猫の口臭、よだれは病気?原因と対策まとめ

猫 口
監修者:藤原 光宏
所属:ふじわら動物病院

病気だけをみるのではなく、動物の体の状態を総合的に考えて、動物の体に優しい治療を心掛け、現代医療、西洋医学のみならず、漢方薬や鍼灸治療などの東洋医学やホモトキシコロジー、オゾン療法なども取り入れた統合医療をおこなっています。 また、終末期医療、終末期ケアにも力を入れています。

「なんだか最近、お口が臭い…」

愛猫の口臭が気になったことはありませんか?

実は、猫のお口のトラブルは比較的多く見られる症状で、特に、シニア猫は口臭が気になるという飼い主さんも多いそうです。

    口臭がすごいけど大丈夫?
    よだれが多い気がするけど病気?
    改善する方法は?

    など、口臭や、口に関する気になることって色々ありますよね。この記事では、猫の口臭やよだれの原因、対策についてまとめました。

    猫の口臭の原因は?

    猫は綺麗好きな動物で、自分でもグルーミングをこまめに行うので、あまり体臭が強くなることはありません。でも、猫があくびをした時や、飼い主さんの隣で寝ている時などに、「あれ…?」と臭いが気になることってありませんか?

    それ、猫の口臭かもしれません。

    食後に口が臭うのは仕方がないですが、しばらく経っても臭いがする場合や、食後より、それ以外の時の方が臭っているという場合は、口の中で何かトラブルが起きている可能性があります。

    口臭の主な原因が、歯石です。

    猫の口腔内は、虫歯にはなりにくい環境ですが、歯周病などにはなりやすいと言われています。その原因は、歯垢、歯石です。

    歯垢は、歯と歯の間や、歯と歯茎の間に付着しているネバネバした白い塊です。プラークとも呼ばれ、多くの細菌が住み着いています。

    歯石は、唾液の中に含まれるカルシウムなどと、歯垢が結びついて硬くなったものです。これも、細菌の温床です。そのため、歳を重ねて歯石が蓄積してくると、より口臭がきつくなるのです。

    歯垢は歯ブラシで取ることができますが、歯石は取ることができません。

    また、歯石は口臭だけでなく様々な疾患の原因となりますので、こまめに口腔ケアをして、口腔内の健康を保つようにしましょう。

    ふじわら動物病院 藤原 光宏さん
    猫は歯磨きが難しく、歯石がついたり、歯周病になると口臭がするようになります。
    歯周病になったり、口内炎ができたりすると食事を食べる度に痛みが出たり、食欲が減って栄養が足りなくなり痩せていってしまいます。
    猫の口の中をみるのは嫌がってなかなか難しいかもしれませんが、日々口の中をみるようにしましょう。子猫の時から口の中をみることに慣れておきましょう。

    猫の口臭、考えられる病気とは

    口臭だけでなく、

      歯茎が腫れている
      歯垢や歯石がついている
      食欲がない
      血の混じったよだれが出る
      鼻水、くしゃみが出る

    などの症状がある場合は、病気が潜んでいる可能性があります。

    考えられる病気は、

      歯周病
      口内炎
      熱中症
      猫風邪

    などです。こういった病気になるとどういう症状が出るのか、病気の疑いがある時にはどうすればいいのか、などをご紹介していきます。

    「うちの子、これかも…」と思ったら、病院へ連れていってあげてくださいね。

    歯茎の腫れや歯垢があるときは「歯周病」

    口臭の他に歯グキが腫れている、歯に歯垢がついている場合、歯周病が原因の可能性があります。歯周病は歯垢や歯周ポケットの中の細菌が毒素を出し歯肉が炎症を起こします。

    歯周病はどのような猫にでも起こります。腎臓病や糖尿病などの慢性疾患、猫白血病ウイルス感染症や猫エイズなどの感染症によって免疫力が低下していると悪化しやすい傾向がありますよ。

    歯周病だったときの対策は?

    歯周病は最も一般的な口内トラブルですが、定期的な歯磨きで歯垢がたまらないようにすることが大切です。定期的に歯や歯茎をチェックしましょう。

    猫用の歯ブラシかティッシュ、綿棒を使って歯垢を除去し、仕上げにジェルタイプや液体タイプの口腔ケア用品を使いましょう。歯茎から出血している場合や歯がグラグラしている場合はかなり症状が進んでいるため、動物病院を受診してください。

    歯周病の場合は抗生物質の投与の他、全身麻酔で歯石を取り除く、抜歯をするなどの処置を行います。歯周病を治療しなければ、口臭のきつさは取れないので、症状の重さによって適切に対策をとってくださいね。

    よだれがあり、エサを食べられないときは「口内炎」

    猫に口臭とよだれがあり、エサを食べない場合は、口内炎の可能性があります。猫は口内炎を起こすと、口の中がねばねばし、血の混じったよだれを出します。

    痛みから食事をとれなくなって体重が減り、同時に口の周りや前足のグルーミングをあまりしなくなるので次第に汚れてきます。また、口の中を見ると真っ赤にただれています。

    口内炎になる猫は、ウイルスの感染や腎不全、糖尿病などの重大な病気が潜んでいることも多いため、「口臭、よだれ、エサを食べない」の3つの症状が揃ったら、気をつけてくださいね。

    口内炎だったときの対策は?

    口内炎対策には、子猫の頃から栄養バランスのとれた食事を与えることが重要です。合わせて食後の歯の手入れを習慣づけ、歯垢や歯石がたまらないようにしてくださいね。

    また、動物病院で口内炎の原因となるウイルスのワクチン予防接種を受けましょう。口の中の健康診断を受け、口内炎の早期発見・早期治療を心がけることも大切です。口内炎ができてしまったら動物病院で適切な治療を受けさせてあげましょう。

    よだれが止まらない原因は「口内異物」と「熱中症」

    猫には「食べ物を前にすると、よだれが止まらない」という習性はありません。よだれが多くみられる場合、口の中に異物が刺さっていることが考えられます。

    歯の間や上あご、舌などに何か挟まっていないかチェックしてみてください。また、真夏に閉め切った部屋で過ごしているときに、よだれを流しながら口を開けてハァハァと呼吸をしていた場合、熱中症が疑われます。

    口内異物や熱中症だったときの対策は?

    異物が刺さっている場合は速やかに取り除いてあげてください。熱中症が疑われる場合は体を水で濡らしたタオルで冷やしながらすぐに動物病院を受診しましょう。

    夏場はエアコンを使ったり、必ず部屋の換気を行うなどして、部屋の温度を下げる工夫をすることも大切です。

    鼻水やくしゃみが出るときは「猫風邪」

    口臭がきつくなり鼻水やくしゃみなどの症状がみられる場合、猫風邪の可能性があります。感染経路は「くしゃみ」「目やに」「よだれ」などの直接的なものと、「飼い主さんが他の病気猫を触る」「病気猫が使っていたモノに触れる」など間接的なものがあります。

    潜伏期間は2〜10日です。軽いものであれば自然治癒しますが、症状が目立つ場合は動物病院を受診しましょう。

    猫風邪はウイルス、クラミジア、マイコプラズマなど色々な病原体の複合感染によって起こることが多いです。特に症状を悪化させるヘルペスウイルス、カリシウイルスは、ワクチンがあり症状を発症させないまたは軽減することができるので、一年に一回はワクチンを予防接種しましょう。

    猫は歯磨きが難しく、歯石がついたり、歯周病になると口臭がするようになります。
    歯周病になったり、口内炎ができたりすると食事を食べる度に痛みが出たり、食欲が減って栄養が足りなくなり痩せていってしまいます。
    猫の口の中をみるのは嫌がってなかなか難しいかもしれませんが、日々口の中をみるようにしましょう。子猫の時から口の中をみることに慣れておきましょう。

    ふじわら動物病院 藤原 光宏さん
    歯石、歯周病は、ただ口臭がするだけではなくて、命ともかかわりがあります。口が痛くて食べられなくなれば栄養不良になりますし、24時間365日歯周病から細菌が体の中に入っているので、腎臓病になったり、心臓病になったりします。
    体全体の問題にもなりますので、歯石、歯周病は放って置かずに動物病院で定期的にみてもらい、必要な治療をしましょう。

    猫の口臭、よだれは体調不良の兆候

    猫

    猫の口臭やよだれは、裏に病気が隠れていることもあります。

    「動物なんだから臭いものでしょ」と放っておくのではなく、「いつもより臭いかも」とか、「何か病気かも」と、疑いつつ注意深く様子を見てあげてください。

    口臭が気になったら、まずはお口の中をチェックして、歯周病など、病気の兆候を見逃さないようにすることが大切です。

    また、口臭をケアするフードを与えたり、歯磨きをしてあげたりと、積極的に対策を取ってあげてください。

    普段から愛猫の様子をしっかりチェックして、健康な時との違いに気がつけるようにしておきましょう。

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