茶トラ猫の特徴や種類、性格、飼うときのポイント、かかりやすい病気

茶トラ

明るい茶色の毛が可愛らしい茶トラは、日本でもおなじみの猫ですよね。人懐こくて甘えん坊な子が多く、猫好きのあいだでは大人気の種類です。

この記事では茶トラ猫の特徴や種類、性格などをまとめました。

茶トラ猫とは?

茶トラ

茶トラはきつね色の毛色としま模様を持った雑種の猫です。雑種にもかかわらず日本では高い人気を誇り、里親を希望する人の中には茶トラを指名する人もいるほど。またCMなどで活躍するタレント猫の中にも茶トラはみられます。

茶トラ猫の英語名

茶トラは英語名で「red mackerel tabby(レッド・マッカレル・タビー)」 といいます。レッドは茶色の猫の毛色を指し、 マッカレル・タビーはサバ柄のしま猫という意味があります。つまり、茶トラは「茶色のサバ柄のしま猫」となりますね。

茶トラ猫の歴史は?

茶トラ

現在のペットとして猫の祖先イエネコ(生物学上、家の中で人と共に暮らす猫のこと)は、古代エジプトで猫種として固定化されましたが、その当時いたのはキジトラ猫のみでした。

つまりすべての猫はキジトラから派生しており、茶トラも元をたどればキジトラが基本となっています。

しま模様がある猫を英語でタビーと呼びますが、茶トラはもちろん、キジトラから派生したしま模様の猫のほとんどは、キジトラと同じ特徴(体全体の縞模様、額のM字の模様、クレオパトラ・ライン)をもっています。

砂漠地帯での暮らし

茶トラはキジネコが突然変異して生まれました。砂漠地帯ではキジトラの被毛は保護色で目立ちませんでしたが、明るいオレンジ色をした茶トラは目立つため生き残れなかったと考えられます。

日本での普及

ヨーロッパでペットとしての猫が定着し、人間と密接な関係になっていくと、今まで生き残れなかった茶トラやサバトラなどの猫も増えていきました。日本で茶トラが普及したのは江戸時代以降で、第二次世界大戦後に洋猫が入ってくるとさらに数が増えましたよ。

茶トラ猫はキジトラからどう変化したか

キジトラの毛1本1本をよく見てみると、ユーメラニン(黒の色素) とフェオメラニン(褐色の色素)の2種類のメラニンが交互に出現しています。この毛が重なることで、キジトラのしま模様ができるのです。

色素のバランスで茶トラに

茶トラは、ある遺伝子が働きユーメラニンの生成が抑制されフェオメラニンだけになったと考えられます。一方、フェオメラニンの生成が抑制されユーメラニンだけになったのがサバトラです。

毛柄の比較

茶トラはフェオメラニンに白が混ざることでオレンジ色になり、サバトラはユーメラニンに白が混ざるため銀色っぽい毛色になります。

ちなみに一方のメラミンがなくなっても、しま模様は必ず残るため単色のオレンジ色や銀色の猫はほとんどいません。ただ、なかには縞模様がほとんど目立たない茶トラやサバトラもいます。

茶トラ猫の特徴や種類は?トラ柄の他の種類は?

茶トラ

茶トラ
茶トラは猫の元祖の柄といわれるキジトラ(黒色と茶色のしま模様の毛柄)の遺伝子に、オレンジ色の毛色をつくる遺伝子が入り、毛並みに濃いオレンジ色のしま模様が入った特徴があります。

日本で茶トラと呼ばれるのは「茶色い虎柄の猫」が由来といわれています。

見た目の特徴

頭からしっぽまでは、ベースの毛の色よりも少し濃いめの茶色の縞模様が入っており、腹部の毛は少し薄い茶色になっています。

しま模様の猫といえば、額の「M」の模様で目のわきから延びる「クレオパトラ・ライン」が特徴ですが、茶トラ猫でも見ることができます。

色の特徴

茶トラはキジトラより色素が薄く、鼻や肉球はきれいなピンク色、瞳は黄色がかったゴールドの暖色系が多く、まれに鼻が茶色い猫や瞳が青い茶トラもいます。

茶トラの種類

茶トラ猫の種類

まるどら
茶白
白茶

茶トラ猫は色の配分によって分類されます。

まるどら

オレンジ色の毛色をベースに、濃いオレンジ色(茶色)のしま模様のあるものを「まるどら」と呼びます。アゴだけ白い毛が生えることが多く、しっぽの先の毛色は薄くなります。

全身が茶トラ柄で、多くは鼻や肉球はピンク色をしています。まれに茶色っぽくなる場合もあります。また、まるどらの茶トラは、ほどんとがオスになります。

茶白

茶白はまるどらが基本で、白色が入った毛並みです。顔の下半分が白く、ハチワレ模様(顔の模様が八の字のように割れている)、お腹が白い 、足先が白い(靴下を履いているように見える)といった特徴があります。

白茶

白い部分が茶白より多い毛並みの茶トラ猫は白茶と呼ばれます。頭部やしっぽ、足先などはオレンジ色になりやすいです。

他のトラ柄

キジトラ

キジトラ

キジトラはすべての猫の基本の毛柄です。おもに茶色い毛色をした猫で、黒の縞模様が入っています。

サバトラ

サバトラ

キジトラ柄の遺伝子にグレーやシルバーの毛色を構成する遺伝子が入ったものをサバトラといいます。黒のしま模様が入っています。

茶トラ猫のオスとメスの割合は?オスが多いって本当?

茶トラ

茶トラは8:2の割合でオスが圧倒的に多く生まれてきます

猫は毛色を決める遺伝子の組み合わせが理由で、オスとメスの比率が変わります。茶トラはメスを生ませるのはかなり難しく、とくにまるどらはメスが生まれる確率は2万分の1といわれています。

三毛猫はメスが多く、オスが生まれる確率はさらに低く3万分の1ほどと言われるのは有名な話であり、オスはクラインフェルター症候群といわれる染色体異常によって生まれます。

茶トラ猫の性格は?オスとメスに違いはある?

茶トラ

茶トラ猫の性格

人懐っこくて甘えん坊
穏やかでやんちゃ
オスとメスの性格に違いがある

人懐っこくて甘えん坊

茶トラの性格は人懐っこくて甘えん坊であり、自ら歩み寄ってきて、抱っこをせがんだり膝に乗ったりと人間にくっ付きたがり、撫でてあげるとグルグルと喉笛を鳴らします。

警戒心も薄く来客者にも甘える傾向で、初めての猫でも飼いやすいといえます。野良猫でもお腹を見せたり、甘えてくる傾向にあります。

穏やかでやんちゃ

幼猫時代はやんちゃな子が多い傾向があります。家中を走り回ったり、飛んだり跳ねたりすることもありますので、騒音に注意してくださいね。

大人になると穏やかな面が見られ、他の動物に対しても温厚に接することができます。争うこともなく仲良くできますので、多頭飼いにも向いている猫種です。

個体によっては臆病な子もいますので、飼い主さんがしっかり気付いてあげることで適した生活環境を作ってあげましょう。

オスとメスの性格に違いがある

オスの性格

オスは活発で友好的で、遊ぶことに一生懸命な性格です。遊んでくれるまでじっと待つ忍耐強さも備えており、高齢になっても好奇心は衰えることはありません。

一方で、小心者で怖がりな面もあり、ちょっとの物音で過剰にびっくりしたり、仲間同士の喧嘩も嫌ったりします。

メスの性格

メスはマイペースで、オスほど構われたがらない性格です。飼い主さんが家にいなくても一人の時間を楽しめる子が多いので、一人暮らしや共働きの人におすすめです。

とはいえ飼い主さんが帰宅すれば、思いっきり甘えてくれます。

茶トラ猫が大きいと言われる理由は?

茶トラ

でかいと言われる理由

オスが多いため
去勢手術によって太りやすい

茶トラが大きいと言われる理由としては、「オスが多いため」「去勢手術によって太りやすい」といった内容が考えられます。

オスが多いため

茶トラの8割をオスが占める(まるどらは約9割がオス)のは、オレンジ色の毛並みを作る遺伝子の染色体の関係が理由とされています。

一般的に猫のオスはメスよりしっかりした骨格で体重も4㎏~6㎏ほどと大きな体つきをしていますが、茶トラはオスが多いため「でかい」といわれることが多いのです。

去勢手術によって太りやすくなる

一般的にオス猫の特性として、去勢手術をすると太りやすくなります。またメス猫に比べて食欲旺盛であることも要因として考えられます。

完全室内飼育の場合、運動量が足りずに太ることもあるので、適切な食事と運動を心がけてくださいね。

ご飯の与えすぎに注意!

茶トラは甘えん坊でおっとりした性格のオスが多いため、可愛がるあまりつい食べ物をあげてしまい太るということも考えられます

特におっとりした性格の子は運動量が少ないため、より太りやすく「茶トラ=でかい」という印象に繋がります。可愛いからと与えすぎないよう気を付けて下さいね。

茶トラ猫の迎え入れる方法は?飼育のポイントは?

茶トラ

迎え入れる方法

探す方法

野良猫の保護
里親募集に応募

茶トラを迎え入れる方法としては、「野良猫の保護」「里親募集に応募」する方法があります。

茶トラは純血種の猫ではないため、ブリーダーやペットショップで見つけることはできません。茶トラは野良でも警戒心が薄く懐きやすいので、ご飯をあげて少しずつ慣れさせれば保護できます。

里親募集は意外と多くありますが、明るい毛色の可愛い茶トラは人気があるため、里親は早めに決まってしまいます。茶トラを飼いたいのであれば、こまめに里親募集サイトをチェックしてくださいね。

茶トラ猫のメスを飼いたい!

茶トラのメスを探す際は、こまめに里親情報をチェックし譲渡会に足を運ぶことをおすすめします。

まずは会ってみたいという場合は、最近珍しい猫がいる猫カフェが増えていますので、茶トラのメスがいないか探すのもいいですね。

飼育のポイント

飼育環境を整える

自宅が猫を迎え入れるのに最適かチェックし、一生面倒を見る覚悟で受け入れ態勢を整えます。ある程度の部屋の広さで安心できる場所を確保し、おもちゃや爪とぎ、清潔なトイレ、水などを用意します。

一緒にいる時間を増やす

茶トラ猫は他の日本猫より甘えん坊なので、外出が多い人にはあまり向いていません。飼い主さんのそばにいたい気持ちが強いため、長い時間ひとりにするとストレスになります。

どうしてもお留守番させてしまうことがある場合は、多頭飼育を検討してみて下さいね。

ストレスを溜めない環境をつくる

猫がストレスを溜めさせないためにも、適度に運動できる環境や遊ぶ時間を大切にしてください。運動はキャットタワーなどの設置がオススメです。

また、過剰な食事量や我慢させることでも病気を発症させてしまいます。ペット保険に未加入の場合、診察や治療費がよりかかるので一層健康面を気遣うようにしてください。

定期的なお手入れ

短毛種が多い茶トラ猫の場合、お手入れはそれほど難しくありません。週に1回程度のブラッシングを取り入れましょう。お手入れは猫とのスキンシップの時間にもなります。同時に健康管理も確認してあげて下さいね。

食事・キャットフード

成長期には、健康な体づくりのためにも高タンパク質なフードを与えるようにしましょう。不足すると免疫力が低下し、病気や感染症にかかりやすくなります。成猫以降は、肥満に気を付けて食事量をコントロールしてくださいね。

茶トラ猫におすすめなキャットフードは?

キャットフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているキャットフードを選びましょう。

これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるキャットフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。

手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているキャットフードがおすすめです。

いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。

フードを選ぶときのポイントは?

茶トラ猫におすすめのキャットフードは、猫の健康と栄養バランスを考慮した高品質なフードが良いでしょう。

以下にいくつかのポイントを挙げますが、フード選びに迷ってしまう場合は猫の年齢、体重、健康状態などを考慮して獣医師と相談することをおすすめします。

動物性タンパク質源が重要!

高品質のドライフードやウェットフードを選びましょう。穀物や人工的な添加物が少なく、動物性タンパク源(鶏肉、魚、肉など)が主成分となっているものが良いです。

成長段階に応じていること

子猫用、成猫用、シニア用など、猫の年齢に合ったフードを選びましょう。母猫のための高栄養価のもの、避妊去勢後用の体重管理ができるものなどが選択肢になることも。

成長に必要な栄養素やエネルギーを適切に摂取することが重要です。

猫に必要な栄養が揃っているか

タウリンや必須脂肪酸(オメガ-3とオメガ-6)、ビタミン、ミネラルなど、猫に必要な栄養素が含まれていることを確認しましょう。

好みと消化に配慮

猫の個体差や好みに合わせてフードを選びましょう。好みではなく食べてくれないのでは栄養が摂れません。

個体差で穀物が苦手だったり消化器の負担になることを考慮して、消化しやすいフードを選ぶことも重要です。

茶トラ猫の寿命は?

茶トラ
茶トラ猫の寿命は長寿な傾向にあります。室内猫の場合、平均寿命は12~18年程と言われています。

長生きの秘訣は運動量を充分に確保できる環境を整え、肥満などの生活習慣病にならないように気をつけてあげることです。

高タンパク・低カロリーのエサを与え、細身で筋肉質な体型を保てるようにしてあげましょう。

茶トラ猫のかかりやすい病気は?

茶トラ
オスとメスによってかかりやすい病気があります。日ごろから注意し、発症を防ぐように努めましょう。

オスの場合

かかりやすい病気

糖尿病
尿路結石
猫エイズ、猫白血病

糖尿病

糖尿病になる猫の7割はオスです。肥満度が上がれば糖尿病になる数も増加するので、太り過ぎには充分注意してください。

尿路結石

尿路結石はオスがかかりやすい病気です。オスはメスよりも尿道が細くS字に曲がっているため、小さな結石でも詰まりやすくなります。水分を多く取らせたり、水飲み場を増やしたりなどの工夫をするのがおすすめです。

猫エイズ、猫白血病

咬まれること、交尾で感染します。メスより喧嘩が多いオスはとくにかかりやすくなります。喧嘩を好まない傾向の茶トラでも完全室内飼いにしたり、ワクチン接種をしたりなどの対策を行ってください。

メスの場合

かかりやすい病気

卵巣や子宮の病気
乳ガン
細菌性膀胱炎

卵巣や子宮の病気

一般的にメスは卵巣や子宮内の腫瘍や子宮蓄膿症などの病気に気をつけます。避妊手術を受けると卵巣や子宮系疾患の回避に繋がります。

乳ガン

メス猫のお腹全体には乳腺が広がっています。猫の場合、乳腺にしこりができると約90%が悪性といわれ転移や再発率が高くなります。最初の発情が来る前に避妊手術を受けさせると、発生率を下げることができます。

メス猫の場合は、日頃のスキンシップで腹部にしこりがないかチェックし、しこりがあったら早急に動物病院を受診してください。

細菌性膀胱炎

メスの尿道はオスよりも太く結石などは詰まりにくいのですが、一方で細菌が侵入しやすくなり膀胱炎を起こすことがあります。症状がないケースもあるため、高齢の場合は定期的に尿検査を受けさせてください。

茶トラの有名猫

茶トラ

ラミ

寒い季節はホットカーペットでゴロゴロ過ごすラミは、オスの茶トラ。飼い主さんのことが大好きで、いつも一緒に過ごしています。

ラミのBlog「いつも一緒」でゴロゴロしている姿がみられましたが、2020年6月に空へ旅立っていきました。

ひろし

ひろしは元野良猫。やんちゃで食いしん坊、一度寝たら人形のように起きないひろしの様子は、子猫時代から動画で見ることができます。

動画は「Tabby Cat Hiroshi(茶トラ子猫ひろし)成長日記」で検索してみてください。

もか

「ちゃとらとはちわれ」という本も出版されている茶トラ、もか。元野良で他にも保護された猫達と一緒に暮らしています。

もかのBlog「ちゃとらとはちわれ」もご覧ください。

マイケル

猫漫画「ホワッツマイケル?」が大好きな飼い主さんと2匹の兄弟と暮らすマイケル。

ある猫グッズ雑誌にも漫画で登場したり、老舗キャットフードのキャンペーンキャットになったりと、とても有名な茶トラですが、2021年2月に空へ旅立っていきました。

マイケルと兄弟たちと暮らしていた様子はblog「What’s Michael? That’s Michael!」で見られます。

ぐっぴー

テレビや雑誌にも出演している有名な茶トラ、ぐっぴー。タポっとした体の茶白で、ちょっと垂れ目の顔が可愛い猫です。

グッピーの可愛い姿はインスタグラム「@gupitaro」でご覧ください。

茶トラ猫は人懐こくて甘えん坊の人気者

茶トラ
いかがでしたでしょうか?

茶トラについて詳しくご紹介しました。

明るい毛色の見た目に、人に慣れやすい性格など人気がある理由もうなずけますよね。茶トラの性格はそれぞれの個性や育った環境、これから育てる環境によっても変化するので、愛情をたっぷり注いであげることが大切です。

野良猫や里親募集などでしか出会えない、ちょっと希少な茶トラですが、気になった方はぜひ探してみてください。

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