日本の家庭に馴染みやすく、飼育されている数が1番多いといわれる雑種犬は、日常で見かけることも多いですよね。
私たちの生活の身近に存在する雑種犬ですが、雑種と呼ばれる定義や最近人気のミックス犬との違いなどをご存知ですか。
この記事では、雑種犬の特徴や飼う際の注意点、探し方、飼育方法などをまとめました。
雑種犬とは
ここではまず「雑種犬」の定義や、「純血種」や「ミックス犬」との違いを紹介します。
「雑種」の定義
雑種とは「色々な種類のものが入り混じっていること」を指し、雑種犬は2種以上の犬種の血統が混ざった犬のことをいいます。見た目でどのような犬種の血が混ざっているのか大体の予想がつく場合もあれば、全く予想すらできない場合もあるくらいその種類は豊富です。
そして新たな犬種を作出したい場合も、基本的には犬種の違う個体同士の交配は厳しく管理をされているので、新たな犬種として認可されるまでは雑種と呼ばれます。
野良犬や交配の管理をしづらい外飼いの犬が、飼い主の目の届かないところで無作為な交尾を行うことにより雑種犬が多く繁殖していく傾向もあります。
また雑種犬は純潔種よりも健康な個体が多いといわれます。純血種は一つの犬種として確立させるために、長い期間近親交配を繰り返し作り上げた犬種のため、性質が偏りがちです。
雑種犬のように性質の違う遺伝子が掛け合うことにより、失われていた元々の性質が蘇り強さを増すと考えられます。
日本で一番メジャーな犬種
近年はチワワやトイプードルなど血統書付きの純血種が人気を集めていますが、一昔前は「犬といえば雑種」といわれていたほどで、今でも日本で最もポピュラーな家庭犬とされています。
私たちがよく見かける雑種犬といえば、耳がピンと立ちどことなく秋田犬や柴犬の面影がある日本犬のような犬ですよね。日本犬の血を引く犬同士から誕生した犬は「和犬系」と呼ばれます。
また日本の家庭に馴染んでいる雑種犬は、性格も雰囲気もおおらかさを持っています。
「純血種」との違い
純血種は、体格や性質の特徴を固定するために長い年月をかけて同系血族交配を行い作出された犬種です。犬種が固定化されてからは、その多くは血統を守るために繁殖が厳しく管理されています。
逆に雑種犬は、特定の犬種同士を交配させて生まれた犬種ではないので、外見的特徴や性質に個体ごとの違いがあります。
いくつかの血統が混ざり合うことにより、遺伝的に強くなるといわれます。
「ミックス犬」との違い
親犬が純血種
異なる純血種同士の交配により生まれた1代目
人間の手が加わって交配された
ポメラニアンとチワワを掛け合わせた「ポメチワ」やトイプードルとダックスフンドを掛け合わせた「ダップー」など、最近は犬種の異なる犬同士を掛け合わせた「ミックス犬」が増えています。
ミックス犬と雑種の成り立ちは一見すると同じように思えますが、細かく見ていくと違いがあります。
ミックス犬には上記のような大きな特徴があり、この特徴を満たす犬をミックス犬と呼びます。
純血種である両親それぞれの優位性(チワワのコンパクトで可愛らしい体格、トイプードルの毛の抜けにくさなど)を引き継いだ個体が生まれる可能性が高いです。しかし身体的特徴や性格などは成長してからでないとわからないという点は雑種と共通しています。
雑種は中型犬が多い
両親のどちらかが大型犬でなければ大型犬に成長する確率は低く、また小型犬と大型犬を掛け合わすことはないため、雑種犬は概ね10〜20kg程度の中型犬になることが多いです。
一方小型犬の場合は、純血種同士の掛け合わせが多いので基本的にミックス犬となります。
親が純血種であれば、親のサイズが成長の目安となりますが、例外もあり一概にいいきれません。2歳を迎える頃に成長も止まり、体格も定まります。
雑種犬の魅力
世界で一つだけの容姿
体が丈夫
環境に馴染みやすい
個性的な雑種犬の持つ魅力を紹介します。
世界に一つだけの容姿が楽しめる
雑種犬は様々な犬種の血統が混ざっているため、その容姿も様々です。兄弟姉妹犬を除けば、同じ容姿の個体は存在しないといっても過言ではないくらいバリエーション豊かです。世界で唯一の珍しい模様が現れる可能性もあります。
子犬から成犬になる過程で、被毛の色や模様、体格などの見た目が変わることもあり、成長の変化を楽しめるのも魅力の一つですね。
体が丈夫
様々な犬種の遺伝子を引き継いでいる雑種犬は、遺伝性疾患にかかりにくいです。
「雑種強勢(ざっしゅきょうせい)」という言葉の通り、体格、繁殖力、耐性などの面で純血種よりも優れています。
例えば、チワワやポメラニアンなどの小型純血種は、遺伝的、身体的な特徴から、頭に水が溜まる水頭症にかかりやすいことがあります。
一方雑種犬は様々な犬種の血が混ざることにより、犬種特有の欠点が薄まるため、純血種に見られる「特定疾患のかかりやすさ」への心配が少ないです。
丈夫な個体が多いため、犬の飼育に慣れていない初心者でも飼いやすい犬種といえます。
地域の気候に馴染みやすい
暖かい気候の土地で生まれた子は暑さに強く、寒い気候の地域で生まれた子は寒さに強いなど、雑種犬は生まれた土地の気候に順応し繁殖してきたため、気候の変化に馴染みやすい傾向にあります。
また性格も生まれた土地柄を反映しやすいです。
雑種犬を飼うときの注意点
雑種犬はその成長や性質を予想しづらいため、飼ううえで注意したい点があります。
成長後のサイズが予想しにくい
純血種であれば、子犬の段階で両親のサイズをもとに成犬時の大きさをある程度予見できます。
しかし雑種犬は成犬になった際の大きさを予想しづらいです。両親が小柄であったとしても隔世遺伝で想像以上に大きく成長する場合や、逆に思ったよりも大きくならない場合もあります。
予想以上に大きく成長すると、住環境の問題で飼育が難しくなることも考えられます。
雑種の子犬を迎える際には、どのように成長しても最期まで愛情を持って育てる覚悟を持つことと、住環境に余裕はあるかなどを考慮する必要があります。
しつけが難しい場合がある
犬種の性質が特定されている純血種は、飼育するうえでの注意点やしつけのコツがパターン化されている場合が多いです。
一方雑種犬は両親のどのような性質を引き継いでいるか予想がつかないため、しつけに時間がかかるケースがあります。
甘えん坊であったり気難しかったり、賢かったりやんちゃだったりと性格はそれぞれ違うので、愛犬の性格に合った方法でしつけを行うことが大切です。時間がかかっても、焦らずゆっくりと向き合ってあげてくださいね。
雑種犬を迎える方法
保健所
譲渡会
里親サイト
雑種犬を迎える際の3つの方法を紹介します。
保健所から迎える
保健所は保護された犬が集められる公的機関で、自治体ごとに設置されています。
保健所に収容された犬はそこで新しい飼い主が現れるのを待ちます。しかし保健所にいられる期限は決まっていて、もし期間内に引き取り手が現れなかった場合は可哀想な結果になります。
保健所から犬を引き取ることは、命を大切にするという点においても意味のある行動です。
各自治体のHPに保護犬の情報が掲載されているので、気になる子を見つけたら保健所へ問い合わせをしてください。
譲渡会に参加する
定期的に譲渡会を主催している保健所や保護団体もあります。
譲渡会は直接犬と対面をすることができ、希望にあった犬がいた場合、その場で譲渡を申し込めるメリットがあります。飼い主としての条件を満たし、ほかに引き取り手候補がいなければ譲渡を受けることができます。
譲渡会に興味があれば、自身の住んでいる地域の保健所や保護団体のHPで譲渡会の情報をチェックすると良いですね。
里親募集サイトを利用する
なんらかの理由で犬の飼育をできなくなった飼い主さんが里親募集サイトを通じて雑種犬の里親を探しているケースもあります。
大手の里親募集サイトには、全国から多くの募集情報が集まっているので、希望にあった犬と出会える可能性が高いです。
譲渡を望む場合は、詳細な条件をしっかりと確認してくださいね。
雑種犬の飼い方
ここでは雑種犬を飼ううえで知っておきたい「しつけ方」「飼育環境」「寿命」「かかりやすい病気」を紹介します。
しつけと飼い方
雑種犬だからという特別なしつけ方はありません。
引き継いでいる血統や性格によって覚えに多少の差はありますが、愛情を持ってしつけを行ってあげてください。
飼育環境
日本犬の血を引く雑種であれば、大型犬に成長する可能性は低いです。ライフスタイルや住環境に適した犬を迎え入れることが望ましいです。
ただ雑種犬は成長具合が予測しにくいため、ケージは大き目のものを用意しておくと良いです。
寿命
平均寿命 | |
---|---|
雑種犬 | 10〜14年 |
ミニュチュアダックスフンド、 トイプードル |
14〜17年 |
シェパード | 9〜13年 |
セントバーナード | 10年未満 |
雑種犬の平均寿命は10〜14年といわれ、純血種より特に寿命が長いというわけではありません。しかし体が丈夫で病気にかかりにくいので、結果的に長寿となる傾向が見られます。
犬の寿命は病気や事故などを除けば体の大きさに反比例し、小型犬の方が長生きをします。ミニチュアダックスフンドやトイプードルなどの平均寿命は14〜17年となっています。
体格の良い犬は成長の度合いが早いですが、同様に老化速度も速いです。大型犬に分類されるシェパードは9〜13年、セントバーナードは10年未満の平均寿命とされます。
中型の多い雑種犬は寿命も中間だといえます。
かかりやすい病気
雑種犬は個体により引き継いでいる血統が異なるため、雑種犬だからかかりやすい病気は限定できません。どの犬種同士の掛け合わせかにもよりますが、遺伝性疾患にかかるリスクは低いです。環境への順応性も高いため体調を壊すことも少ないです。
しかしあらゆる病気にかからないというわけではありません。
また犬の健康は食生活にも大きく左右されます。愛犬が欲しがるからと人間の食べ物を多く与え続けると、胃や心臓などの疾患にかかりやすくなります。
紫外線を多く浴びる外飼いの犬は白内障にも注意が必要です。
雑種犬の犬種を調べる方法
純血種だろうが雑種だろうが、大切な家族であることに変わりはないので、犬種の特定をする必要がないと考えている飼い主さんも多いと思います。
たしかに犬を愛することに犬種は関係ありません。しかし可愛い大切な愛犬だからこそ知っておいた方が良いこともあります。
親の犬種を知ることもその一つです。家族の一員として迎え入れる前に提供された生体情報と外見の特徴などから、ある程度犬種の予想がつくかもしれませんが、ここでは愛犬のことをより詳しく知る方法やそのメリットを紹介します。
調べるメリット
かかりやすい病気がわかる
寿命を知る参考になる
雑種犬は複数の犬種の血を引き継いでいる混血種のため、見た目からだけではわからないDNAを持っている可能性があります。
病気に強い丈夫な犬種ではありますが、病気にかからないわけではありません。
鑑定を行い犬種を特定することで、血統的にかかりやすい疾患を回避できたり、寿命を知るうえでの参考になったりもします。
鑑定方法や費用
鑑定を行っている機関のHPから鑑定を依頼をします。
鑑定の方法はDNA鑑定で、費用はおおよそ20,000円程度です。
専用のキットが送られてくるので、そのキットに入っている専用のブラシで愛犬の口内の粘膜をこすって細胞を採取します。その際、強い力でこすると口の中を傷つける恐れがあるので十分注意してくださいね。
血液採取のような痛みを伴わないため、愛犬へのストレスを軽減することができます。
採取したサンプルを鑑定機関へ郵送すると、大体1ヶ月程度で結果が返ってきます。
変化を楽しみ、個性を愛する
両親から引き継いだ血統の掛け合わせにより、様々な姿を見せてくれる雑種犬。成長過程での変化を楽しめるのはとても魅力的ですよね。
しかし時に「こんなはずじゃなかった…」と予想以上の変化を遂げるケースもあります。
この子と決めて家族に迎え入れたからには、予想していた姿とは違ってもそれがその子の個性のため、その個性を変わらずに愛してあげてくださいね。