上品な雰囲気をまとったシャム猫。その起源は、1300年代のタイ王国にさかのぼるといわれています。
タイ王国の中でも由緒ある血筋を持つ家系でのみ飼うことを許されていた「高貴な猫」なのです。
この記事では、シャム猫の特徴や性格、寿命や病気についてまとめました。
シャム猫の歴史は?
「シャム」というのはもともとタイ王国の呼び名です。詳細な原産地は不明ですが、タイに古代から伝わる猫だとされています。
シャム猫は、王室の飼猫であるとともに、富裕層や支配階級、聖なる寺院の猫とされていました。
シャム猫がタイ以外で知られるようになったのは1884年、イギリスでのことです。タイの王族から、バンコクのイギリス総領事エドワード・ブレンコウ・ゴールドに、フォーとミアというペアのシャム猫がプレゼントされたことがきっかけです。
1892年にスタンダードが作成され、1901年にはシャム猫のキャットクラブが設立されました。
美しい外見と飼い主さんに甘える可愛らしい性格から、現在でも世界中の人に愛されている猫種です。
シャム猫の性格は?
活動的で元気いっぱい
いたずら好き
警戒心が強いが、慣れた相手には甘えたがり
わがままで気難しい
活動的で元気いっぱい
シャム猫は活動的で元気いっぱいな猫です。猫の中でも運動量が多いといわれており、高いところに登ることや散歩を好む子も。
ストレスを溜めないよう、室内には上下運動できるキャットタワーやキャットウォークを用意してあげたり、1日3回10分ずつ遊ぶ時間を確保したり、たくさん体を動かせる環境を整えてあげましょう。
いたずら好き
いたずら好きな一面があり、テレビのリモコンで遊んでどこかに隠したり飼い主さんの反応をみて壁をひっかいたりすることもあるので、してはいけないことは気長にしつけてあげてください。
警戒心が強いが、慣れた相手には甘えたがり
最初は警戒心を持っていますが、慣れると甘えたがる性格です。危害を加えてこないと判断した人間やペットとはとことん仲良くしてくれます。
クールな性格で一人遊びをよくするイメージを持たれがちですが、むしろ飼い主さんや優しくしてくれる人と一緒にわいわいと遊ぶことが大好きです。
わがままで気難しい
欲しいタイミングで餌が用意されていないと、飼い主さんから逃げたりしつけを無視したりするわがままで気難しい一面も持ち合わせています。そんな時こそ愛情を持って接してあげてくださいね。
シャム猫の特徴は?
オスの体重 | 3~4kg |
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メスの体重 | 2~4kg |
毛色 | ブラック、チョコレート、ブルー、ライラック |
目の色 | サファイアブルー |
シャム猫の体型は中型の「オリエンタルタイプ」に分類され、体重はオスが3~4kg、メスが2~4kgほどです。
小さめでくさび形をした頭、長くピンと立った大きな耳、華奢な体、が特徴的です。エレガントで高貴な印象を受けます。
ただ、抱っこしてみるとずっしりと重く、全身が筋肉質であることが分かります。現在人気が高まっているのはスレンダーなシャム猫で「エクストリーム」とよばれています。
被毛・眼の色は?
毛色と眼の色も美しい猫です。顔、耳、手足、しっぽの色が濃くなっており、ポインテッドカラーと呼ばれています。産まれた時は白く、成長するにつれて色が変わっていきます。
ブラック、チョコレート、ブルー、ライラックがシャム猫の毛色として公認されています。瞳の色はサファイアブルーで、アーモンド形をしています。
声でコミュニケーションを取るのが好き?
シャム猫はよく鳴き声を発する猫種です。飼い主とのコミュニケーションを取るために声を出すことがあり、話すような音を出すことが特徴です。
また、シャム猫は非常に活発で遊ぶのが好きです。知恵を働かせるおもちゃやパズルトイを提供することで、彼らの好奇心と知的な刺激を満たすことが重要だといえます。
猫と一緒に暮らしたらたくさんコミュニケーションをとりたいという方には非常に向いている猫種です。
シャム猫の寿命は?
10~13年
シャム猫の平均寿命は10~13年です。一般的な猫の平均寿命を15年とすると少し短いといえますね。
ただし、個体によって異なることや適切な健康管理や獣医のケアによって寿命を延ばすことも可能です。
健康でいられるような生活環境を整え、定期的な獣医の診察や予防接種、適切な食事、適度な運動、ストレスの軽減などを行うことでシャム猫の健康と寿命をサポートすることが重要だといえます。
また、遺伝的な疾患や特定の病気に注意を払い、早期に治療することも寿命を延ばす上で重要です。
シャム猫がかかりやすい病気は?
眼球振盪
角膜黒色壊死症
進行性網膜萎縮症、進行性網膜変性症
慢性腎不全
先天性難聴
歯周病
シャム猫は病気にかかりやすい猫種です。特に、目と腎臓の病気が多いといわれています。親猫からの遺伝性の病気もありますので、飼い始める前に知っておきたいですね。
眼球振盪(がんきゅうしんとう)
サファイアブルーの美しい眼をもつシャム猫ですが、目が左右に細かく震える「眼球振盪」を患っていることがあります。
シャム猫特有の病気で遺伝的な要素が強いといわれています。心配なときには獣医に連れて行ってあげてください。
角膜黒色壊死症(かくまくこくてんえししょう)
角膜の中央部分に、黒いカサブタのようなものができてしまう病気です。角膜が壊死してしまっている状態なので、早めに処置をすることが大切です。
片目に現れることが多く、進行すると痛みがあらわれます。症状が軽ければ点眼で済みますが、進行してくると外科手術を行う必要もあります。
「ネコヘルペス」や「ネコカリシ」など、ワクチンが有効とされているので、獣医さんに相談してみることをおすすめします。
進行性網膜萎縮症、進行性網膜変性症
親猫からの遺伝性の疾患で、失明につながる恐れのある眼の病気です。4~5歳ごろから発症し、夜間の視力が低下し始めます。
動物病院の遺伝子検査で発症の有無を診断できますが、有効な治療法は確立されていません。発症した猫は繁殖させないことが大切です。
遺伝的な病気のリスクを抑えるために
シャム猫には遺伝的な傾向があるいくつかの病気があります。
遺伝性病気のリスクを最小限に抑えるためには、繁殖の際に適切な検査や遺伝子検査を行い、健康な血統を選ぶことが重要です。
慢性腎不全(まんせいじんふぜん)
加齢とともに腎臓の機能が弱まり、「脱水症」や「尿毒症」になる病気です。シャム猫を含む一部の猫種は、遺伝によって発症するとも言われています。
気がつきにくい病気ですが、「食欲の低下」「多飲多尿」「体重減少」「嘔吐」「口内炎」「口からのアンモニア臭」などが表れる症状です。
普段から愛猫の様子を観察して、変化に気がつくことが対策につながります。腎臓の機能は衰えると元に戻らないため、早期発見・早期治療が大切です。
先天性難聴(せんてんせいなんちょう)
青い目や白い毛を持つ猫は「先天性難聴」の確率が高いといわれています。名前を呼んだり、大きな物音がしたりしても反応がない場合は、発症している可能性があります。
耳が聞こえなくても猫は視覚や嗅覚で補えるため、人間ほど室内での生活に支障が出ませんが、外出は控えさせたほうが安心です。
歯周病
シャム猫は歯周病にかかりやすい傾向があります。歯石や歯茎の炎症が起こり、歯の損失や口臭などの症状が現れることがあります。
定期的な歯のケアや獣医のチェックアップを行い、歯石の蓄積を予防することが重要です。
出典:TICA「Siamese Breed」
出典:タムシン・ピッケラル著/五十嵐友子訳/アストリッド・ハリソン写真「世界で一番美しい猫の図鑑」
シャム猫は上級者向きの猫?
シャム猫は、少し気難しいところや、病気にもかかりやすい面もあるため、手をかけ面倒を見てあげる必要があります。
長所と短所をしっかり理解したうえで、シャム猫を迎えてあげてくださいね。猫を飼う初心者の方よりも、中・上級者に向いている猫といえますよ。