「猫はまたたびが大好き」と良く聞きますが、実際どうなのでしょうか。与えることによる危険性も勿論あります。
今回は猫にまたたびをあげる反応や危険性などについてご紹介します。
目次
またたびとは?
またたびとは、山地など日本に広く自生する落葉つる植物のことをいいます。
6月から7月にかけて白い花を咲かせ、花が咲く時期になると葉っぱが半分ほど白くなることから、夏梅とも呼ばれています。
ちなみに、キウイフルーツもマタタビ科ですよ。
またたびの名前の由来は?
またたびの名前の由来は、アイヌ語の「マタタムブ」に由来しているという説が有力です。「マタ」は冬、「タムブ」は「カメの甲」もしくは「手土産」の意味があります。
その他には、疲れた旅人がまたたびの実を食べたところ再び旅を続けることが出来るようになったことから、「復旅(またたび)」と名付けられたという説もあります。
またたび虫癭果(ちゅうえいか)とは?
マタタビノアブラムシに卵を産み付けられて、虫こぶ状に発達した子房を「虫癭果」といいます。
虫癭果には、ネコ科の動物に作用する「アクチニジン」「マタタビラクトン」などの有効成分が通常の実よりも多く含まれていることでも知られています。人の漢方薬として古来より使用されてきたという歴史もありますよ。
ちなみに、またたびの有効成分の強さは「粉末」→「液体」→「実」→「枝」→「葉」の順とされています。
猫にまたたびをあげるとどうなる?反応は?
猫はまたたびに近づくと、またたびから出る成分を感知し、ハイな状態になります。
またたびを与えたときの反応は猫によって個体差があり、ある実験によると「泥酔状態」になった猫が20%、「適度に嬉しそう」になった猫が60%という結果になり、全体のおよそ8割の猫がまたたびで喜んでいる様子を示したそうです。
しかし、人間の飲酒と大きく違うのは、「少量であれば健康に良い」というわけでもない点です。あくまでも「一時的に興奮した状態になる」「酔っ払いのように恍惚とする」だけなので、リラックスやストレス解消、快楽を与える道具だと思ってくださいね。また、またたびによる上記の作用は一時的なもので依存性はありません。
出典:猫生活 2008年 03月号 マタタビの謎を追え
猫がまたたびを食べるとどうなるの?
食欲増進
ストレス軽減
老化防止
虫歯対策
またたびを食べることにより、「食欲増進」「ストレス軽減」「老化防止」「虫歯対策」などが猫の身体に起こり得ます。
猫はものをかじるという習慣があまりないため、またたびをかじるという行為が脳の老化防止に役立つともいわれています。
上記が起こるまでは大体またたびを食べてから20~30分前後が多いようですが、個体差もあり1分未満の猫もいますよ。
猫はなぜまたたびで興奮する?
またたびには、木や葉、実に「β-フェニルエチルアルコール」「マタタビラクトン」「アクチニジン」が含まれています。
「β-フェニルエチルアルコール」という成分はバラの香りの本体としてよく知られており、催涎作用(よだれを促進する作用)があります。
「マタタビラクトン」「アクチニジン」の2つはまたたび特有の成分で、これらが猫の上あごにあるヤコブソン器官で感知され、中枢神経を麻痺させることで性的興奮を覚えるという仕組みになっています。
しかし、次の項で説明しますがこの中枢神経を麻痺させてしまうという報告があります。また、飼い主が与えるつもりはなくても、またたびの在りかを見つけ出し、近寄ってしまう可能性もあるので、またたびの管理には気をつけてくださいね。
またたびの値段は?
500円前後
またたびの種類にもよりますが、500円前後で販売されていることが多いですね。
またたびの与え方
与え方
またたびを初めて与える場合は、粉末状のタイプを少し嗅がせる程度から始めるようにします。
成猫であっても、耳かき半分以下の量で十分です。食べ物ではないので大量に与えたりキャットフードに混ぜて与えたりすると、呼吸困難や心停止を引き起こすこともありますよ。
また、猫が誤ってまたたびの実を丸飲みすると消化系を詰まらせる原因となり、開腹手術が必要になることもあります。実をそのまま与える場合は特に注意してくださいね。
タイミング
またたびを与えるタイミングとしては、「食欲が落ちてきた時」「爪とぎ場所のしつけ」「遊ぶ時」「ストレスを抱えている時」などがおすすめです。毎日ではなく1週間に2~3回ほどの使用に抑えてください。
猫にまたたびを与える際の注意点!どんなリスクがある?いつから与えて良いの?
またたびには中枢神経を麻痺させる作用があり、麻痺の度合いが強すぎると呼吸ができなくなってしまう可能性があります。与え過ぎると、最悪の場合、愛猫の死を招くというリスクがあることを理解しておくことが大切です。
人間に強い酒をどんどんと飲ませてはいけないように、ねこにも適度なまたたび量があります。
また、お酒とは異なり、何歳になったら与えても良い、というような年齢制限はありませんが、成猫と子猫は体の大きさが異なるため、同量のまたたびを与えても身体に起こる影響の大きさがが変わってきます。
最初に与えるときは、少なすぎるくらいの量から試すのがおすすめですよ。
猫にとって危険な植物
シクラメン
ユリ科の植物
ポインセチア
猫に危険な植物として、「シクラメン」「ユリ科の植物」「ポインセチア」などがあります。
シクラメン
摂取すると「下痢」や「おう吐」などの中毒症状を引き起こします。多量に摂取すると、死に至る危険性もありますよ。
シクラメンと同じサクラソウ科に属する植物も同様の引き起こす原因になるため、注意が必要です。
ユリ科の植物
ユリ、すずらん、チューリップなどのユリ科の植物は、猫にとって最も危険な植物です。
花や葉だけでなく花粉を少し摂取しただけでも急性腎不全を引き起こし、死に至ることもあります。
ポインセチア
クリスマスの飾りとして使われることの多いポインセチアですが、猫にとっては危険な植物の一つでもあります。
直接命に関わることは少ないですが、葉や茎から出る成分が「下痢」「おう吐」「皮膚炎」などを引き起こしてしまいます。
またたびは与える部分や状態によって影響の強さが異なる
先ほど紹介したとおり、またたびによる影響には個体差があるので、最初に与えるときは少なすぎるくらいの量から試して、おねだりされても大量に与えるないようにしてください。
またたびは快感を引き起こすものでしかないため、常用すると我慢や警戒心などは薄れていってしまいます。与える際には猫のことを考えて、飼い主が徹底管理してあげてくださいね。