スカイテリアは洗練された優雅な外観をしたスコットランドのスカイ島原産のテリア犬種です。
猟犬として誕生し、何世紀にもわたってイングランドやスコットランドの王室で気に入られています。「スコットランド版の忠犬ハチ公」として有名な「ボビー」もこの犬種とされています。
今回の記事はスカイテリアの性格、体重や被毛色の特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてまとめました。
目次
スカイテリアの歴史や特徴は?
歴史
スコットランドのスカイ島やミスティ島に存在していた灰色短毛のテリアが、スカイテリアの起源とされています。ビクトリア女王に寵愛されたことや、動物画家であるエドウィン・ランドシーアが絵の題材に用いたことで知名度が上がり、ペットとして人気が広がりました。
1800年代後半にアメリカに渡り、1887年にはAKC(アメリカンケネルクラブ)の公認を受けましたが、人気が低迷し現在では絶滅が危惧される犬種の一つとされています。
出典:JKC「スカイ・テリア」
特徴
体高 23~25cm
体重 8.5~10.5kg
被毛 ロングコート
被毛カラー ブラック、ダークグレーまたはライトグレー、フォーン、クリーム
スカイテリアの体高23~25cm、体重8.5~10.5kg前後の小型犬に分類されますが、しっかりとした体格をしています。
見た目
スカイテリアは、体高の2倍ほどある長めの胴体、体に沿って流れるように生える12~13cm前後のロングコート、頑丈なアゴが特徴的です。長い胴体はキツネやアナグマを追跡して地面の中を進んでいくことができるように進化を遂げたものです。耳は立ち耳と垂れ耳の2タイプがあり、立ち耳の方が人気は高いようです。尾はサーベル形の垂れ尾で長い飾り毛あります。
被毛
被毛はダブルコートで、密生する短いアンダーコートと硬い直毛のアウターコートが生えています。厳しい天候や獲物の牙などから身を守るのに役立っています。額と目を覆っている長い飾り毛は、イバラや追い詰めた獲物の攻撃から眼を保護する役目をはたします。被毛カラーはブラック、ダークグレーまたはライトグレー、フォーン、クリームのいずれかで、ブラックポイントがスカイテリアの特徴です。
スカイテリアの性格は?
特徴
勇敢
愛情深い
忠実
警戒心が強い
飼い主に忠実
スカイテリアは勇敢で気立てよく、飼い主や家族に忠実な性格をしています。「グレーフライアーズ・ボビー」というスカイテリアが、飼い主の死後14年間もの間ずっとお墓を守り続け、追い払われても戻ってきて離れなかったという忠実さを表す逸話が残されているほど、忠実さを持ち合わせている犬種です。
警戒心がありやや頑固
スカイテリアは頑固な一面もあり、怒ると噛みついたり攻撃的になったりすることもあります。しつけがなっていないうちは小さい子供がいる家庭では気をつけてください。見知らぬ人に対しては疑い深く警戒するので番犬にも向いていますが、トラブルに発展させないようしつけで行動をコントロールできるようにしておくといいですね。
スカイテリアの寿命や病気は?
寿命
12~14年前後
スカイテリアの平均寿命は12~14年前後であり、小型犬の中では平均的です。
病気
軟骨異形成
椎間板ヘルニア
緑内障
スカイテリアが気を付けたい病気は「軟骨異形成」「椎間板ヘルニア」などです。
軟骨異形成
長い胴体に対して足が小さいので、成長期には「軟骨異形成」などの筋骨格系の病気になりやすいです。幼犬の頃は過度のジャンプや、よじ登りをあまりさせないようにしてください。フローリングにカーペットなどの緩衝材を敷いてあげることもおすすめです。生後24ヶ月までは長い散歩や階段登りはできるだけ避けてあげます。
椎間板ヘルニア
「椎間板ヘルニア」にもなりやすく、放っておくと神経マヒが起こり半身不随になる恐れがあります。足を引きずるなどの兆候がみられたらすぐに病院へ連れて診察してもらってください。体重が重いほど関節への負担も大きいので、食事管理で肥満防止に努めることも大切ですよ。
緑内障
眼圧が高くなることで視力低下や痛みを発症します。「元気がない」「眼が白っぽくなってきた」「物にぶつかるようになった」などの普段とは違った様子が見られたらすぐに病院へ。視力回復はできませんので、早期治療で視力維持をする必要があります。
スカイテリアの飼い方は?
飼育環境
スカイテリアを日本での飼育する際は、室内での飼育がオススメです。それほど運動量を必要としないため、都内でも飼育しやすいですよ。
病気やケガに注意したいので、フローリングにカーペットを敷いたり、高いところへ行かせないようにしてください。
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
スカイテリアとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、滑って関節を痛めないようすべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。高いところへ登らせないよう、家具の配置に気を付けてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
スカイテリアとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛の手入れは、良質のブラシとメタルコームを使って毎日ブラッシングとコーミングを行ってください。長毛で皮膚が隠れているので、皮膚病対策のために定期的に皮膚の状態をチェックしてあげてくださいね。
目と口の周りの毛が特に汚れやすいです。炎症を起こしやすい場所なので、美しい被毛を保つためにも小まめな手入れをしてあげてください。結膜炎などの目の疾患対策のために目にかかる長毛をカットすることもオススメです。飼い主さん自身でのカットが不安であれば、トリマーさんにお願いしてみて下さいね。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
スカイテリアの運動やしつけは?
散歩や運動
スカイテリアは激しい運動を必要としません。そのため散歩などは1日2回30分程度で十分でしょう。散歩の時間を多く作ることができない人や、あまり体力に自信がない方はちょうど良いかもしれませんね。
とはいえ、あまりにも運動不足であるとストレスを溜めてしまいます。常に吠えたり噛み付いたりして飼い主の気を引こうとするようになりますので、気をつけてくださいね。
しつけ
しつけは子犬の頃から始めましょう。主人と認めた相手にしか心を許さない傾向があるので、主従関係をしつけ服従訓練を徹底する必要があります。頑固な一面があるので、厳しく高圧的な態度で接するのはオススメではありません。たくさん誉めて伸ばすようにしつけてあげてください。
人見知りをする面もあるので、幼犬の頃から他の犬や人とたくさん関わらせて社会性を身につけさせると、友好的で陽気な一面を引き出すことができますよ。
犬の思春期(反抗期)?
実は犬にも思春期があります。個体によってその差はありますが、心のバランスを保とうと反抗的な態度をとるようになります。
しつけをしっかり終えても「噛む」「唸る」といった行動をする場合は、愛犬が思春期を迎えたのかもしれません。この場合は再度しつけるのではなく、温かい気持ちでそっとしておきましょう。反抗的な態度をとる状況を作らないようにする、という対応が有効です。
ただし、ホルモンバランスの変化によってトイレの失敗が起こる場合もあります。この場合は思春期を終えてもトイレが成功するとは限りませんので、再度トイレトレーニングをしてくださいね。
スカイテリアにおすすめのドッグフードは?
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
ドッグフードの場合は裏面に記載されている量を与えるようにしましょう。ただ、体重との換算表は愛犬が「理想体型」であることが前提ですので、太っている子や痩せている子の量は調整が必要になります。子犬やシニア犬の場合も同様で、体形や体質を確認を確認しながら量の調整を行ってくださいね。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
スカイテリアを迎え入れる方法は?
スカイテリアを迎え入れる方法としては、「ブリーダー」「里親制度」などの利用が挙げられます。
ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数を確認すると、2015年以降は名前の記載がありません。そのため、日本では気軽に出会うことは難しく、ブリーダーも少ないため海外からの輸入になる可能性がありますよ。
忠誠心に溢れるテリア
スカイテリアは甘えたがりの性格で、健康的で運動量も多くない犬種なので都会でも飼育しやすいです。
特徴的な外見で日本には少ない犬種なので、珍しい犬種を飼いたいという方におすすめです。
被毛の美しさも目を引く犬種なので、ドッグショーを目指すことも十分可能な犬種ですよ。