愛猫が大きな口を開けてあくびをするしぐさは、とても微笑ましく飼い主として幸せを感じる瞬間でもありますよね。
しかし、猫があくびをするのは眠いときだけではなく、そのときの気持ちや体調の変化を飼い主さんに訴えている場合もあるのです。
この記事では、猫があくびをする意味、ケース、健康面での注意点、対策についてまとめました。
あくびに共通する意味
酸素を体内に取り込むため
顔の筋肉を動かすため
あくびをするのは人間に限ったことではなく、猫や犬、猿などの哺乳類・鳥類・爬虫類もあくびをします。
なぜあくびをするのかについての生物学的な原因や意味についてはきちんと解明されていませんが、主に2つの理由が考えられていますよ。
酸素を体内に取り込むため
あくびには、口を大きく開けて空気をたくさん吸い込み、脳や血管に酸素を送り込むことによって身体をリフレッシュさせる意味があります。
人間は眠くなった時や目覚めた時に大きなあくびをしますが、これは眠気を覚ますことで活動に向けての準備をしているのです。猫の身体全体を伸ばしながらのあくびは、とても愛くるしい姿ですよね。
顔の筋肉を動かすため
口を大きく開けることは、寝ている間に固まった顔の筋肉をほぐすストレッチ体操になります。同時に外気を体内に入れることで体温の調節も行っています。
人間は登山中や飛行機内など高所で気圧が変わったとき、あくびをすることで耳抜きを行い、耳の違和感がなくなりますね。猫も同じように、あくびによって内耳の圧力調整を行っているのです。
猫のあくびに隠された意味
叱られて反省
やる気を出す
ストレス緩和
転移行動
退屈
リラックス
体調に問題
猫のあくびには、眠気を覚ます以外にも様々な意味があります。それぞれの状況で出るあくびの意味を知っておくと、いま以上に愛猫との距離が縮められますよ。
叱られて反省している
猫は、叱られた時などに感じる強いストレスを緩和し、反省して次の行動に移ろうとしたときにあくびをします。
イタズラや粗相をした愛猫を叱っている最中に、あくびをされたことはないでしょうか。人間同士のやりとりに置き換えると小馬鹿にされた気がして、さらに怒ってしまう場面ですが、猫の場合はNGです。
怒り続けると愛猫に余計なストレスを与えることになってしまうので注意してくださいね。
やる気を出している
じっとした状態からむくっと起き上がり、身体を伸ばしたり腰を丸めたりしながらあくびをしたら、活動開始の合図です。これから何かをやろうとしているとき、動き出そうとしているときにあくびをします。飼い主さんとおもいっきり遊ぼうとしている、睡眠から覚めて運動しようとしている、ご飯を食べようとしているときなどです。
脳に酸素を入れ、顔や身体のストレッチをすることでコンディションを整えていますよ。
ストレスを感じている
猫はストレスを感じたときにも、あくびをします。
愛猫が身体を丸めて寝ていると、ホッコリして思わずなでたくなりますよね。愛猫が顔を上げてあくびをしたら、飼い主さんとしてはなおさら「かわいい」と声に出してしまうかもしれません。でもそのあくびは、猫にとっては不満を意味する表現なのです。「まだ眠いんだから」「起こさないで」という気持ちが込められたあくびですので、触りたい気持ちをぐっとこらえてください。
普段とは違う状況に遭遇したとき、知らない場所に連れて行かれたり、知らない人が家にやって来たりした場合にもあくびをします。あくびをすることで、ざわざわと高鳴る不安な感情を落ち着かせているのです。
ストレスを感じたときに出る猫のあくびは、ストレスをどうにか緩和しようと「頑張っている」サインです。飼い主さんとしては、そっと見守ってあげるのがベストな選択だといえます。
気持ちを切り替えている(転移行動)
興奮、緊張、動揺、葛藤などの気持ちを抑えるためのあくびもあります。
この行為は「転位行動」とよばれ、高い場所に何度も飛び移ろうと試みて失敗した時、動くものを追いかけても追いかけても捕まえられない時などにみられます。
あくび以外に毛づくろいや爪とぎを始めることもありますよ。
退屈している
せっかく飼い主さんの近くに寄ってきたのにかまってもらえないとき、「退屈だよ〜」「遊んでよ〜」の意思表示としてあくびをします。
眠くなったときや目覚めのとき以外であれば、できるだけ遊んであげてくださいね。
リラックスをしている
精神的になごんでいる、リラックスして落ち着いている状態では、フワ〜〜〜ッと目をしっかり閉じて大きなあくびをします。
日中、陽の当たる暖かい縁側にいるとき、飼い主さんに寄り添って寝転がっているとき、お気に入りの布団でくつろいでいるとき、飼い主さんに優しくブラッシングされているときなど、安全で安心できる場所にいる時などにみられます。
体調に問題がある
何度も繰り返しあくびをする、目を開けたままのあくびが多いという場合は注意が必要です。ひどいケースでは口腔ガンの危険があるからです。
あくびと同時に嘔吐したり苦しそうに下を向いたりしているときは、異物を飲み込んだり喉に何かが詰まっている可能性があります。またくしゃみ・鼻水・よだれ・涙が出たりしているなら猫風邪の疑いがあります。
普段とはまったく違うあくびの仕方だと感じたら、すぐに獣医さんに診てもらってくださいね。
猫のあくびが臭いときは要注意
猫のあくびが臭い時は病気の可能性があります。
定期的にあくびの臭いをチェックしてみることをおすすめします。
口内の病気の可能性
愛猫のあくびが異常に臭かったら、口内や内臓に問題が生じている可能性があります。
以下の項目を参考に、舌や歯、歯茎などの口腔内の様子を観察してください。
口内のチェック項目
愛猫の口臭がきついときに確認したい具体的なポイントを紹介します。
口内はきれいなピンク色か
口内に炎症はないか
歯茎に腫れはないか
出血はしていないか
歯石がたまっていないか
よだれがたくさん出ていないか
口内に潰瘍ができていないか
このほかにフードはいつもどおりの量を食べているか、食べるときに痛がるようなしぐさがないか、愛猫が舐めたところが臭くないかも確認します。よだれが多く出ている、口内がただれている、出血しているという場合は、口内炎にかかっている可能性があります。
愛猫の健康維持は早期発見が大切なので、日頃から注意深く観察してあげてくださいね。
猫のあくびからわかる口内トラブル
口内炎
歯垢・歯石
歯肉炎・歯周炎
腎不全
猫風邪
定期的なケアで治療できるものから動物病院での早急な治療が必要なものまで、口臭のきつさが症状として出てくる代表的なトラブルを紹介します。
口内炎
硬いものや尖ったものを食べて歯茎に傷がつくことで口内炎を発症、あくびをしたときの息が臭くなってしまうのです。
フードを食べる量がいつもより少なくないか、食べにくそうにしていないかを観察してください。傷が原因で口内炎になったのであれば、傷が治ると炎症もおさまり口臭も減りますよ。
歯垢・歯石
歯垢や歯石の蓄積が原因で口臭がきつくなることもあります。
症状が軽い場合は口腔洗浄剤による口内掃除や歯磨きで対策できますが、症状が重い場合は抗生剤や抗炎症剤の使用や獣医さんの治療が必要になることもあります。
歯肉炎・歯周炎
重度の歯肉炎や歯周炎になってしまったら、動物病院で治療をしなければなりません。
歯垢や歯石、蓄積した汚れや炎症の組織を取り除く口内クリーニングをしますが、麻酔が必要になるため愛猫の身体には大きな負担がかかることになります。
口内に食べカスが残りやすいウェットフードを食べさせている場合は、日頃のケアを怠らないようにしてあげてくださいね。
腎不全
あくびをしたときの口臭のきつさに加え、おしっこの量や水を飲む量が増えているなら腎不全が疑われます。
腎不全は猫に多い病気で、急性腎不全になると口臭の悪化や脱水症状を併発します。下痢や嘔吐がないか、ぐったりしていないか、食欲が落ちていないかを確認し、症状が出ている場合はすぐに病院へ連れて行ってください。
猫風邪
「鼻水やくしゃみの増加」「食欲減退」「発熱」「よだれがたくさん出る」「口臭がきつい」という症状がみられたら、猫風邪(上部気道感染症)をひいている可能性があります。
ウイルス性が多いとされますが、舌に潰瘍ができることもあるため痛みからフードを食べられず体力が衰えてしまうことも珍しくないです。屋外に自由に出入りできる猫を飼っている場合は予防接種や定期検診を心がけてください。
猫のあくびが臭いときの対策
歯磨きをする
フードを変える
免疫力を上げる
愛猫の吐く息が臭いなと感じたら、早めに手を打つことが大病対策に繋がります。「うちの子はまだ大丈夫」という飼い主さんこそ参考してくださいね。
歯磨き・デンタルケアをする
口臭や口内トラブル防止の近道は、日頃からの歯磨きを欠かさないことです。歯間や口内の汚れを除去し、細菌の繁殖を未然に防いでください。ケアを続けることであくび時の臭いも減っていきますよ。
キャットフードを変える
匂いがきついフードを与えていると、口臭もきつくなります。
最近では口臭に気を使ったフードも販売されているので、愛猫の体調や好みに応じて検討してみてもいいですね。
免疫力を上げる
体調が悪かったり高齢になってくると、身体の免疫力が衰えます。
免疫力が低下した状態は口内の食べカスが細菌として繁殖しやすい状態ともいえるので、免疫力の維持をサポートすることが大切です。