オーストラリアンキャトルドッグはオーストラリア原産の牧牛犬の一種です。
万能な牧畜犬として人気が高く、アメリカの西部やニュージーランドでも活躍している犬種です。
今回の記事ではオーストラリアンキャトルドッグの性格、体重や被毛の特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてご紹介します。
目次
オーストラリアンキャトルドッグの歴史や特徴は?
歴史
オーストラリアンキャトルドッグはオーストラリアの開拓史と共に、オーストラリアの発展に重要な役割を果たした犬種です。
オーストラリアンキャトルドッグの始まりは、牧羊業のメインストリームがイギリスからオーストラリアに移行した1840年頃まで遡ります。オーストラリア開拓民のメンバーの一人であるトーマス・スミス・ホールが、スコットランドからブルーマールを輸入し、さらにダルメシアンやオーストラリアンケルピーの血を加えて生み出したのが、オーストラリアンキャトルドッグです。
一説では、オーストラリアンキャトルドッグの中心となった犬はブルーマールではなく、絶滅したイギリスの牧羊犬であるブルーヒーラーであるとも言われています。
オーストラリアンキャトルドッグは、広大な土地を駆け回る強靭な肉体で牛の大集団を統率し、一定の場所に追い込む忍耐力と危険を顧みない不屈の精神力を併せ持つ犬として重宝されています。
出典:JKC「オーストラリアン・キャトル・ドッグ」
特徴
体高 43〜51cm
体重 16〜20kg
被毛 ダブルコート
被毛カラー ブルーまたはブルーの班他
オーストラリアンキャトルドッグは体高43〜51cm、体重16〜20kg前後の中型犬に分類されています。
地中に穴を掘って出産をする、低く身を伏せて危険を回避する、離乳が早いなどの特徴があり、親先祖である「ディンゴ」の影響を受けているといえます。
見た目
コンパクトですが筋肉質でがっしりとした体形です。ピンと立った耳に鋭い顔つきから野生的な美しさをうかがえます。胴は長めで胸は広く、首と脚は太いです。尾は垂れてフサフサとしています。
被毛
被毛はまっすぐで短めの上毛と密生した短い下毛のダブルコートです。オーストラリアの環境にはぴったりですね。カラーはブルーまたはブルーの斑、ブルーの小斑、レッドの小斑などです。
オーストラリアンキャトルドッグの性格は?
性格
知的
忠実
高い忍耐力
独立心が強い
忠実
飼い主には忠実
オーストラリアンキャトルドッグは知的で忠実、忍耐強い性格で度胸と行動力も持ち合わせています。飼い主とその家族には忠実で人懐っこい性格ですが、見知らぬ犬や人にはなかなか慣れようとしません。子犬の頃から慣れさせる環境を作るといいかもしれませんね。
頑固で独立心が強い
オーストラリアンキャトルドッグは強い独立心からか頑固な一面があります。頑固な牛たちを思い通りに動かすために必要な資質であり、まさにオーストラリアンキャトルドッグならではの性格といえます。子犬の頃からの一貫したしつけを行い、自分勝手な行動をコントロールできるようにしておくと安心です。
オーストラリアンキャトルドッグの寿命や病気は?
寿命
10~13年前後
オーストラリアンキャトルドッグの平均寿命は10~13年前後です。中型犬としては平均的です。
病気
股関節形成不全
進行性網膜萎縮症
オーストラリアンキャトルドッグは健康な犬種ですが、様々な犬種を掛け合わせているので注意すべき疾患が多いため注意が必要です。主に「股関節形成不全」「進行性網膜萎縮症」に気を付けましょう。
股関節形成不全
股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。遺伝的な要因の他、肥満や激しめの運動でも発症します。「歩くことを嫌がる」「歩行に違和感を感じる」といった様子が見られたら、病院で診察してもらいましょう。
進行性網膜萎縮症
物や形を認識するために必要な膜が薄くなることで、失明へ至る目の病気です。初期症状は暗い環境での視力低下が見られます。昼間は問題なく目が見えるため気付きにくい特徴があります。「暗闇を怖がるようになった」「暗闇だと反応が遅くなった」といった様子が見られる場合はすぐに病院へ行きましょう。
生まれつきの「盲目」や「難聴」にも注意が必要です。親からの遺伝性が強い病気ばかりですので、入手前には事前に遺伝子検査をすることをおすすめします。
ギネス記録を持つブルーイー
ブルーイーという名前のオーストラリアンキャトルドッグが29歳5ヶ月の出生年を確実に証明できる長寿犬としてギネスの世界記録に登録されています。人間の年齢でいえばだいたい140歳くらいになりますので、かなりの長生きをしたと言えますね。
出典:Guinness World Records「Oldest dog ever」
オーストラリアンキャトルドッグの飼い方は?
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
オーストラリアンキャトルドッグとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
オーストラリアンキャトルドッグとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛の手入れは、硬めの獣毛ブラシで週に1回ブラッシングやコーミングする程度で清潔さを保てます。換毛期にはブラッシングをこまめに行い、皮膚病から守る為にも丁寧に死毛を取り除いてあげてくださいね。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。シャンプーは月に1回程度を目安に行いましょう。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
オーストラリアンキャトルドッグの散歩やしつけは?
散歩
疲れ知らずで活発に動きまわるので、大型犬並みの運動量が必要です。毎日1時間程度の運動を2回行い、服従訓練など知的な活動をいくつか組み合わせた長時間のトレーニングがおすすめです。
運動不足になるとストレスが溜まり、攻撃的になります。日頃からしつけに加え、思いっきり体を動かせるようにしてあげてください。ドッグスポーツや群れを動かすような運動をさせると喜びますよ。
しつけ
オーストラリアンキャトルドッグは飲み込みが早く状況判断力が優れていますので、しつけトレーニングに長けている方であればそれほど難しくないでしょう。
独立心が強いため、飼い主が頼りないと判断すると自分がリーダーだと主張してくる性格ですので、飼い主との主従関係をはっきりさせる必要があります。またしつけが中途半端だと、牧牛犬としてかかとを噛んで従わせていたという名残から、他のペットや人間を噛んでしまうトラブルを起こす場合も。そのため、初心者には難しい犬種と言えます。頑固さを持ち合わせているため、しつけは一筋縄ではいかないこともあるでしょう。うまくいかないと感じる場合はプロに相談することをオススメします。
オーストラリアンキャトルドッグのおすすめのドッグフードは?
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
ドッグフードには高温で焼き上げた「ドライフード」や、水分量の多い「ウェットフード」などさまざまな食感のドッグフードがあります。歯や顎の状態、年齢・好みに合わせてフードを選択して下さいね。
食事量
ドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
オーストラリアンキャトルドッグの迎え入れ方法は?
オーストラリアンキャトルドッグを迎え入れるには、主に「ブリーダー」「里親制度」の利用が挙げられます。
国内のブリーダーさんは多くないので、タイミングによっては出会うことが難しいかもしれません。
ペットショップではなかなか見られない犬種ですので、どちらかの方法を検討してくださいね。
野生味あふれる外観が魅力的な犬
いかがでしたでしょうか。
状況判断能力に優れており、飼い主の指示や命令を聞いて素早く行動できるオーストラリアンキャトルドッグは、しつけ次第で最良のパートナーになってくれます。
野性味あふれる外観からは想像しにくい従順さに、大きな魅力を感じる犬種ですよ。
ただ、日本のブリーダーさんは少ないため出会える確率は低いと言えます。タイミング良く迎え入れることができたら、たくさんの愛情を注いで飼育してくださいね。