「ごめん寝」という言葉を聞いたことはありますか。猫の寝姿の一つで、最近ではその可愛らしい姿がSNSにも多くアップされ反響を呼んでいます。
ごめん寝といっても、もちろん実際に謝っているわけではありません。猫がごめん寝をするのには理由がいくつか考えられます。
この記事では、愛猫がごめん寝をする理由とストレス対策、病気の可能性のチェックポイントなどをまとめました。
ごめん寝とは?
「ごめん寝」とは、猫が前足の間に顔を埋めたり、床に顔をつけたりして寝ている猫の寝姿の一つです。まるで「ごめんなさい」をしているように見えることから「ごめん寝」と呼ばれています。
ごめん寝は、すべての猫がするわけではありません。猫の個性によるところも大きく、よくする猫もいれば、まったくしない猫もいます。
猫がごめん寝をする理由
まぶしさに顔を隠している
周りがうるさい
うつ伏せのまま寝ている
猫がごめん寝をする理由は大きく分けて「まぶしさに顔を隠している」「周りがうるさい」「うつ伏せのまま寝ている」の3つが考えられます。
まぶしさに顔を隠している
猫は目をつぶっていても瞼で光を感じるため、まぶしさから顔を伏せた「ごめん寝」の体制をすると考えらえます。動体視力が良い猫は、眼球で光をキャッチする能力が高いため、わずかな光でも明るく見ることができる機能が発達しています。これは、網膜の後ろに「タペタム」という反射板の役割を担っている器官で光量を増幅させることができるからです。
暗い部屋へ行けばいいものの、まぶしいと感じる部屋から離れない理由としては、その場所が暖かかったり飼い主さんの側にいたいなどの理由が考えられます。でもまぶしい・・・!だから「ごめん寝」をしているのかもしれません。
周りがうるさい
猫は聴力も優れている動物で、その能力は人間の4倍以上です。「ごめん寝」をすると耳が下を向き音が遮断されやすくなるため、周囲がうるさいと感じたときにごめん寝をするともいわれています。猫の目は光を増幅させる機能こそ優れているものの、視力自体は人間の視力でいうと0.3ほどしかないため、優れた聴力で獲物の鳴き声や動きを聞き取り狩りを行っています。
睡眠中もずっと聴覚を働かせていますが、これは音を遮断してしまうと自然界では危険が多く自分の身を守ることができないからです。寝ている猫が物音に反応して耳や尻尾を少し動かしたりするのも、「聞こえているよ」という合図をしているためなのです。
うつ伏せのまま寝ている
猫が座ったり伏せたりしている状態で眠気に襲われ、横倒しにならずに頭を前に倒して寝てしまった場合も「ごめん寝」の体勢になります。猫は体が柔らかいので人間からすると辛そうに思える体勢でも眠ることができます。猫がリラックスをしてのんびりしている状態で前足を胸の下にたたみ込む「香箱座り」からごめん寝になることも多いですね。
また、子猫の頃に母猫の体に顔をうずめて眠って安心していた名残から、顔を下に向けて眠る姿が「ごめん寝」をしているように見えることもあるようです。
これもごめん寝?壁に頭を押し付けるなら病気の可能性も
体調不良のサイン?
「ごめん寝」は、主に床に頭をつけて寝ている状態のことを指します。しかし中には、壁や柱などの硬いものに頭を押しつけた「ごめん寝」があります。一見、ユニークで面白いと感じますが、急いで病院へ連れて行かなければならない状態かもしれません。なぜなら、「ヘッド・プレッシング」という体調不良のサインの可能性が考えられるからです。愛猫の様子を注意深く観察するようにしてください。
ヘッド・プレッシングとは?
「ヘッド・プレッシング」とは、脳に何かしらのダメージが発生している時に見られる行動です。愛猫がヘッド・プレッシングをしているならすぐに病院へ連れて行きましょう。何かしらのウィルスの他、脳腫瘍や脳卒中、頭部外傷、脳炎、毒物中毒などを起こしている可能性が考えられます。
ヘッド・プレッシングの様子と合わせて見られる行動は?
視覚障害が起きている
発作を起こす
(起きているのに)じっとして動かない
壁をずっと見つめている
同じ場所をウロウロする
円を描くように歩き回る
床や地面に顔を擦りつける
反射神経が鈍くなる
ヘッド・プレッシングの様子は個体によって違いますが、頭を固いものに押しつける仕草に加えて上記のような症状や行動が見られます。違和感を感じる動きをしている場合は疑ってみて下さい。
ヘッド・プレッシングから疑われる病気は?
脳卒中
脳腫瘍
脳炎
全脳疾患
毒物中毒
門脈体循環シャント
頭部外傷
肝性脳症
神経系の感染症
代謝性疾患
愛猫がヘッド・プレッシングをしている場合は、脳に関する病気やダメージ、代謝の疾患や感染症などの様々な病気が考えらえます。ここに記載してある病気は放置していいものではありません。すぐに病院へ連れて行きましょう。
がたくさん寝る理由は?ごめん寝はストレスのサイン?
体力を温存するためにたくさん寝る
猫の名前の由来は「寝子」からきていると云われるほど、よく寝る動物です。1日の平均睡眠時間は12〜16時間、子猫はさらに長く18〜20時間で1日のほとんどを寝て過ごしていることになります。よく寝る理由としては、狩りでいざという時に力を発揮するために普段から体力を温存しておく必要があった名残だと考えられています。
レム睡眠(浅い眠り)の時間が多い
猫はレム睡眠(浅い眠り)の方が長いため、わずかな物音や気配で起きます。これは野生時代の名残であり、熟睡をしてしまうと敵の攻撃を回避することができなくなるからです。ぐっすりと眠るノンレム睡眠(深い眠り)を極端に短く、うたた寝やちょっとした休息状態を繰り返し浅い眠りの時間を長くとることで、十分に体力を温存する時間を作っているのです。
ストレスを溜めているかも
このような理由からたくさん寝る猫なのですが、「ごめん寝」という眠りのポーズはストレスが溜まっている可能性も考えらえます。特に、「まぶしい」「うるさい」といった理由からこのポーズをするようであれば、飼育環境を見直す必要があるかもしれません。飼い主さんが夜遅くまで部屋の明かりをつけていると睡眠の質が悪くなってしまいます。人間も明るい場所で寝ると疲れが取れなかったり眠った気がしなかったりしますよね。同様に、猫も適切な睡眠ができていない可能性があるのです。
ストレスを減らすための対策
飼育環境を変えてみる
夜更かしを減らす
静かな時間帯を作る
愛猫がごめん寝をたくさんするようであれば、生活環境からストレスを感じているかもしれません。「飼育環境を変えてみる」「夜更かしを減らす」「静かな時間帯を作る」を取り入れ、ストレスを減らす工夫をしてみてください。
環境を変えてみる
愛猫がごめん寝をしていたら、ブランケットやタオルなどをかけて光を遮断してあげましょう。また蛍光灯をLEDに変えるだけで、猫が敏感に反応する光のちらつきや振動音がなくなり、環境がぐっと良くなりますよ。
夜更かしを減らす
夜更かしの頻度を減らすことで、愛猫のストレスを減らすことが出来ます。暗い場所に寝床を用意しても、飼い主さんが気になって側によってきて、近くでごめん寝をするかもしれません。飼い主さん自身の健康のためにも、夜は早く寝るようにしましょう。
静かな時間帯を作る
静かな環境を作ることも重要です。テレビや動画の音量を下げたり、生活音を抑えるようにしてみましょう。動画などはイヤホンをしたりして、愛猫に聞こえないようにしてもいいですね。
ごめん寝の理由を見つける
いかがでしたでしょうか?
猫がごめん寝をしている姿はとても愛らしく、SNSでもその可愛らしい寝姿が話題となっています。
そのほとんどは健康状態に問題があるわけではありませんが、中には重大な病の兆候である場合や生活環境になんらかの不満を持っているサインかもしれません。
愛猫がごめん寝をしていたら、その背景や行動をしっかりと観察をしてください。ごめん寝の理由を見つけてあげることが大切です。