マンクスはアイルランドとグレートブリテン島の間の「マン島」で誕生した、しっぽのない珍しい猫種です。
歩く姿がうさぎに似ていることから「ラビットキャット」と呼ばれることもあります。
この記事では、マンクスの性格や特徴、体重や被毛の色、飼い方についてまとめました。
マンクスの歴史は?
マンクスのしっぽがない理由にはさまざまな言い伝えがあります。ノアの方舟にまつわるエピソードが有名で、ノアが出航するため方舟の戸を締めた時にしっぽを挟まれて切断されてしまったという説です。
他には、アイルランドからやってきた侵略者が自分の兜の飾りにするために切り取ってしまったという説や、フェニキアの商人が日本から連れてきたという説もあります。
中でも「しっぽが無いマンクスは自然発生的に突然変異で生まれ、孤島という環境で多種との交わりを持たずに長い年月をかけて定着した」という説が最も有力とされています。
通常、猫のしっぽが短かったり無かったりすることは「劣性遺伝」の影響なのでやがて無くなるはずの特徴です。マンクスのしっぽは「優性遺伝」であり、しっぽのない種が優先的に生まれてくることが分かっています。
劣性であるはずの遺伝子が優先的に出現しているため、マンクスは死産や奇形の確率が高く、繁殖が難しい猫種とされています。個体数が増えにくく、現在でもレアな猫種の1つです。
マンクスの特徴は?
体型 | コビータイプ |
---|---|
体重 | 3〜6kg |
被毛タイプ | 短毛種のダブルコート |
被毛カラー | ブラック、ホワイト、レッド、ブルー、クリームなど |
マンクスは体重が3〜6kgで、全体的に丸みを帯びたコビータイプの体型をした猫種です。メスは一回り小さい傾向にあります。
見た目の特徴
マンクスの体は全体的に丸みを帯びていますが、筋肉質ながっしりした体格をしています。
脚は骨太で前脚より後ろ脚の方が長く、歩き姿はぴょんぴょん跳ねているようにみえるので「マンクスホップ」と呼ばれています。跳びはねる姿がうさぎにも似ていることから「ラビットキャット」という別名も持ちます。
後ろ脚の脚力は他の猫と比べて高いのでジャンプ力は相当のものです。
頭の形は丸く、頬がつき出ています。「ブリティッシュショートヘア」と体つきや頭部の特徴が似ているため、祖先が同じだと考えられています。
被毛の特徴
マンクスの被毛は柔らかくて分厚い「アンダーコート」と、光沢があり少し固めな「トップコート」のダブルコートです。
短毛種ですが、繁殖の過程で突然変異的に長毛種である「キムリック」が生まれることがあり、現在では別の猫種として登録されています。
被毛カラーは多くの種類が認められており、ブラックやホワイト、レッド、ブルー、クリームなど様々な種類が存在します。
眼の色はブルーやグリーン、ヘーゼル、カッパー、オッドアなどが確認されており、被毛カラーに依存します。
マンクスはしっぽがない?4種類いる?
マンクスの最大の特徴は、しっぽが無い個体がいることです。しっぽがあるマンクスも存在しますが、極端に短いです。
しっぽの長さによってマンクスは「ランピー」「ランピーライザー」「スタンピー」「ロンギー」の4種類にわけられます。「ランピー」は全くしっぽのない個体を指します。一番しっぽの長い「ロンギー」でも、他の猫種と比べると短めです。
キャットショーでは「ランピー」のマンクスが最も評価されており、ペットとして実際に飼育されるマンクスの多くはこの種です。
マンクスの性格は?
優しくて大人しい
引っ込み思案で人見知り
忠誠心がある
優しくて大人しい
マンクスは温厚で穏やか、優しい性格をしています。物静かで大人しいので騒がしい場所はあまり得意ではありません。
子供の相手も得意ではなく、優しい性格なので自然と距離をとる様子が見られるようです。
多くの人間と仲良くするというよりは、気に入った人間と信頼関係が築こうとする傾向にあり、その人間の前では心を開き活発に遊びまわってくれます。
引っ込み思案で人見知り
マンクスは繊細な神経の持ち主で引っ込み思案なところがあります。そのため、特定の人間以外には人見知りをする傾向があります。
飼い主家族や、慣れている人間であれば心を開いて仲良くしてくれます。
多頭飼いには注意が必要です。先住猫とは一定の距離を保ちながら、徐々に生活に慣れさせてあげないと他の猫に順応できない性格に育ってしまいます。
忠誠心がある
信頼関係の築けた家族に対して、忠誠心を持つ場合があるようです。敵が襲い掛かってきた場合に守ろうと行動する、勇敢な一面も持ち合わせています。
マンクスの寿命や気を付けたい病気は?
寿命
10~13歳
マンクスの平均寿命はおよそ10~13歳です。一般的には猫の寿命は15年なので、平均よりやや短いといえますね。
長生きの秘訣は運動量を充分に確保できる環境を整え、肥満などの生活習慣病にならないように気をつけてあげることです。
高タンパク・低カロリーのごはんを与え、細身で筋肉質な体型を保てるようにしてあげましょう。
病気
マンクス症候群
マンクスが気を付けたい病気は「マンクス症候群」などです。
マンクス症候群
脊椎の奇形や脊髄の異常がみられ、その影響から様々な障害が発生してしまう遺伝性疾患です。特に、しっぽが全くない「ランピー」は、マンクスの中でも高確率で発症すると言われています。
遺伝子の変異よっておこる病気なので、予防することは難しいでしょう。
「ランピーを3代続けて交配させない」「繁殖にはプロの知識と指導の下で行う」などで、予防するしかないと考えられます。
マンクスの飼い方は?
定期的なお手入れ
運動ができる環境
食事・キャットフード
定期的なお手入れ
マンクスはダブルコートで抜け毛が多いため、定期的なブラッシングは必要です。
毎日または週に1回~2回を目安にブラッシングやコーミングを取り入れてみて下さいね。
汚れがひどい場合はシャンプーなどを利用して洗ってあげましょう。ただし、しっぽのない「ランピー」はしっぽの付け根にあたる部分がとてもデリケートです。むやみやたらに触らないように気をつけてあげてくださいね。
運動ができる環境
マンクスは、木登りが得意な猫種です。高いところに登ることが好きな個体もいますので、飼育環境にはキャットタワーを設置してあげて下さいね。
また、運動することが大好きなので、おもちゃを使った運動も取り入れてあげましょう。
外に出てしまうと遠くへ行ってしまい家に帰ってこないこともあるため、室内飼いをしている際は外に出さないように気を付けて下さい。
食事・キャットフード
成長期には、健康的な体作りのためにも、高タンパク質なフードを与えて下さい。タンパク質が不足すると免疫力が低下し、感染症や病気になりやすい体になってしまいます。
成猫期以降は食事量をコントロールし、肥満にならないよう気を付けましょう。
マンクスにおすすめのキャットフードは?
キャットフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているキャットフードを選びましょう。
これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるキャットフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているキャットフードがおすすめです。
いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
フードを選ぶときのポイントは?
高品質なタンパク源
マンクスは活発でエネルギー消費量が高いため、良質なタンパク質が必要です。主原料に肉や魚が含まれるキャットフードを選ぶのがおすすめ。
肉の種類としては、チキン、ターキー、サーモンなどが一般的に良質なタンパク源として挙げられます。
良質な脂質を摂取できるか
マンクスの健康な皮膚と被毛の維持には、適切な脂質摂取が重要です。キャットフードには、健康な脂肪酸(オメガ-3やオメガ-6脂肪酸)が含まれていることを確認しましょう。
サーモンオイルやフラックスシードオイルなど、良質な脂質源が含まれるキャットフードがおすすめです。
バランスの取れた栄養素
マンクスも他の猫と同様に、栄養バランスの取れた食事が重要です。キャットフードの成分表示を確認し、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が適切に含まれているかをチェックしましょう。
腎臓病など何らかの病気を患っていたり、食事による体重管理が必要だったりする場合は、獣医師のアドバイスを参考にすることもおすすめです。
無添加もしくは自然食材メイン
食物アレルギーや消化器の敏感な個体もいるため、無添加や自然食材が使用されているキャットフードを選ぶことも考慮してください。
日本では珍しい猫種
いかがでしたでしょうか?
マンクスは個体数の少ない希少な猫種なので、日本国内ではなかなかブリーダーが見つかりません。
マンクスが公認されているアメリカやイギリスでブリーダーを探すことをおすすめします。しつけがしやすく珍しい猫種を飼いたいという方におすすめです。