猫の中には尻尾を持たない、めずらしい品種が存在します。キムリックは尻尾がない猫の一種です。
この記事ではキムリック(Cymric)の特徴や性格、体重や寿命、子猫の価格についてまとめました。
目次
キムリックの歴史は?
突然変異で生まれた猫
キムリックは突然変異的に誕生した猫種です。祖先は17世紀以降にマン島に持ち込まれ、そのまま土着化した短毛種マンクスです。マンクスの中から偶然生まれた、長い被毛を持つ個体を繁殖させたのが、マンクスの長毛版であるキムリックです。
イギリスのウェールズ地方で愛されているので、「ウェールズ族の」という意味の「キムリック」と命名されました。
4分の1の確率でしか産まれない?
キムリックは米国でも純血種として公認され、現在では世界各地で飼育されています。
ただ、キムリックを繁殖させるのは簡単ではありません。キムリックは突然変異の個体と、長毛種の猫を掛け合わせて作られた猫種であり、交配を行っても同じような子猫が生まれるとは限らないからです。
キムリック同士を交配させた場合でも、毛の長い個体が生まれる確率は4分の1程度というデータがあります。数字からも繁殖の難しさがわかりますよね。
キムリックの特徴は?
特徴
体型 | コビータイプ |
---|---|
体重 | 3~6kg |
被毛タイプ | 長毛のダブルコート |
被毛カラー | ブラック、ホワイト、三毛、虎模様、赤と黒のモザイク模様など様々 |
キムリックは丸みのあるコビータイプの体型であり、体重はオスで4~6kg、メスで3kg~5kgになります。長毛種の猫は体重が大きめな猫が多いですが、キムリックは平均的な猫の体重よりも軽めですよ。
尻尾が特徴的
キムリックは、完全に尻尾が無い個体もいるくらい尻尾が短い特徴を持つ猫です。
完全に尻尾がない個体は「ランピー」、少し尻尾が残っている個体は「スタンピー」、尻尾が長い個体は「ロンギー」と呼ばれます。特に「ランピー」は希少で人気があるため、取引額が高額になります。
独特な走り方と高いバランス感覚
走る姿も特徴的で、前足と比べて後ろ足が長く、跳ねるように走るのもキムリックの特徴です。ウサギのように走る姿はとてもコミカルですが、体能力は高いです。
通常、猫は高い所から飛び降りる時に尻尾で体のバランスをとりますが、キムリックは尻尾がほとんどないにもかかわらず、両足でしっかりと着地することができます。
バランス感覚が非常に高いためと考えられています。
あらゆる被毛カラーとパターン
キムリックの被毛は、ブラック、ホワイト、三毛、虎模様、赤と黒のモザイク模様など、あらゆるカラーとパターンが認められています。
キムリックの性格は?
愛情深い
穏やか
忠誠心
キムリックの性格は愛情深く穏やかで、飼い主に高い忠誠心を示します。
用心深く人見知りな面もありますが、高い知性を持っているため子供がいる家庭でも飼いやすい猫ですよ。ただ、自立心も持ち合わせているため、子供にしつこくかまわれることを嫌がる傾向にあります。
高い場所よりも低い場所を好むため「フロアキャット」と呼ばれることもあります。キャットタワーなどは必要ないかもしれませんね。
キムリックの寿命は?気を付けたい病気は?
寿命
10~13歳
キムリックの平均寿命は10歳~13歳です。一般的には猫の寿命は15年なので、平均よりやや短いといえますね。
長生きの秘訣は運動量を充分に確保できる環境を整え、肥満などの生活習慣病にならないように気をつけてあげることです。高タンパク・低カロリーのエサを与え、細身で筋肉質な体型を保てるようにしてあげましょう。
病気
猫ジステンバー
毛球症
尿路疾患
キムリックが気を付けたい病気は「猫ジステンバー」「毛球症」「尿路疾患」などです。
猫ジステンバー
他の動物の糞、尿などからウイルス感染する病気です。致死率と伝染性が高く、消毒・清浄化が難しいとされています。嘔吐、下痢、食欲不振などの症状が現れます。吐くことによる、脱水症状、発熱などの症状が現れます。
毛球症
毛づくろいの際に飲み込んだ自分の毛が消化器官内にとどまってしまう病気です。毛球症にかかると、吐くことも排便することもできなくなってしまいます。飲み込んでしまう抜け毛を少なくするために、毎日のブラッシングが大切ですよ。
尿路疾患
尿が出ない、排尿時の痛みで鳴くといった症状が現れる病気です。水をあまり飲まない猫にかかりやすい病気としても有名です。症状が見られたら病院へ診てもらいましょう。
キムリックの購入は?価格の目安は?
価格
約20~30万円
キムリックの購入価格は約20~30万円が目安となります。
キムリックは非常に繁殖が難しい猫種です。被毛が長い個体が生まれにくいうえに、「ランピー」同士を交配させると致死遺伝子により子猫が正常に産まれないなどの問題も抱えています。
迎え入れるには?
キムリックの入手方法としては、「ブリーダー」を探すのが一番です。しかし、世界的に希少な品種であるキムリックを日本で購入するのは、かなり難易度が高いといえます。
日本では繁殖を行っているブリーダーはまれなので、海外のブリーダーから輸入を行うといいかもしれません。
ただ、非常に時間も費用もかかります。購入したくても譲ってもらえる子猫がいない場合が多いため、まずは予約を入れて連絡を待って下さいね。
利益目的とする悪徳業者もいますので、十分注意して購入してくださいね。
キムリックの子猫の選び方は?飼育にかかるお金は?
子猫の選び方
キムリックらしさがあるか
キムリックは「体が丸い」「尻尾が短い」「ピョコピョコ跳ねるような歩き方」が特徴的な猫です。そのため、キムリックの子猫を選ぶときは、これらの特徴がはっきりとした子猫を選ぶようにしましょう。前足より後足が長く、独特な歩き方をする子もおすすめです。
健康的であるか
実際に子猫の健康状態も確認しましょう。「下痢をしていないか」「毛艶はあるか」「痩せすぎ、太り過ぎではないか」といったことを確認してみて下さいね。
キムリックの飼育にかかるお金は?
約150万円
キムリックの飼育にかかる初期費用は「子猫価格」「飼育環境の整備」を合わせた24万円程を用意しておいた方がいいでしょう。
また、1年でかかる費用は「餌代」「医療費(ワクチン代など)」「ケア用品」を合わせて10万円程度かかります。キムリックの寿命は12年前後なので、生涯費用は144万円ほどかかると見積もっておく必要があります。
親からの遺伝疾患が多い猫種でもあるので、医療費を抑えるために「ペット保険」への加入をおすすめします。
キムリックの飼い方は?
適した食事管理
広めの飼育環境
被毛のお手入れ
適した食事管理
コロコロした体型がチャームポイントですが、肥満にならないように食事管理をきちんとしてあげると良いですね。平均寿命が他の猫よりもやや短い傾向にあるので、食生活をしっかり管理することが大切です。
成長期の時期は高タンパク質な食事を心がけ、成猫期以降は食事量をコントロールしてくださいね。
広めの飼育環境
キムリックは運動量も多いので、広めのスペースを用意することをおすすめします。高いところよりも低い場所で過ごすことを好むので、キャットタワーを広めの飼育環境ってくれるかは微妙なところ。
ジャンプ力がある猫なので、運動も兼ねて用意しておけば使って遊んでくれるかもしれません。
被毛のお手入れ
キムリックは長い被毛を持つので、週に1~2回程のブラッシングやコーミングをおすすめします。
また、シャンプーは子猫の時から定期的に取り入れておきましょう。原産国が寒冷地であり、日本の高温多湿では皮脂過剰になる子がいるからです。
シャンプーに慣れておけば、皮膚の健康管理もしやすくなります。
キムリックは自分のヘアボールを嫌う傾向があります。毛玉があるだけでストレスになってしまうことがあるので、お手入れはこまめに行いましょう。毛玉対策ができるキャットフードを選択するのもおすすめです。
キムリックにおすすめのキャットフードは?
キャットフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているキャットフードを選びましょう。
これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるキャットフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているキャットフードがおすすめです。
いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
フードを選ぶときのポイントは?
キムリックにおすすめのキャットフードは、以下のような特徴を持つ高品質なキャットフードです。
動物性タンパク源に注目
キムリックは肉食動物であり、良質な動物性タンパク源を含むキャットフードが適しています。鶏肉、魚、ターキーなどの主成分として、肉や魚の種類が明示されたキャットフードを選ぶと良いでしょう。
猫にとって適切な栄養バランス
適切な栄養バランスを持つキャットフードを選ぶことが重要です。必要なタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどが適切に配合されているか確認しましょう。
AAFCO(アメリカ飼料検査官会議)の基準を満たしていることも確認してください。
人工的なものを含まない自然派な成分
人工的な添加物や防腐剤、着色料などの使用が少ない、自然な成分で作られたキャットフードを選ぶことをおすすめします。
ペットフード安全法で指定されている添加物に関しては使用できる量が決まっており、長期的に摂取したとしても健康を害するものではありません。
それでも個体差によっては、下痢などの症状を起こすことも。なるべく無添加のキャットフードを選ぶことをおすすめします。
年齢と体重に適したカロリーを
キムリックは大型の猫種であるため、適切な体重管理が重要です。肥満を防ぐために、カロリー制限が考慮されているキャットフードを選ぶと良いでしょう。
成猫用、体重管理用、または特定の栄養ニーズに応じたキャットフードが適しています。また、定期的に体重を測り、ごはんの量を微調整できるのが理想です。
独特な魅力を持つキムリック
いかがでしたでしょうか?
キムリックは見た目に極端な特徴がある魅力的な描です。簡単に手に入らないという点も、さらに魅力に拍車をかけていると言えます。
興味のある方は、まずはキャットショーに出かけてその魅力を体験してみてください。