雪原に佇むシベリアンハスキーの姿に、神秘的な美しさを感じる人も多いのではないでしょうか。
オオカミに似た魅力にひかれ飼い始めた方、飼いたいと考える方も多い犬種です。
この記事では、シベリアンハスキーの歴史や特徴、性格や寿命、かかりやすい病気、飼い方、値段などの情報についてまとめました。
目次
シベリアンハスキーの歴史や性格、特徴
歴史
シベリアからカナダ北極圏にかけてのツンドラ地帯を原産地とする、社会性のある性格が特徴の大型犬です。犬ぞりなど牽引による荷物の運搬や、狩猟の補助を行う用務犬として生活していました。
1925年にアラスカにてジフテリアという感染症が流行した際に、ハスキー犬のチームが氷点下50度にもなる寒さの中544kmをリレーし血清を運んだ実績があります。多くの人命を救ったことから、シベリアンハスキーが世界的に知られるようになりました。
日本ではバブル景気ごろ、当時人気だった漫画の影響で人気犬種になりましたが、言うことを聞かない、扱いきれない、など身勝手な理由で飼育放棄が相次いでいました。
性格
陽気
おおらか
フレンドリー
従順
好奇心旺盛
陽気でおおらか
シベリアンハスキーは「陽気」「おおらか」「フレンドリー」「従順」「好奇心旺盛」といった性格をしています。オオカミのようなワイルドな見た目とは逆に、穏やかな性格をしていますので、他の人間や動物とも仲良くすることができる犬種です。そのため、多頭飼育の環境でも大丈夫でしょう。
番犬には不向き
人間に対して友好的な犬種ですが、初対面の人に対しても友好的な態度を示すことがあるため、番犬には向いているとはいえません。社会性が高く従順で、家族の一員として良い関係を築くことができます。
大きさ
13.5~28kg
50.5~60cm
オスとメスでは体の大きさが異なります。
成犬の場合、オスは体重が20.5~28kg、体高が53.5~60㎝。メスは体重が15.5~23kg、体高が50.5~56㎝です。
※体高:地面から首と背中の境目付近までの高さ、人でいう身長に相当するもの。
外見の特徴
最大の特徴といってもいいのが、目の色。「黒」「青」「茶」「黃」のほかに、左右で色が異なる「オッドアイ」など様々な種類があります。
被毛・毛色
被毛は長く撥水性のあるオーバーコートと保温力の高い密集したアンダーコートからなるダブルコートなので、春と秋の「換毛期」には大量の毛が抜けます。
毛色は「ブラック&ホワイト』が一般的ですが、「白一色」や「カッパーレッド」「チョコレート&ホワイト」などのカラーも認められています。
シベリアンハスキーにはかなりの運動量が必要
散歩の重要性
シベリアンハスキーは犬ぞりをしていたこともあり運動量の多い犬種なので、体を動かす機会が減るとストレスが溜まったり病気になることがあります。
暑い時間帯を避け、朝晩合わせて1~2時間の散歩を心がけましょう。夏は短め、冬は飽きるくらい長く時間を確保できたらばっちりですね。休憩をはさみながら、ハスキーのペースに合わせるのが良いでしょう。
散歩や運動は変化をつけて
毎日同じルート同じ距離では、飽きてしまいます。時には、自由にハスキーに先導してもらうような散歩もおすすめです。また、ドッグランで思いっきり走れる機会をつくり、ストレスを溜めない環境を用意しましょう。
シベリアンハスキーのしつけは忍耐強く
シベリアンハスキーは家庭犬としての犬種ではないため、初心者にはしつけが難しい犬種です。ですが、めげない性格をしているので根気よく教えてあげることが大切です。
まずは、信頼関係を築くことから始めましょう。シベリアンハスキーは社会性が強く、群れの中で順位付けをします。リーダーには従順な性格をしているので、飼い主がリーダーだと判断してもらう必要があります。
愛情をたくさん与えて、忍耐強く接していきましょう。
ときにはご褒美を
しつけが成功したときに、ご褒美を与える方法を取り入れてみてもいいでしょう。好きなおやつを与える他、たくさん遊んであげることもご褒美になりますよ。
バカ犬?
「シベリアンハスキー=バカ犬」と言われていたこともありますが、これは犬種の性質を理解しないまま人気犬種であることだけで無責任に飼い始めた人間側に非があります。シベリアンハスキーはとても賢い犬種です。にもかかわらず「バカ犬」と思うのであれば、それは飼い主の飼育方法がそうであったと言えます。
シベリアンハスキーの寿命・病気について
寿命
12年前後
シベリアンハスキーの寿命は12年前後とされています。寿命はさまざまな要素によって個体差があり、12年はあくまで目安として捉えてくださいね。
一般社団法人ペットフード協会が2021年に行った調査では、犬全体の平均寿命が14.65歳と2010年以来寿命が延びていることが分かっています。医療の進歩やドックフードの質が向上しているなど、年々寿命は延びていきそうです。
病気
進行性網膜委縮
白内障
シベリアンハスキーは「進行性網膜委縮」「白内障」などの、目の病気に気をつけましょう。
進行性網膜委縮
網膜が委縮して正常に働かなくなる遺伝性の病気です。最初は夜間など暗い場所で目が見えづらくなり、やがて日中でも見えづらくなっていき、最終的には失明します。遺伝性のため予防方法、治療方法ともにありません。
長い時間をかけてゆっくり進行していくので、日々愛犬の様子に変化がないか注意してみましょう。
引用元:網膜萎縮[もうまくいしゅく]
白内障
老化によって目の水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。加齢だけでなく、遺伝、外傷や糖尿病が原因になり引き起こされることもあります。慣れた自宅や散歩コースで物にぶつかったり、行動に変化がみられます。
引用元:白内障[はくないしょう]
シベリアンハスキーの飼育について
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
シベリアンハスキーとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
シベリアンハスキーとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛は定期的にブラッシングすることが重要です。毛の絡まりや抜け毛を防ぎ、清潔で健康な被毛を保つことができますよ。シベリアンハスキーは抜け毛が多いため、ブラッシングは毎日してあげてください。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。月に1回を目安に取り入れましょう。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシで、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
シベリアンハスキーの迎え入れについて
生体価格
15~40万円
シベリアンハスキーの子犬の値段は15~40万円が目安です。
ただ、親犬がチャンピオン犬(ドッグショーで優秀な成績を収めた犬)だったりすると、40万円以上かかることもあります。
迎え入れ先
シベリアンハスキーの迎え入れは「ブリーダー」経由での迎え入れが一般的です。
ペットショップでは小型犬の販売が主流となっているからです。子犬から飼育したいという強い希望がないのであれば、里親制度を利用して迎え入れる方法もありますよ。
シベリアンハスキーの食事について
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
シベリアンハスキーのミックス犬について
シベリアンハスキーは人気の犬種なので、シベリアンハスキーと他犬種をかけ合せたミックス犬もたくさんいます。
ポメラニアンとのミックスである「ポンスキー」を筆頭に、柴犬とのミックス、ゴールデンレトリバーとのミックス、ボーダーコリーとのミックスなど新犬種が続々と登場しています。
ミニチュアシベリアンハスキーについて
ミニチュアシベリアンハスキーは、シベリアンハスキーをスキッパーキやジャーマン・スピッツなどの犬種と交配していくことで誕生しました。
体は小さいですが、シベリアンハスキーの性質をそのまま受け継いでいます。飼育を考えているのであれば、犬の性質を十分理解した上で家族に迎え入れてくださいね。
迎え入れるなら相当な準備を
いかがでしたでしょうか?
シベリアンハスキーは人間に友好的で、犬ぞりを任せられていることもあって賢い犬種と言えます。ハスキーとの信頼関係を忍耐強く築いていけば、良きパートナーになることは間違いありません。
ただし大型犬であったり、非常に暑さに弱かったり、かなりの運動量が必要だったり…と迎え入れるには心構えをしておかなければいけません。決して初心者向けの犬種ではないと思います。
シベリアンハスキーを家族の一員に考えている方は、十分に情報を集めブリーダーさんと相談をするなど、迎え入れる体制をばっちりにしておきましょう。