愛猫に元気がなくなると、どうすればいいか焦ってしまいますよね。病気を患っていることもあるのではやめに対処をしてあげてください。病気のなかでも、腎不全は猫の死因として多い病気です。今回は猫の腎不全の原因や症状、治療法や対策をまとめました。
猫の腎不全ってどんな病気?
腎臓機能が低下した状態を腎不全とよびます。
腎臓機能が75%失われると、オシッコとして排泄される老廃物が体の中に残ってしまい、様々な症状を併発します。腎不全には「急性」と「慢性」の2つがあります。
急性腎不全は「脱水」「出血」「心臓病」「投薬」が原因で腎臓に流れ込む血液量が少なくなり、発症します。
腎不全の原因は?
AIMが活性化しにくいため
2016年秋、東京大学の宮崎徹教授らの研究グループによって、ネコの腎不全の原因がAIMの不活性化にあることがわかりました。
本来、AIMには腎機能が低下すると活性化して尿中に移行、尿細管のゴミを掃除してくれる役割があります。
しかし、猫のAIMは人やマウスとは異なる特徴(急性腎障害が生じても活性化することはなく、尿中に移行しない)があるため、血中のAIM量が多くても腎機能が回復せずに慢性腎不全へと進行してしまうことが多かったのです。
猫の腎不全、症状は?末期は?
急性腎不全の場合、症状が出るのは突然です。
食欲や元気がなくなり、オシッコが出なくなったり、嘔吐したりします。慢性腎不全の場合、症状はゆるやかに出ます。多量の水を飲むようになるため、オシッコの量が増えます。
オシッコで失う水分の量が増えると、脱水症状を起こしやすくなります。体の中の水分量が減ると血液の量も減ってしまい、腎臓に流れ込む血液量も少なくなります。その結果、オシッコを作る能力が更に低下し、悪循環を招くのです。
末期症状の場合、腎臓はほとんど機能していません。食欲もなく、急激に痩せ、老廃物が体中に溜まり、「尿毒症」のように息も尿臭く、ほとんど動かない、自力で排泄できない状態になります。
猫の腎不全、治療法は?
腎不全は治療をしても完治することはなく、腎機能は低下していくばかりです。
「機能低下をできるだけ遅くする」「腎臓に負担を掛けない食事療法をする」という2点が対処方法になります。
まず尿や血液から、腎臓機能が低下していないかを検査します。不足しているホルモンを補い、高血圧の場合は血圧を抑える薬を与えます。
飲む水の量を増やし、消化吸収の良いごはんに変えて老廃物の量を減らすようにもします。体内の老廃物の量が多く、血液成分のバランスが悪い場合は輸液を行うことがありますよ。輸液には「水分補給」「毒素の排出」「栄養補給」「血液成分のバランスを保つ」という4つの働きが期待できます。
治療に光明が!?
宮崎徹教授らの研究グループが、急性腎不全を起こしたネコ型AIMを持つマウスにマウスのAIMを静脈注射するという実験を行ったところ、尿細管の詰まりが劇的に解消されたという結果※1が得られました。
マウスを用いた実験ではあるものの、活性化しやすいAIMをネコに投与することで同じような実験結果が得られるのではないかと期待されています。
活性化しやすいAIMの開発を研究チームが進めているそうなので、近い将来実現するといいですね。
猫の腎不全、対策は?
7歳以上の猫は年に1回、10歳を過ぎたら半年に1回の検査を受けるのが理想的です。
特にペルシャ猫は腎不全にかかりやすいといわれているので、こまめに検査をしてあげてください。消化や吸収がよく、腎臓への負担が少ない食事に変えてあげることも重要です。
症状が出たらまずお医者さんへ
腎不全の症状を確認したらすぐに病院に相談してください。できるだけ早く検査をし、治療方針を決めることがポイントです。症状に合った対処をして、病気の進行を遅らせてあげることが愛猫にとって一番の対処になりますよ。