愛猫をトリミングに連れていきたいと思っても、対応してくれるサロン自体が少なく自身でカットを行なっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
その際に活躍してくれるのがバリカンです。ハサミを使ってのトリミングは素人には難しいですが、バリカンなら初心者でも安全に使うことができます。
この記事では、愛猫用バリカンの選び方やコツ、おすすめ12選などをまとめました。
目次
愛猫の毛のカットにバリカンは使える
素人がハサミを使用して愛猫のトリミングを行うのは危険です。トリミング中に愛猫が動き、ハサミの刃で怪我をさせる恐れがあるためです。
しかし犬と違って猫のトリミングに対応しているサロン自体が少なく、自宅でケアを行わなくてはならない場合も多いですよね。その際におすすめなのがバリカンです。
ペット用のバリカンは正しく使用すると事故の可能性は低いです。
素人でも素早くトリミングができるので、猫に与えるストレスも軽減できます。
愛猫の毛をバリカンで刈るメリット
毛球症になりにくくなる
掃除が楽になる
シャンプーの必要がなくなる
ブラッシングが楽になる
バリカンで毛を刈るメリットは様々あります。
特に長毛種は毛の手入れを怠ると毛玉が原因の毛球症になる恐れがあります。毛球症は長毛の猫に多く見られ、自分でグルーミングをする際に飲み込んだ毛が胃にたまる病気です。
毛を刈ることによって、毛球症をケアすることができます。
また皮膚疾患を持つ愛猫の場合、肌の通気性を良くすることが大切なため被毛を短くする必要があります。
愛猫の毛をバリカンで刈るときの注意点
愛猫の毛をバリカンで刈る際には注意しなくてならない点があります。
極端なライオンカットはやめた方がいい理由
体温調整が難しくなる
猫が嫌がる
毛が生えてこなくなる可能性
皮膚が日焼けする
ライオンカットとは、首から下の毛を全て短く刈るカットスタイルです。
可愛くて人気のあるスタイルですが、意外にもデメリットが多いカットでもあります。
体温調整が難しくなる
長毛は夏の日差しを遮ったり、毛の中に空気を溜めて体温調節を行い冬の寒さから身を守ったりと、四季に対応した役割を果たしています。
毛を必要以上に刈ると、体温調整が難しくなります。
猫がやらせてくれない
猫のトリミングに対応をしてくれるサロンは少ないため、飼い主さん自身でカットを行う場合がありますが、トリミングを嫌がる猫が多いためなかなか難しいです。
毛が生えなくなる可能性
毛を剃られたショックやアレルギーなどが原因となり、その後毛が生えてこなくなってしまう可能性も少なからずあります。
また老猫の場合は毛が伸びるスピードが遅いため、生えなくなったり、生え方がまだらになったりします。
皮膚が日焼けする
先にも記述したように、猫の被毛は直射日光を遮り肌を守る役割を果たしています。
刈ることで被毛がなくなると直射日光が肌に直接当たるため、皮膚が日焼けし火傷をする恐れもあります。
全身刈りより部分刈りがおすすめ
肉球
お尻
お腹
猫の健康や清潔を保つためにも毛を刈った方が良い部位もあります。
特に肉球周りの毛はこまめにカットをしてあげると良いです。肉球の周りに生える毛はフローリングの床で滑りやすく、猫の足腰に負担がかかります。
お尻周りの毛が長いと、排泄の際に糞がくっつきやすく尿もかかるため、シャンプーよりも短くカットをした方が清潔を保てます。
またお腹周りは、ブラッシングが苦手な長毛種の猫の場合毛玉ができやすいので短くカットをしておくことで毛玉を防げます。
短毛種にバリカンは必要ない
基本的に短毛種は毛を刈る必要はありません。
短毛種はこまめにブラッシングを行えば換毛期でも抜け落ちる毛が少なく掃除が楽なうえ、そもそも毛を刈るメリット自体が見当たりません。
人間の手で品種改良されて誕生した長毛種は猫の毛づくろいのキャパを超えていますが、短毛種は猫自身が行う毛づくろいで清潔が保てます。
もし短毛種にトリミングを行う場合は、足の裏や肛門周り程度のカットで十分です。
人間用をそのまま使わない
人間の毛と猫の毛では太さや柔らかさが違ううえ、猫の皮膚には柔らかい場所が多くあるので皮膚を傷つけやすいため、人間用のバリカンを猫に使用することは適しません。
人間用のバリカンは刃が荒く、猫の細い毛を綺麗にカットできませんが、猫用のバリカンは刃が山型のギザギザに細かく設計されているので、細くて柔らかい毛でもカットが可能です。
また猫用バリカンには静音機能が付いているものも多く、大きな音が苦手な猫のストレスを軽減します。
愛猫用のバリカンを選ぶ方法
目的に合わせた刃幅
刃の種類とアタッチメントの種類
コードの有無
振動・騒音の大きさ
メンテナンスのしやすさ
種類が多いペット用バリカンを選ぶ際のポイントを紹介します。
目的に合わせた刃幅で選ぶ
猫はじっとしていることが苦手なので、スピーディーにカットをすることが大切です。
サマーカットで全身の毛を短くしたい場合は、広範囲をカットすることのできる刃幅の広い(4〜5cm程度)バリカンが適しています。一気に刈ることで刈り残しや刈りすぎのリスクも減ります。
部分的にカットをする場合は、刃幅3cm以下のコンパクトなバリカンが扱いやすく、当たる面積も少なくて済むので猫への負担も減ります。
また猫は自分でグルーミングを行う動物のため、全身の毛を短くし過ぎるのは好ましくありません。
普段は部分用のバリカンで気になる部分の手入れをし、夏場は全身用バリカンを使用するなどの使い分けも必要です。
刃の長さとアタッチメントの種類で選ぶ
3mm
6mm
9mm
12mm
刃の仕様は刈りやすさと仕上がりに大きく影響します。自身の経験や猫の状況などを考慮して選ぶようにすると良いですね。
初心者やトリミングのテクニックに自信のない飼い主さんは、刃ミリ数が小さい(1〜2mm)ものを選ぶことが好ましいです。
刃ミリ数とはバリカン表面に露出している刃の長さのことをいいます。この数字が大きいほど玄人向けで安全に使用するには技術を要します。逆に小さいほど多少のミスをしても皮膚を傷つけにくいです。
毛質や毛量、希望の仕上がりなどによっても最適な刃ミリ数は変わります。替え刃のバリエーションをチェックしておくと後々いろんな場面に対応できます。
また長毛種にはアタッチメントが豊富に揃っているものを選ぶと、1つのバリカンで部位により好みの長さにカットすることができるので便利です。
コードの有無で選ぶ
猫用バリカンを選ぶ際は、乾電池式や充電式などコードレスのものがおすすめです。
コードレスなら場所を選ばず使用することができるため、猫が一番落ち着ける場所でくつろがせながらスムーズにトリミングを行うことができます。
またコードレスなら使いたいときにさっと取り出すことができるので、コードを繋いで準備をしている間にトリミングを察知した猫に逃げられる可能性も少なくなります。
振動・騒音の大きさで選ぶ
猫は振動や音に敏感なため、できるだけ振動や騒音の少ない猫用バリカンを選ぶことが望ましいです。一度「怖い」と感じると、その後なかなかトリミングをさせてくれなくなるためです。
騒音の目安は50〜60デシベル以下が適しています。
60デシベル | 1m以内で聞こえる洗濯機の音程度 |
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50デシベル | 1m以内で聞こえる換気扇の音程度 |
また犬猫兼用のバリカンの場合、「犬は怖がらなかった」という口コミがあったとしても、猫が怖がらないとは限りません。参考にする口コミは、猫へ使用した際のものを優先して見ると良いです。
メンテナンスのしやすさで選ぶ
ペットグッズを長く清潔に使うにはメンテナンスのしやすさが大切になります。
猫の毛は人間や犬の毛よりも細く本体の色々な場所に入り込むため、丸ごと水洗いをできるバリカンを選ぶことで毛詰まりを防ぎ清潔を保つことができます。
バリカンには毛やはがれた皮膚、ゴミなどが付着します。その汚れを放置すると雑菌が繁殖し、次に使用する際に皮膚に悪影響を与えます。猫の皮膚は薄くて敏感のため配慮が必要です。
また替え刃のあるバリカンなら刃を交換することでより長く使用することができます。本体そのものを買い替えるよりも経済的です。
猫の毛は柔らかくて刃が入りづらいので、常に切れ味の良い刃を使用することが大切です。刃を交換できないタイプのバリカンだと刃の寿命を忘れがちになり、バリカンまけの原因に繋がることもあり危険です。
愛猫の毛をバリカンで刈るやり方
セルフカットを行うことの多い手足、お尻、お腹をバリカンで刈る際のポイントを紹介します。
手足
肉球をおさえてはみ出した毛をカットします。バリカンなら肉球を傷つけることなくカットすることができます。
お尻
尻尾を優しく持ち上げて、バリカンを下から上にゆっくりと動かします。その際、バリカンは体に平行に当てて少しだけ角度をつけます。縦にカットし終わった後に、左右の毛をカットします。
お腹
お腹の毛のカットに特にコツはありませんが、お尻同様にバリカンを体に平行に当てて少しだけ角度をつけてカットします。素早く行ってあげることが肝心です。
愛猫の毛をバリカンで刈るコツ
リラックス中に行う
体の保定はしない
嫌がったらやめる
敏感な部位はいじらない
短くしすぎない
ここでは愛猫の毛を刈る際のコツを5つ紹介します。
リラックス中にカットする
愛猫はもちろん飼い主さんもリラックスした状態で行うことがベストです。飼い主さんが緊張しているとそれが猫に伝わり余計な不安を与えます。
体の保定はやめる
愛猫が動いて危ないからと、無理に保定(動かないようにおさえておくこと)をすることは良くありません。保定をされることでなにか良くないことが起こると思い、余計暴れてしまうこともあります。
日常的にブラッシングを行なっているならば、普段ブラッシングをしているときのように床やソファーでくつろいだ状態で行うと愛猫も怖がりません。
嫌がる場合はやめる
カット中に愛猫が嫌がる素振りを見せたら無理はせずすぐに止めるようにします。
愛猫のペースで時間を置き、リラックスしている時を見計らって再度チャレンジし、素早くカットをしてあげることがポイントです。
顔・毛足・尻尾はやらない
目や耳、鼻、手足、尻尾は猫にとって敏感な部位のため、初心者がセルフカットを行う際は、背中や脇腹、お腹のみにとどめて敏感な部位はいじらないようにします。
短くしすぎない
カットする際のイメージは長毛種が短毛種になるくらいの長さが理想です。
短すぎると皮膚が荒れたり、トリミング中に肌を傷つける恐れがあります。
正しい知識のもとで
セルフカットは経済的にも魅力的なうえ、気心のしれた飼い主さんが行うことにより愛猫へかかるストレスも軽減されます。
しかしバリカンはハサミに比べて初心者でも安全に使用することができますが、刃物であることにはかわりないので、使用する際は充分注意して扱う必要があります。
メリットとデメリットをよく理解して、正しい知識のもとでトリミングを行なってあげてくださいね。