猫が中毒を起こす原因となる物質は、日常生活において溢れかえっています。
直接口にするだけでなく、毛づくろいでも中毒症状になる場合があるので注意が必要です。
この記事では猫の中毒の症状や原因、診断方法、治療方法、応急処置、対処方法などについてまとめました。
目次
猫の中毒、症状は?
よだれ
嘔吐
下痢
貧血
震え
運動失調
痙攣
高体温
中毒の主症状は、「よだれ」「嘔吐」「下痢」「貧血」「震え」「運動失調」「痙攣」「高体温」などです。中毒の原因によっては「腎不全」や「肝不全」を併発する場合もあります。
有機リン系薬剤やクマリン系薬剤、ピレスリン系薬剤などの化学物質による中毒では、「よだれ」だけでなく「失禁」「縮瞳」「震え」「痙攣」などをおこしまします。早期治療を行わないと命にかかわるため、早急に病院で治療を受けるようにしてください。
猫の中毒、原因は?
ネギ
チョコレート
タバコ
植物
ヒト用の薬
洗剤
鉛
ネギ
タマネギ、長ネギ、ワケギ、万能ネギ、ニラ、ニンニクなどが当てはまります。
ネギに含まれる「アリルプロピルジスフィド」という物質が赤血球の膜を破壊するため、溶結性貧血を引き起こします。
チョコレート
チョコレートに含まれる「テオブロミン」によって中毒症状が出ます。「不整脈」や「心不全」「呼吸困難」を引き起こし、最悪死に至ります。
タバコ
タバコに含まれる「ニコチン」によって、中毒症状がおこります。
「よだれ」や「呼吸速迫」「嘔吐」「意識混濁」などの症状を発症し、最悪の場合死に至ります。
植物
植物では700種類以上にも上るといわれているため、安全な植物はないと思っていたほうが無難です。特に「ユリ」は近くに飾っているだけでも中毒症状がおこることがあります。
症状は植物によっても異なりますが、「嘔吐」「下痢」「血圧異常」「不整脈」「急性心不全」「呼吸困難」などです。
ヒト用の薬
NSAID(アスピリン)や抗ヒスタミン剤であるクレオソートが含まれる、風邪薬や正露丸などが当てはまります。
風邪薬の成分はNSAIDといわれるアスピリンの仲間で、猫にとっては重篤な貧血を起こす原因となります。肝臓に障害を受けることもあるため、絶対に与えてはいけません。
風邪薬に含まれる抗ヒスタミン剤も興奮作用を引き起こしたり、運動失調に陥らせたりします。正露丸の主成分は消毒液と同じで、猫の粘膜細胞が死んでしまいます。
洗剤
お風呂用や洗濯用の洗剤に含まれる界面活性剤が消化管粘膜を破壊することで、「嘔吐」や「下痢」を引き起こします。
こぼれた洗剤が付着した肉球をなめることで中毒になるケースが多いです。濃縮タイプの洗剤の場合、最悪死に至る可能性もあるので特に注意が必要です。
鉛
鉛をなめると、「下痢」「嘔吐」「痙攣」などの神経症状が現れます。
釣り用の鉛や塗料が原因になることが多いので、猫は近づかないだろうと高をくくるのではなく、手の届かない場所へしまうようにしてください。
猫の中毒、診断方法は?
触診
エコー検査
レントゲン(X線)検査
猫の中毒の診断は、「触診」「エコー検査」「レントゲン(X線)検査」などで診断を行います。
飲み込んだ異物の種類によっては、レントゲンに写らないものや写りにくいものもあるため、判明までに時間を要する場合もあります。
猫の中毒、治療はどのように行う?
内科療法
内科療法で治療します。
原因の特定とともに、原因物質を猫の体外へ排泄させる必要があるため、「吐かせる」「活性炭の投与」「胃洗浄」などの処置を行います。
口にしてから時間が経過している場合は、血液検査などをした後に輸液などの処置が行われます。
猫の中毒、応急処置できる?
吐かせる
水や牛乳を飲ませる
洗い流す
中毒になってしまった場合は病院へ連れて行くことが最善ですが、応急処置の方法を知っておくといざという時に役立ちます。
吐かせる
家で胃の中の物を吐かせるときは、塩やオキシドールを使います。
塩は体重4~5kgあたりティースプーン1杯、オキシドールであれば体重1kgあたり1ccほどを目安に与えます。
10~15分経過して吐かなければもう一度試しますが、与えすぎると害になるため2回以上はやらないでください。
水や牛乳を飲ませ、希釈・吸収を遅らせる
尖っている食べ物や強酸性・強アルカリ性の塩素や洗剤、石油系の灯油やガソリンは、絶対に吐かせてはいけません。
無理に吐かせると食道の粘膜を傷つけたり、肺炎を起こす可能性があります。水を飲ませて胃の中の成分を希釈したり、牛乳を飲ませて胃に膜を張らせて胃壁を守り、毒物の吸収を遅らせるようにしてください。
注意点
石油系の場合、牛乳を飲ませることで毒素の吸収量が増えてしまうこともあるので注意が必要です。
洗い流す
身体や足・尻尾に洗剤などが付着していたら、水できちんと洗い流します。
体や足に洗剤が付いたまま残っていると、なめたり飲み込んだりして毒物が体内に入ってしまう危険性があります。
猫の中毒、対策はできる?
中毒物質となる薬品や化学物質・植物・食べ物を猫に近づけないように気をつける事が大切です。
猫が入れない部屋を作るなど、危険な物をしっかり保管できるようにしておくようにしてください。
猫の中毒、サプリで解決できる?
中毒症状は特定の物質を飲み込んだことでおこる反応のため、サプリで解決することは困難です。
有害なものを愛猫には近づけさせない努力が大切です。
猫の中毒、飼い主が注意することは?
中毒は、原因によって対処法が異なります。
殺虫剤などは早めに吐かせることが重要ですが、塩素系の洗剤やトイレ用の洗剤など強い薬剤は吐かせることで症状が悪化してしまうこともあります。
自己判断は危険なので、動物病院へ相談するようにして下さい。
猫の中毒、かかりやすい猫種は?
特定の猫種が中毒になりやすい、ということはありません。
どの種類でも危険なものを口にすれば中毒を発症する可能性があるので、誤飲に気をつけてあげることが大切だといえます。
中毒は早期治療が大切!
中毒の早期治療を行うためには、「いつ」「何を」「どれだけ食べたのか」を獣医師さんに伝える事が大切です。
愛猫が中毒で苦しんでいたら慌ててしまいがちですが、まずは落ち着いて出来ることを実践してくださいね。