メス犬には半年に一回ほど生理がやってきますが、猫はどうなのでしょうか。メス猫に出血があった場合の理由、対策方法をまとめました。
猫に定期的な生理はこない
人間や犬にみられる定期的な生理出血は、猫には起こりません。
人間や犬のような毎月の排卵は猫にはなく、交尾をしたときに排卵を行います。これを「交尾排卵」と呼びます。交尾排卵には生理出血によって血液を失わずに済み、また効率よく子孫を残すことができるメリットがあります。
メス猫の下半身から出血がみられた場合は生理出血ではなく、何らかの病気やトラブルの可能性があります。陰部からの出血の場合、考えられるのは泌尿器か子宮の病気です。どちらも重大な病気で命にかかわることもあるので、早急に動物病院を受診してください。
猫の出血、泌尿器の病気の場合
血尿など尿に関わる異常がみられ、ぐったりとして食欲がない場合は泌尿器の病気が疑われます。血尿がみられる病気の中でも最も多いのは、膀胱結石や尿道結石などの「尿石症」です。尿石症は尿道が細く長いオス猫に多くみられる病気ですが、メス猫でも食事内容の偏りなどが原因で発症することがあります。
他には、内臓にケガや炎症がある場合や、タマネギを食べて溶血を起こしている場合にも、血尿がみられることがあります。
血尿は放っておくと急速に容体が悪くなって死に至ることもあるため、すぐに動物病院を受診する必要があります。特に真っ赤な尿が出ている場合はとても危険な状態です。尿の状態や尿をしているときの様子など気になることををメモし、獣医師に伝えてあげてくださいね。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
師 渡邉鈴子さん
尿結石では、結石による尿路閉塞も注意しなければなりません。尿路閉塞になると急性腎不全につながることがあります。普段からミネラルバランスを考慮したペットフードを与えるように心がけましょう。
猫の出血、子宮の病気の場合
避妊手術をしていないメス猫の場合、陰部に血と汚れがついている場合は子宮の病気が疑われます。子宮の病気の場合、最も多いのは「子宮蓄膿症」です。これは子宮が細菌に感染し、膿がたまって起こるもので、避妊手術をしていない5歳以降のメス猫に多くみられる病気です。発情後期から妊娠中にかけて、ホルモンバランスの変化により免疫力が落ちたことや、飼育環境が不衛生であることが感染の原因になります。避妊手術をしたメス猫の場合は子宮を切除しているため、子宮蓄膿症になることはありません。
子宮蓄膿症にかかったメス猫は陰部が汚れがちになり、元気や食欲がなくなります。飲多尿となり、水をたくさん欲しがるようになります。放っておくと細菌が子宮から漏れて腹膜炎を起こし、死に至ることもある危険な病気です。病院では手術によって膿を取りのぞき、同時に抗生物質を使って洗浄を行います。発見が早ければほとんど助かる病気でもあるので、一刻も早い処置をしてあげてくださいね。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
子宮蓄膿症は開放性と閉鎖性の二種類があります。開放性の子宮蓄膿症であれば、陰部から膿が出てくるため異常に気付きやすいですが、閉鎖性の場合陰部からの排膿は見られないため注意が必要です。普段からコミュニケーションを取ってお腹が少し膨れ上がっているなと感じたら動物病院で診てもらうことをおすすめします。
猫の陰部から出血はすぐに動物病院へ
猫の陰部からの出血は、命に関わる病気の可能性が高いです。自然治癒を期待せず、急いでかかりつけの動物病院を受診することが必要です。普段からスキンシップをとり、排泄物を確認し、体調に異変がないか注意するように心掛けてあげてくださいね。