猫の好酸球性肉芽腫は背中や内股、足の裏の肉球、唇などにできものが繰り返し出現する皮膚の病気です。完治が難しいため、発症した場合は再発しないように飼い主さんが注意することがポイントになりますよ。
この記事では、猫の好酸球性肉芽腫の症状、原因、診断方法、治療法、対策、注意点についてまとめました。
目次
好酸球とは?肉芽腫とは?
好酸球とは
「好酸球」は体を様々な外敵から守る白血球の1種です。外敵の中でも寄生虫から体を守りますよ。
寄生虫を退治する以外に、アレルギー反応を抑制する役割もあります。
肉芽腫(にくがしゅ)とは
肉芽腫とは肉芽組織が盛り上がり、腫れ物になってしまったものです。
皮膚が炎症を起こし傷がつくと、欠損した部分を埋めようとします。
肉芽組織とは皮膚を再生するために細胞が集まって硬くなったものを呼びます。
何らかの刺激で肉芽組織が勝手に盛り上がることがあり、それが肉芽腫になりますよ。
猫の好酸球性肉芽腫、症状は?
無痛性潰瘍
好酸球性プラーク
線状肉芽腫
好酸球性肉芽腫になると、背中や内股、足の裏の肉球、唇などにブツブツとしたできものが繰り返し出現します。
好酸球性肉芽腫はできものの場所により呼び名が変わりますよ。
無痛性潰瘍
主に上唇や下唇、口の中の粘膜にできるものを指します。
無痛性潰瘍になると赤褐色の硬い潰瘍や傷ができます。潰瘍は全体が赤く中心は白くへこんでいて、掻くと出血することがありますよ。
潰瘍ができると、猫は痛みやかゆみを感じます。ザラザラした舌でなめたり擦ったりしてしまい、潰瘍がさらに悪化するケースもあります。
口にが潰瘍ができるとごはんが食べづらくなったり水が飲みにくくなったりするので、食欲不振や脱水症状になる恐れがあります。
好酸球性プラーク
主に首、わきの下、お腹、内股、尾の下、指の間にできるものを指します。
赤い斑点や傷ができたり毛が抜けたりしますよ。
強いかゆみを伴うため猫が舌でなめてしまいがちです。なめた部分は脱毛したり、傷が深くなったりする恐れがあります。
好酸球性プラークは、2〜6歳の子に起きやすいですよ。
線状肉芽種
主に前脚の外側、お腹の横、太ももの後ろにできるものを指します。
直線状の潰瘍ができ、口の中や上あごにできることもあります。
また、発症した箇所の毛が抜けたり、フケができたりすることがあります。
線状肉芽腫は生後半年〜1歳のころに発症しますよ。
猫の好酸球性肉芽腫、原因は?
猫の好酸球性肉芽腫の正確な原因は不明ですが、アレルギーが関連しているという考えが主流です。
アレルギーを起こす原因物質は、「食べ物」「ハウスダスト」「ノミ」「蚊」などがあります。
好酸球性肉芽腫の原因としてアレルギー以外にはウイルス感染、細菌感染、自己免疫疾患、遺伝が考えられています。
猫の好酸球性肉芽腫、診断方法は?
獣医師さんは飼い主さんから家での愛猫の様子を聞いたうえで身体検査を行い、診断します。
できものに針を刺し、吸い出した中身を顕微鏡で見たときに、好酸球がたくさんあれば好酸球性肉芽腫と診断されます。
獣医師さんによっては血液検査をすることがありますよ。
猫の好酸球性肉芽腫、治療はどのように行う?
基本的には原因に合わせて処置をしてもらいます。
アレルギーが関係している場合は、原因物質を除去してもらいますよ。
ウイルスが原因の場合は抗生物質、寄生虫が原因なら駆除剤を使うことがあります。
また炎症や免疫力を抑えるためにステロイドを使ったり、猫のかゆみを抑えるために薬を飲ませたり注射をしたりすることもあります。
好酸球性肉芽腫が膨らんで猫の日常生活に支障があるようであれば、レーザーや外科手術で取り除くこともありますよ。
猫の好酸球性肉芽腫、対策はできる?
好酸球性肉芽腫にワクチンはありません。
しかし、食物アレルギーからの原因を作らないために、アレルギーになりやすい食品を与えないようにすることをおすすめします。
動物病院の獣医さんに相談することで、原因である食材を特定でしやすくなりますよ。
お部屋にハウスダストやノミがたまらないように、普段から掃除して清潔さを保つことも大切ですね。
猫の好酸球性肉芽腫、飼い主さんが注意することは?
「ノミ」「蚊」「寄生虫」「ウイルス」「細菌」などへの対策として飼い主さんができることは室内飼いをすることと飼育環境を清潔に保つことです。
食物アレルギーか疑わしいときは早めに獣医師さんに相談することをおすすめしますよ。
猫の好酸球性肉芽腫、かかりやすい猫種は?
猫の好酸球性肉芽腫にかかりやすい猫種は分かっていません。
特定の猫種がなりやすいわけではないようです。
完治は難しい?
好酸球性肉芽腫は人や他の動物には感染しないものの、発症の原因はいまだに解明されていません。
再発するおそれがあるので、原因物質から愛猫をいかに遠ざけるかがポイントです。
対策を取るためには原因物質の特定が不可欠なので、猫に異変があったときには早めに獣医師さんに相談することをおすすめしますよ。