犬の多頭飼い、注意点まとめ。喧嘩をしたら?先住犬との相性は?メリットとデメリットまとめ

多頭飼い

犬好きな方なら、たくさんの犬に囲まれて過ごす「多頭飼い」に一度は憧れるのではないでしょうか。多頭飼いは犬を飼う楽しさを満喫できる一方で、デメリットや思わぬ苦労を招くこともあります。

この記事では、犬の多頭飼いのメリット・デメリットや注意点、相性はどうか、ケージは分けるべきかについてまとめました。

多頭飼いを始める前の確認!メリットとデメリットは?

犬_多頭飼い

メリット

犬の多頭飼いの大きなメリットの1つに「先住犬が新しい犬にしつけを教えてくれる」ことがあります。先住犬が成犬の場合は特に、成犬が子犬に社会性を教えてくれるため、人間が教えるよりもずっと的確で効率のいい子犬育てになります。

他にも「先住犬が寂しくなくなる」「飼い主が犬との生活が何倍も楽しくなる」などのメリットも。1匹飼いの時よりも愛犬のストレスが減り、以前よりも元気になったという例もありますよ。

デメリット

一方デメリットもあります。「飼育費用が高くなる」「犬の散歩や病院に連れていく手間や時間がかかる」ことは事前に想定しておく必要があります。

相性の悪い犬種同士を飼ってしまうと苦労は数倍になりますし、去勢していないオス同士を一緒に飼うと争いも起きやすくなります。1頭が感染症の病気やアレルギーにかかると連鎖的に感染する場合もあり、治療費も倍増します。

先住犬が後から来た犬にしつけを教えるので、先住犬のしつけが完成していないと大変なことになる可能性もあります。多頭飼いを行う際はデメリットも十分に考慮してくださいね。

犬の多頭飼いの注意点1. あくまで先住犬を優先

複数の犬を同時に飼う際は、あくまで「先住犬を優先する」ようにしてください。犬は群れの中の順位を重んじる生き物ですから、後から飼い始めた犬ばかりをかまったり優先したりしていると、先住犬は精神的ストレスを溜め込んでしまいます。

帰宅時に頭をなでる順番や餌をあげる順番にも注意して、「先住犬を優先しているよ」ということが伝わるようにしてくださいね。

先住犬の社会性を考慮

先住犬がほかの犬と触れ合わず生活してきた場合、新しく迎えた犬との関係を築いていくのが難しくなります。不安や緊張、警戒心から迎え入れた犬に攻撃的になったり、自身がストレスで体調を崩す可能性も。

社会性については、散歩しているときにほかの犬とすれ違ったときの反応などから判断できるでしょう。

先住犬が難なく対応できるかどうか見極めるためにも、新しく犬を迎えるなら可能であればトライアルをするべきです。さらにケージやサークル、違う部屋で過ごしてもらう時間を作り、ストレスにならないよう心がけて行いましょう。

先住犬が多頭飼いに向いていないケース

先住犬を優先してあげるのはもちろん、そもそも先住犬が多頭飼いに向いているか判断する必要があります。

多頭飼いが向いていない、もしくは難しい場合は以下のケースが考えられます。
・闘犬種で気性が強い子
・他の犬を威嚇する前に口が出てしまう子
・他の犬を噛んで怪我させてしまったことがある子
・先住犬よりも大きく体格差がある場合

以上のようなケースでは、多頭飼いが難しいこともあります。プロのトレーナーなどの相談のうえ、迎え入れても問題がないか判断しましょう。

犬の多頭飼いの注意点2. ワクチン接種が必要

新しく迎える子犬や保護犬のワクチン接種が完了するまでは、先住犬との接触は避けましょう。すぐに犬同士の相性を確認したいと思うかもしれませんがここは我慢です。

特に生後2、3か月の子犬は、母犬からの移行抗体が失われているので、感染症にかかりやすいタイミングでもあります。

先住犬、新しく迎え入れる子どちらも守るという意味で、直接顔を合わせるのは後にしましょう。

犬の多頭飼いの注意点3. 犬同士の関係に干渉しすぎない

新しく迎え入れる子のワクチン接種が完了しても、すぐに直接接触させるのはやめましょう。

まずは、飼い主さんが抱えた状態やケージに入れた状態で対面させます。過度に吠えたり喧嘩になったりしないことが分かれば、少しずつ一緒に遊ぶ時間を作っていきましょう。

ここで、飼い主はあくまで見守る立場になるのがポイントです。犬同士の上下関係はお互いが関わっていく中で決めっていきます。

必ずしも先住犬が上になるとは決まっていません。先入観で先住犬のほうが偉いと思い叱ってばかりでは、犬同士が決めた関係が混乱してしまいます。喧嘩の原因になる可能性もあるため、繰り返しになりますが飼い主は見守るようにしましょう。

安易に喧嘩を止めちゃダメ

犬同士が一緒に暮らしていると、ときおり喧嘩を始めることがあります。最初はあまりに激しい喧嘩にビックリしてしまうかもしれませんが、必ずしも相性が悪くて喧嘩をしているわけではありませんよ。

群れの中での力関係を確定するために、喧嘩は犬同士の大切なコミュニケーションです。下手に飼い主が仲裁に入らずに喧嘩の決着をつけさせてあげることを優先させてくださいね。

大怪我をするぐらいに喧嘩がエスカレートしてしまうケースもあるので、その際は仲裁に入って止めてください。

犬の多頭飼いの注意点4. ケージは分ける

多頭飼いの際、ケージは頭数分だけ用意してあげることをおすすめします。ケージは犬の縄張りであり、最も安心できる場所です。一つのケージに複数の犬を入れておくと、ストレスを溜めてしまう可能性あります。

どうしても同じケージにいようとする場合には、無理に引き離す必要はありません。

ケージではなく、サークルやクレートでも良いですね。愛犬それぞれが一人で安心できる場所を作ってあげることで、気持ちよく過ごしてもらうことができます。

まずは離れた場所に設置する

多頭飼いを始めたばかりのときは、ケージやサークルは離れた場所に置きましょう。特に、後住犬は常に外から見られる状態にならないよう、タオルやブランケットで目隠しするのもおすすめです。

愛犬たちの様子を観察し、仲良くなったかなと思うタイミングで隣同士に移動してみるのも良いでしょう。

犬の多頭飼いの注意点5. 性別

犬の多頭飼いは「性別」の組み合わせを考慮して選ぶことが大切です。性別は雄と雌が最も相性がよく、ついで雌同士が良いとされています。雄同士は喧嘩が激しくなる場合があるため、複数で飼うのは簡単ではありません。

雄と雌の組み合わせの多頭飼いでは交配に注意が必要です。「妊娠したがこれ以上飼うことができない」という不幸な状況は避けなければいけませんよね。必要な場合は去勢及び避妊手術を考慮しておく必要があります。

雌同士は初心者に難しい面があります。雌はホルモンのバランスによって感情の起伏が激しくなるからです。

雄同士は生後6ヶ月前後の成熟期を迎えるころから、「他の犬よりも優位に立とう」とする生態から喧嘩が絶えません。

犬の多頭飼いの注意点6. 体格

犬同士の「体格」の違いにも注意が必要です。体格差がある犬種同士が一緒に暮らすと、体格の小さい犬が思わぬ怪我をする恐れがあります。体格差の大きい犬同士の多頭飼いは避けることをおすすめします

どうしてもという場合は、個体差はありますが一般的には先住犬が小型犬で、新しい犬が大型犬の場合のほうがうまくいくとされています。参考にしてみてくださいね。

犬の多頭飼い、犬種での相性の良し悪しはある?

柴犬

同じ犬種同士の組み合わせが最も相性がよいです。犬種が異なる場合、体格の話を除けば「この犬種とこの犬種の相性がよい」という組み合わせはないといわれています。

テリア種は群れを好まないため多頭飼いに不向きだとされていますが、飼っている犬の性格によっては多頭飼いができる場合もあります。

運動量の相性も飼い主の負担を減らすうえで大切です。必要とする運動量や持っている体力にあまりにギャップがあると、散歩の負担が大きくなってしまいます。動くのが得意ではない犬種と運動能力抜群の犬種を多頭飼いするのは避けたほうがいいです。

また年齢の相性も大切ですよ。年齢が近すぎると幼犬期やシニア期など世話がかかる時期が被るので、飼い主の負担も倍増します。年齢の差は4~5歳がいいといわれています。

相性については「ケースバイケース」の要素が大きく、飼ってみないとわからない点も多いですね。

犬の多頭飼いは苦労も幸せも倍

多頭飼い

多頭飼いは、実際に行ってみないとわからない要素が多いのが現実です。苦労も増える分、上手に飼えれば幸せも倍以上になりますよ。

新しく迎え入れたいと思ったときは、まずはトライアルからスタートし、先住犬との相性など確認しましょう。家族やトレーナーなどの意見などを聞き、迎え入れるかは慎重に判断してください。

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