猫の膀胱炎、症状と原因、治療法は?自然治癒できる?治らないときは?

猫 病気
愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。2024年にはペット栄養管理士の資格も取得。

膀胱炎という病気を知らない方は少ないかと思います。しかしその膀胱炎、人間だけでなく猫もなることをご存知ですか?

いつも元気なのに、なんだか最近おとなしい…他にも、

・うずくまって動かない
・人が触れると唸り声を上る
・トイレが長い

など、行動に違和感がある…そんな時は膀胱炎の可能性を疑ったほうが良いかもしれません。

膀胱炎ってどんな症状が出るの?
どうして膀胱炎になってしまうの?
自然と治る?

愛猫が元気がないだけでも心配なのに、病気の疑いがあるならこのようなことを考えますよね。そこでこの記事では、猫の膀胱炎についてまとめています。

膀胱炎の症状や原因、治療法、自然治癒できるのかなど紹介しているので、愛猫が膀胱炎の疑いがある行動をしている方はぜひ参考にしてみてください。

猫の膀胱炎ってどんな病気?

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膀胱炎とは

膀胱炎とは、尿をためておく膀胱に炎症が起きている状態をいいます。膀胱は腎臓から送られてくる尿を一旦ためておく袋状の器官で、尿道につながっています。

膀胱炎は、尿道から入った細菌が膀胱まで逆行し炎症を引き起こすことで発症します。メス猫の方がオス猫よりも尿道が短く、尿道口も広いため細菌が膀胱に侵入しやすく、膀胱炎になりやすいです。また、膀胱内の尿結晶や尿結石によって膀胱粘膜が傷つけられて膀胱炎につながる場合もあります。

膀胱炎の症状

猫が膀胱炎になるといつもより元気がなく静かになり、食欲不振や嘔吐を引き起こします。お水を飲む頻度が増えたり、トイレの回数が増えたりしますが、トイレに入ってもなかなかおしっこが出なくなります。

また、トイレの砂の固まりが褐色の濃い色の場合や臭いが強い場合は膀胱炎の可能性があります。猫の様子に違和感があったらトイレの砂を観察しましょう。また、トイレの砂は白色のものを使うと異常を発見しやすくなるのでおすすめですよ。

膀胱炎になる原因

多くの場合、猫の膀胱炎は細菌感染によって起こります。細菌性の膀胱炎は、尿検査をすると細菌が見つかるので原因を特定しやすいといえます。

しかし、決定的な原因がわからない「特発性膀胱炎」もあります。特発性膀胱炎は、肥満、ストレス、飲水不足、寒さが主な原因であると考えられています。

猫はストレスに敏感な生き物で、新しい環境に引っ越したり、飼育環境に見知らぬ人が訪れる機会が増えたりするとストレスがたまります。注意してあげましょうね。

 

猫の膀胱炎、治療方法は?

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まずは膀胱炎を起こしている原因を特定します。

細菌性の膀胱炎だった場合は、原因菌に効く抗生物質を投与することが対症療法になります。尿結石などが原因の場合は、外科手術や膀胱洗浄を行う場合もあります。

特発性膀胱炎の場合は、「清潔な水が常に飲めるような環境を整えること」「水分をたくさん摂取させて新鮮な尿をたくさん作らせること」が基本的な治療法となります。

動物病院での診察料の目安は初診でおよそ2,000円程度ですが、手術や膀胱洗浄が必要な場合は別途施術費用が必要となります。猫の状態にもよりますが10,000~50,000円程度かかることを想定しておきましょう。

自然治癒できる?治らない場合は?

特発性膀胱炎の場合、一度動物病院で診察してもらった後、環境的の見直しによって自然治癒することもあります。細菌性の膀胱炎の場合は自然治癒することもありますが、重症化することをさけるため、抗生物質を与えてあげるのがおすすめです。

また、「膀胱炎」と診断されて抗生物質を投与してもなかなか治らないときは、実は尿結石などの外科手術が必要だったということもあります。

診断が難しい病気ですから、もし2~3ヶ月経ってもなかなか治らないときは、違う動物病院でX線検査やエコー検査をしてもらうなど、詳しく調べてもらいましょう。

猫の膀胱炎、対策できる?

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細菌性のものと、特発性のもの、結石によるもの、それぞれで対策が異なります。

 

細菌感染が原因の膀胱炎対策ですべきこと

「トイレの環境を清潔に保つ」「飲水量を増やす」の2つが大切です。

細菌は尿道から感染することが大半で、トイレ環境を清潔にすることは、猫の体内に細菌が侵入することを防ぎます。具体的にはトイレの砂を1週間に1回の目安で全交換しましょう。

また、飲水量を増やすことで排尿の量を増やし、原因となる細菌の体外排出を促進します。猫が気軽に水を飲めるよう、水場は家の何カ所かに設置し、お水が常に新鮮であるように、最低でも一日一度はお水を取り替えてあげましょう。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
猫は動きのある水を好む傾向にあります。自動給水器を使用することで飲水量を増やすことができるかもしれません。

 

特発性の膀胱炎対策ですべきこと

特発性膀胱炎の主な原因は、肥満、飲水不足、寒さ、ストレスなどで、猫にとって良い環境をつくってあげることが対策となります。

肥満であれば、日々のフードを低カロリーのものに変え、たくさん遊んであげて運動量を確保しましょう。また、飲水不足は水場を増やすこと、お水を新鮮に保つことで避けることができます。

猫は温度変化に弱いので、暖房器具をうまく使って寒さを軽減してあげましょう。遊び場にキャットタワーやおもちゃを用意してあげたり、一人で安心して逃げ込める巣をつくってあげたりすると、ストレス解消につながりますよ。

 

結石が原因の膀胱炎対策ですべきこと

猫のおしっこの中にカルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラル成分が増えたり、尿のpHバランスが崩れたりすると結石ができやすくなります。

日々の食事に気をつけることで結石ができるリスクを下げることができます。専用フードも市販されていますよ。

膀胱炎は飼い主の見守りにより早期発見が可能な病気です。様子がおかしいなと思ったら、早めに動物病院で診察してもらい、治してあげたいですね。

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