アラスカンマラミュートは、北極のそり犬として活躍していた犬種です。
最近の研究によって、狼とDNAがかなり近いこともわかっていますよ。
この記事では、アラスカンマラミュートの性格や特徴、子犬の迎え入れ費用や迎え入れ方、しつけや寿命についてまとめました。
目次
極寒の地域原産!アラスカンマラミュートの基本情報
歴史
寒さの厳しいアラスカ西部が原産国で、エスキモーであるマラミュート族に飼育されてきました。
ソリ引き、アザラシやホッキョクグマなどの狩猟、漁業など人々の生活に欠かせない存在として活躍していましたよ。
18世紀に異種交配が進んだことで純粋な血筋の子が大幅に減りましたが、1920年代に1人の愛好家が純粋なアラスカンマラミュートを発見したことで、保存運動の機運が高まり再び繁殖数が増加、現在に至ります。
性格
アラスカンマラミュートの性格は、「従順で忠実」「活発でエネルギッシ」「独立心が強く頑固」などです。
従順で忠実
アラスカンマラミュートは人間に対して従順で忠実な犬種です。そりを引く犬であったことから飼い主さんの指示はきちんときくので、しつけはそこまで苦ではないでしょう。家族に対して愛情深く、子供たちとも良好な関係を築くことができますが、独立心や頑固さも兼ねそろえているため、子犬の頃からの徹底したしつけや社会化が必要です。様々な環境で人間や動物に慣れさせるといいかもしれません。
活発でエネルギッシュ
アラスカンマラミュートは非常に活発でエネルギッシュな犬種でもあります。犬ぞりや狩猟で活躍していたので、豊富な運動をしないとストレスが溜まってしまいます。十分に長い散歩やランニング、引っ張る遊びを入れた運動をなど、活発な運動量を確保できる人が望ましいでしょう。
独立心が強く頑固
個体差はありますが、独立心が強く頑固な一面も見られます。そのため、一貫性のないしつけや頼りない飼い主さんに対してはいう事を聞かなくなり、自分で判断して行動してしまうことも。忍耐強く取り組む必要がありますよ。
大きさや特徴
男の子 | 体高:63cm前後 体重:38kg前後 |
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女の子 | 体高:58cm前後 体重:34kg前後 |
体高よりも体長が長く、重たい荷物を長距離運べるほどの太い骨格と強靭な筋肉を持っています。比較対象として挙げられるシベリアンハスキーよりも大きく、大型犬に分類されます。
「小さめの立ち耳」と「大きいマズル」「巻き尾」が特徴的です。目は茶色のアーモンド形でオオカミに似て鋭いですが、表情は穏やかで優しい印象。
被毛カラーはグレーを中心とした黒系統の色合いと、セーブル、レッドなど茶色系統の色合いのものに大きく分かれ、単色はホワイトのみ認められています。
JKCに登録されているのは69頭だけ!
JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)に登録されているアラスカンマラミュートは69頭。
アラスカ原産のアラスカンマラミュートには、日本の高温多湿の気候は相性が悪く、エアコンは常時稼働させる必要があり電気代が非常にかかります。
また、シベリアンハスキーよりも体が大きく、快適に過ごせるスペースを屋外屋内ともに十分に確保できるのが理想的です。
アラスカンマラミュートにとって適した環境を整えられる家庭のほうが圧倒的に少ない、というのが登録数に表れていますね。
ブリーダー?犬舎?アラスカンマラミュートの迎え入れについて
迎え入れにかかる費用
アラスカンマラミュートの子犬の迎え入れにかかる費用は、およそ40万円です。
ショータイプや両親の血統が良い子の場合は50~100万円にもなります。
迎え入れ先について
アラスカンマラミュートの迎え入れ先は、「ブリーダー」「アラスカンマラミュートの専用犬舎」のどちらか。
専門的な知識やアラスカンマラミュートのことを熟知している専用犬舎で、まずは見学や相談してみるのがおすすめです。
アラスカンマラミュートにとって快適な環境は?
飼育するために準備しておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
アラスカンマラミュートとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
十分な居住スペースの確保
大型犬であるアラスカンマラミュートが飼いにくいと言われる理由の一つに、十分な広さの生活環境を用意できないというのがあります。
日本の各家庭の家、敷地の広さは、欧米などよりも狭く大型犬には窮屈に感じてしまうかもしれません。
また、マンションなどの賃貸では飼えないこともあります。家、庭に十分なスペースがなければ一緒に暮らすのは難しいでしょう。
必要な運動量が多い!
アラスカンマラミュートは極寒の地域でソリを引き狩猟をしていた犬種で、かなりの運動量が必要です。1日2回1時間ずつの散歩、もしくは自転車で1時間程度走らせるなどたっぷり運動させましょう。
飼い主さんが呼んだらどんなときでも戻ってくるようなしつけが完了していれば、敷地内でリードをつけず自由に走りまわれるのが理想的。
運動不足でエネルギーが発散できないと問題行動の原因になります。運動させることができない環境なら、迎え入れる判断は見送りましょう。
暑さ対策必須
アラスカという寒い地域原産のアラスカンマラミュートは、暑いのが非常に苦手。一緒に快適に過ごすには暑さ対策が必須です。
私たち人間にとって4月5月は薄着でも過ごしやすい気温ですが、わんちゃんにとっては暑く熱中症にかかりやすいので注意しましょう。
エアコンはもちろん、いつでも新鮮な水が飲めるようにして用意してください。エアコンがない部屋は扇風機で空気を回し、ひんやりするマットなどを敷いて対策しましょう。
アラスカンマラミュートの食事について
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。
これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。
選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。穀物にアレルギーも持つ子は「グレインフリー」の表示があるドッグフードを選びましょう。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。
いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用する子ことで手軽に提要を追加することができます。
食事量
普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。
ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変えてみる
食器や食事の場所が関係する場合は、これらを変えるようにしてみましょう。フードを入れる容器や水飲み場を食事しやすい食器に変更したり、落ち着いて食べられるスペースを確保してあげるといいかもしれません。「飼い主さんと過ごす時間が足りない」「運動不足」などでストレスを抱えている場合もあるので、たくさん遊んだり散歩の時間を増やしてストレスを発散させてみるのもオススメです。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。口内炎など痛みを伴う場合食べたくても、食べられない可能性があります。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
アラスカンマラミュートの寿命・病気について
寿命
アラスカンマラミュートの寿命はおよそ11年で、大型犬の中では平均的です。
かかりやすい病気は?
胃捻転
胃捻転は、食事内容や与え方、生活習慣、食後すぐの激しい運動などなんらかの原因で拡張した胃がねじれる病気です。「さっきまで元気だったのに…」と突然発症するのが怖い病気でもあります。
胃の中にガスが充満するため、腹部が風船のように膨らんで見えます。膨らんだ胃が周囲の血管や臓器を圧迫し、呼吸が荒くなることも。
食後すぐの激しい運動をすることで発症しやすいため、ごはんの時間と散歩等の時間は必ず2時間程度空けてください。
胃捻転は早く処置をしないと命の危険があります。もし愛犬の様子に異常がみられたら、すぐに病院へ連れて行ってください。深夜でも診てもらえる病院を事前に探しておくのをおすすめします。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
胃捻転は、早食いでも起こる可能性があります。早食い防止のためのお皿なども販売されているので購入を検討してもいいでしょう。
股関節形成不全
股関節が正常に発達せず、痛みを感じたり足を引きづって歩いたり、歩行に異常がみられる病気です。
遺伝性疾患で大型犬に起こりやすいため、もしもアラスカンマラミュートを迎えいれたいときはブリーダーさんに確認しておきましょう。
生活環境や体重、ご飯の内容などさまざまなことが要因になっているとも考えられているため、室内は滑らないようカーペットやラグで対策。肥満にならないため給与量を徹底する、など工夫してください。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方やモンローウォークと呼ばれる腰を左右に振る歩き方をします。このような歩き方をしていたら動物病院を受診しましょう。
抜け毛が多い?アラスカンマラミュートのお手入れについて
被毛ケア
シャンプー
歯磨き
爪切り
耳掃除
アラスカンマラミュートとの生活をより良くするためには、日々のこまめなケアが欠かせません。
被毛ケア
アラスカンマラミュートの抜け毛は多く、特に換毛期は非常に多いです。
少しすくだけでも40Lのポリ袋がいっぱいになるという飼い主さんの意見もあり、被毛のお手入れは大変だと覚悟しておきましょう。
シャンプー
1~2ヶ月に1回を目安に行います。
シャンプー前にブラッシングで余計な抜け毛を取り除いておくと、毛が絡みにくくなってシャンプーしやすくなりますよ。
シャンプーが終わった後は流し残しのないように、丁寧にすすぐことも忘れないでくださいね。
歯磨き
定期的な歯磨きは口腔疾患のケアに繋がります。
指に巻いたガーゼで歯の表面に付着した汚れをふき取るようにします。
爪切り
血管を傷つけないように、爪の先端から少しずつ切るようにします。万が一の時のために止血剤も用意しておくといいですよ。
耳掃除
耳掃除は、耳が汚れているタイミングで行います。
「耳垢が増えた」などいつもと違う様子であれば、病院で診察を受けるようにしてくださいね。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。
初心者は難しい?アラスカンマラミュートの飼育難易度
アラスカンマラミュートはソリを引いたり狩猟の手伝いをしたり、昔から人と一緒に生活してきました。そのため、上手にしつけができれば従順なパートナーになります。
ただ、賢く物分かりが良いので飼い主さんを困らせることは少ないですが、頑固で納得しないと従わない一面も。
原始的な犬種はしつけの難易度が高いとも言われており、犬のことに詳しく一緒に生活した経験がある「知識も経験も豊富な方」ではないと難しいでしょう。
相当な運動量が必要で、家や庭の広さもそれなりにあるのが理想です。迎え入れたいときは、ブリーダーさんや専用犬舎で相談してください。