0.5kgの減量でも愛犬の体重のパーセンテージで考えれば大きな減量です。
体重におけるパーセンテージを頭に入れて、愛犬のダイエットに望むのが安心ですよ。
無理のないダイエット計画
ダイエットは現在の愛犬の体重と適正体重の差から目標を決定、期間を設定し実行します。
犬の無理なダイエットは危険です。人と同じように、犬の急激な減量は体調不良をまねくためです。
ワンちゃんが体調不良を訴えていても、それを飼い主さんが受け取るのは至難の技です。
犬のダイエットは犬の意思で行うわけではないため、ペースを誤ると愛犬にとっての大きなストレスになるおそれがあります。やはり無理のない健康的なダイエットが一番で良いですね。
飼い主さんが正確に体重を測るのが難しいのであれば獣医さんにおねがいしてみると良いですよ。
犬のダイエット方法「食事編」
摂取カロリーの見直し
食事回数を細かく分ける
ドッグフードを替える
人の食べ物を与えない
摂取カロリーの見直し
1日にどれだけの量、ごはんを与えているか把握していますか?1日の摂取カロリーを気にせずにごはんを与えているなら見直すことが必要です。
ドッグフードは袋からお皿に直接入れるのではなく、1日当たりの適切な量をタッパーなどで小分けにしてから与えてください。
食事回数を細かく分ける
1回あたりの食事量を減らし、与える回数を増やすこともダイエットにはおすすめです。1日に与えるごはんの量が減ったとしても、小分けにして与えることで、空腹をがまんする時間が減ります。ストレスなくダイエットができますよ。
ドッグフードを替える
運動不足になりやすい犬には、カロリーの抑えられたドッグフードがおすすめです。かなり肥満が進んでいる場合は、動物病院で一度診察を受けて、適切な減量用のフードを使ったダイエットを指導してもらってくださいね。
カロリーの低いウェットタイプのドッグフードへ一時的に変更することもおすすめですよ。
ドライタイプから変更する場合は、徐々にウェットタイプのドッグフードを混ぜながら変更することがおすすめです。1~2週間ほどかけて徐々に変更してあげると食いつきが変化しにくいですよ。
人の食べものを与えない
人の食べものは犬にとってカロリーが高く、塩分や糖分も多すぎるため与えると肥満の原因となります。また、人の食べものを与え過ぎるとそれに慣れ、ドッグフードなどいままでのごはんを食べなくなってしまうこともあります。
犬はドッグフードだけで充分に栄養がとれるので、なるべく人の食べものを与えないようにしてあげてくださいね。
犬のダイエット方法「運動編」
毎日の散歩
散歩の時間を見直す
コースや方法を変える
毎日の散歩
散歩に行けばエネルギーが消費でき、ダイエットにも役立ちます。
散歩の時間をあらかじめ決め、ある程度の運動量を確保できるようにしてあげてください。嫌がる場合は庭や公園を少しずつ歩かせることからはじめてもいいですね。
散歩の時間を見直す
犬の大きさによって適切な運動量は異なります。1日に必要な運動時間の目安として、小型犬は10分、中型犬は30分、大型犬は60分が最低限必要だといわれています。
いま散歩にかけてる時間が必要な運動時間に足りない場合は散歩の時間を増やしてあげてください。体調や年齢によっては、長い時間の散歩が難しいこともありますよね。疲れている様子があれば散歩の時間は加減してあげてください。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
散歩は1日2回、20分以上歩き続けるといいそうです。肥満でなくても、1日2回で20分以上の散歩ができると理想的です。
散歩のコースや方法を変えてみる
散歩のコースや方法を見直せば、運動量を増やすことができます。いつもより少し遠回りをしたり、坂道や階段の多いコースに変更してみたりすると、犬も知らない道を楽しみ、自然と運動量を増やすことができますよ。
合間にボールやフリスビーなどを使った遊びを取り入れると、さらに運動量を増やせるのでおすすめです。犬の散歩についてしつけ法はこちら、トラブルが起きたときの対処法はこちらで確認できます。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
ボールやフリスビーなどを行う際は、周りに人がいない広い公園などで行いましょう。
急な変化はやめて
ダイエットをするときに気をつけることは、急激な生活習慣の変化です。急激な変化は犬のストレスとなり、ストレスが原因で病気になってしまうこともあります。
食事や運動も徐々に変化させるのがポイントです。無理なく、長い目で犬の肥満対策に取り組んであげてくださいね。