日本の有名な童謡にもあるように、猫といえば冬は「こたつで丸くなる」光景が浮かびますよね。実際に「一日中籠もりっきり」という愛猫も多いのではないでしょうか。
この記事では猫がなぜこたつに惹かれるのか、注意点、おすすめの猫用こたつについてまとめました。
猫がこたつに惹かれる理由
暖かい
狭い
暗い
鼻で温度を感知するから
猫は暑さよりも寒さに強い動物です。よく猫が熱々のストーブの目の前でうたた寝している姿を見かけますが、これは皮膚が厚い被毛に覆われていて、温度感覚が人より鈍いためです。
体温調節という意味では暑さに弱く、汗腺が足裏にしかないので、汗をかいて体温を下げることができません。逆に被毛に守られている分、寒さには強いといえます。
猫が体温調節をするときは、 基本的には暑ければ冷たい場所、寒ければ暖かい場所を求めて体温を保とうとします。そのときに大きな役割を果たすのが「鼻」です。
猫は鼻から吸った空気の温度を鼻の内部で感知しますが、その精度は非常に高く、1度以下の差もわかると考えられています。猫はこの能力を使ってこたつの暖かさを見極めますよ。
狭くて暗い場所が好きだから
暖かさ以外に猫がこたつに惹かれるのは、狭くて暗いからという理由も挙げられます。もともと家猫や小型野生ネコの多くは、待ち伏せして獲物を捕まえる性質があります。
よく猫におもちゃをちらつかせると、物陰から飛びつき、捕ったおもちゃをベッドの下などに持ち込もうとしますが、これはほかの動物に獲物を横取りされないためです。猫にとって、ほかの動物から「見られていない」または「見えない」は大事なことで、そのため狭くて暗い空間を好むと考えられます。
このように猫の習性から考えると「暖かい」「狭い」「暗い」が三拍子揃ったこたつは、猫にとってうってつけの場所なのですね。
猫がこたつで丸くなる理由
猫の祖先はリビアヤマネコといわれていますが、家畜化された歴史が浅いため、現在の家猫にリビアヤマネコの習性が強く残っていると考えられます。
猫は、瞬発力が長けている一方で持久力はあまりありません。これは同じネコ科のライオンやチーターも同様です。そのため、敵や獲物に見つからないように身を隠せる狭い場所は、猫にとって安全な場所になります。寒い冬に猫がこたつに入って丸くなるのは、野生だった頃の本能といえますね。
猫がこたつに入っているときの注意点
低温やけど
一酸化中毒
赤外線
脱水症
粗相
高齢・幼猫・尿路疾患の猫
こたつは局所的に熱くなる器具のため、低音やけどや熱中症に注意が必要です。熱さに鈍感な面もあるので、長くこたつにいるときは、猫を外に出してあげたり、布団をめくってあげたりしてくださいね。
低温やけど
通常のやけどは、強い熱源に触れることで皮膚の表面にダメージを負います。一方、低温やけどは、自分の体温より高い温度のものに長時間触れ続けることで、皮膚の奥からじわじわと悪影響が出ます。症状としては、ひどい場合は水ぶくれができて深部にまで熱傷が及び、治るまでに時間がかかります。
心臓病や呼吸器の病気を持つ猫の場合は、体が熱くなると病状の悪化につながることがあるので、こたつを利用する際はとくに注意をしてあげてください。
布団に覆われたこたつの中は体温によって温まるため、極寒地でない限りスイッチを切っても大丈夫ですよ。
一酸化中毒
炭を使用した昔ながらのこたつ(練炭こたつや豆炭こたつなど)は、長時間いると一酸化中毒の恐れがあります。一酸化中毒になった猫は、自力でこたつの中から出ることができなくなります。
猫を飼っている場合は、安全面を考慮し電気こたつに買い換えることをおすすめします。
赤外線
全身をこたつの中に入れる猫にとって、体の芯から温まる赤外線タイプのこたつは、赤外線の光を長時間浴びることにつながり、白内障や失明のリスクが高まります。
脱水症
猫の祖先であるリビアヤマネコは、砂漠の環境に適応するためにあまり水を飲まず、濃縮された尿を出す習性があります。その名残で、現在の猫たちも水を飲む量が少なく、腎臓に関する病気にかかりやすいと考えられています。
ただでさえ水を飲む習慣があまりない猫がこたつに長時間いると、脱水症になるリスクが高まります。脱水症をチェックするには、猫の首の後ろや背中を軽くつまんでみてください。つまんだ箇所が瞬時に戻れば問題なく、1〜2秒以上かけてゆっくりと皮膚が戻ってくるのは、脱水症のサインです。
こたつで粗祖
猫は「ふかふかして排泄物を隠しやすい場所」をトイレとして認識します。猫がトイレ以外の場所で粗祖するのは、以下の原因が考えられます。
・本来のトイレが不潔、または猫砂の感触が不満
・腎臓病などの泌尿器の病気
・何かストレスを感じている
・マーキング
・トイレよりいい場所を見つけた
このように猫が粗祖するのは、何かしら理由があり叱っても意味がありません。初めてこたつで粗祖をしたときは「トイレよりいい場所を見つけてしまった」が猫の言い分と考えられますので、 こたつ布団を撤去したり、ビニールカバーを掛けたりの対策を施すことをおすすめします。
高齢猫・幼猫・尿路疾患の猫は注意
健康な成猫が粗相するのは、それほど高い頻度で起きません。ただ、体温調節機能の低い高齢猫や幼猫、尿路疾患がある猫が長時間こたつに入っていると、脱水や熱中症が起きやすくなります。尿路疾患がある場合は、病状を悪化させることもあるので、とくに注意してあげてくださいね。
猫がこたつを安全に使用する方法
こたつでの事故を避けるには、猫用こたつを使用することです。でも、どうしても人間用のこたつを使う場合は、以下の工夫で事故のリスクを下げることができます。
・電気こたつを使用する(練炭などを使う掘りごたつは一酸化炭素中毒の危険があります)
・温度設定を弱にする
・こたつ布団の一角に猫の出入り口を開けておく
・人間が入る場合は、猫のいる場所を確認してから入る
・コードには安全カバーを巻く
・人の目が届かない留守中や夜間はスイッチを消す
・猫の様子をときどきチェックする(長い間出てこないときは一度スイッチを消す、猫をこたつから出す)
・水を飲ませる工夫をする(フードを水やお湯でふやかす、ウェットフードや水の器の数を増やす)
人間用のこたつは、猫にとって危険がいっぱいです。ぜひこまめにチェックしてくださいね。
猫用こたつとは
猫用のこたつは、人間用のものと違い猫が安全に使えるように様々な工夫がされているこたつです。
たとえばヒーター部分に保護網が張ってあり、触れてやけどしないようになっていたり、電源コードは噛みつきから保護するためチューブが入っていたり、熱くなり過ぎない温度に設定できるようになっています。
猫は寒さに強く、熱さに鈍感
猫がこたつに惹かれる理由をご紹介しました。猫は寒いからこたつを好むと思っていましたが、狭さや暗さも理由であることが分かりました。
でもそれ以上に驚くのは、猫は寒さに強く、熱さには鈍感だということ。気付かず低温やけどや脱水症を引き起こすこともあるので、冬にこたつに籠もりがちの愛猫は、こまめにチェックしてあげてくださいね。