人間のエイズ同様、猫にもエイズがあることを知っている方も増えてきましたが、その実態については多くの誤解や偏見があるのが現状です。飼い猫や保護した猫がエイズにかかっていることがわかってから慌てないように正しい情報のもと、冷静に対処してあげたいですよね。
この記事では、猫エイズの症状や感染経路、治療方法についてまとめました。
猫エイズは人に感染しない
まずは知ってほしい大切なことは「猫エイズは人に感染しない」ということです。
また「猫同士がふれあっても流血するような激しい喧嘩や交尾がなければ、感染することは極めて稀である」ということも併せて重要な情報です。
猫から人に感染することはないという事実はあらかじめ知っておくことで、冷静な対処ができるようになりますね。
猫エイズの感染経路と症状は?
猫エイズのウイルスは、感染猫との喧嘩による激しいかみ合いや、交尾の結果感染します。
体内でウイルスが活動を開始する急性期には猫の免疫と闘い、熱を出したり、下痢や鼻水を出したりしてリンパ腺が腫れます。
やがてウイルスはリンパ球の中に潜み、免疫機能も落ち着くことから、まるで風邪が治ったように元気になります。これは、症状が顕在化していないだけの「無症状キャリア期」と呼ばれる期間です。
この期間は4~5年が一般的で、長いと10年続くこともあります。再び体調を崩すタイミングでは、慢性的な口内炎や皮膚炎、下痢を繰り返して徐々に悪化していきます。
猫エイズを発症すると、リンパ球が激減して免疫機能がほぼ失われ、ひどい貧血やリンパ腫などのガンにつながったり、複数の病を併発したりして、死に至ります。
猫エイズワクチンは現在販売中止に
かつて日本でも猫エイズワクチンが発売されていましたが、現在は発売中止となっています。
理由は、地域によって猫エイズの型にばらつきがあり、有効なケースとそうでないケースに大きく分かれたからです。またワクチンの接種後、繊維肉腫などが発生するとの報告があったり、接種直後に副反応が強く現れたりしたことも販売中止になった背景にあります。
強いアレルギー反応やアナフィラキシーショックが発症することもありました。
猫エイズの治療方法は?
ウイルスに対する特効薬がないため、根本療法は難しいのが現状です。基本は対症療法になります。
具体的には、歯肉炎や口内炎、下痢、外耳炎に対する薬剤の投与、ネコインターフェロン注射による免疫力の補助、貧血に対する輸血などが主な治療法です。
猫エイズ、対策方法は?
現在、猫エイズに有効なワクチンはありません。
体内にウイルスを侵入させないことが大切です。ウイルスの感染力はかなり弱く、キャリアの時期(ウイルスを保有しているが症状が顕在化していない状態)に食事の皿を共有したり、同じ水を飲んだりするくらいでは、感染することほとんどありませんよ。
グルーミングすることもあるかも知れませんが、よほど濃厚なグルーミングでなければ心配する必要はありません。ただ、ひとたび発症をしてしまうと、唾液に含まれるウイルスの数は急激に増えますので、多頭飼いの場合は注意をしてくださいね。
疑わしい場合、すぐに動物病院へ
猫エイズの症状が疑われたら、すぐに動物病院へ行き、専門医の診断を受けさせてください。
現在は医療の発展もあり、その時々にあわせた適切な治療を行っていくことができれば充実した延命治療を施すことができ、その質によって寿命も長くすることができます。早期に発見し、快適に過ごせるようサポートしてあげてくださいね。