【動物保護団体インタビュー】NPO法人わんずぺ〜すさんを取材しました!

わんすぺ〜す

今回は、埼玉県日高市を中心に活動をしている、NPO法人わんずぺ〜すさんを取材しました。

今回取材した方

鈴木さん
今回取材したのは、「NPO法人わんずぺ〜す」の「鈴木美枝」さんです。犬の保護団体の理事長を務めています。真剣な目標をたくさん語っていただきました。

鈴木さんは、保護活動歴が今年で約14年になるそうで、長く活動されています。

以下、鈴木さんのお話です。

2010年の設立当初は、「社会的企業」として保護活動を行うつもりで、「株式会社アニマル&ヒューマンリンク」からスタートしました。

吉祥寺に店舗を借り、屋号を「wanspace(わんずぺ〜す)」として、日本初の保護犬カフェをオープンしました。ペットショップが好立地に当たり前のようにある中で、保護活動をより身近なものにしたくて、人が集まる吉祥寺の街中を選びました。いつでも気軽に来ていただけるように店舗スタイルにチャレンジしましたが、素人経営ゆえ大変苦労しました。道路拡張工事による立ち退きとなって、東京都東大和市への移転を機に、株式会社から任意団体へ移行し、カフェをやめて保護施設の運営に専念しました。2016年にはNPO法人となりました。

東大和市では2世帯住宅になっている建物1棟を借り、1階は日本初の「保護犬と暮らすシェアハウス」2階は犬の保護施設「わんずぺ〜す」として運営していました。シェアハウス「わんずハイム」からは約5年間で十数頭の保護犬を送り出すことができました。

2023年10月末、埼玉県日高市へ施設が移転するのに伴い、シェアハウスは終了となりました。

活動のきっかけ

きっかけの一つが、亡き愛犬を保護団体から引き取ったことです。その団体の代表が、アメリカの保護活動に詳しかったことから、日本の活動との違いなどを聞いて愕然としたことや、たまたま深夜に放送された、保健所に収容される犬猫たちのドキュメンタリーを見て、その悲惨な事実に深い衝撃を受けたことがきっかけです。

保護してくれる人がいなかったら、私の愛犬も殺されていたかもしれないと思い、保護活動の大切さも強く感じました。2010年ごろは年間20万頭ほどの犬猫が殺処分となっていたため、「助けられる命を一頭でも増やしたい」と思い、それが保護犬カフェを立ち上げる決意につながりました。

もう一つの大きな理由として、その当時の保護団体の多くが、単身者・高齢者に対して、保護犬を譲渡しないとする条件を設けていたことです。私自身も一人暮らしで保護犬と暮らしてきた経験から、今後、日本は単身者や高齢者が急増する傾向であるにもかかわらず、人と犬が共に生きる可能性を狭めてよいのだろうかと疑問に思ったのがきっかけです。

単身者も高齢者も安心して保護犬と暮らせるように、譲渡後もフォローしていくサービスを提供できる保護団体を自ら創ろうと「わんずぺ〜す」をスタートさせました。ただし、大切な「命」を託すことから、誰にでも無条件で犬をお渡しするつもりはなく、わんずぺ〜すでも、単身の方、ご高齢の方への譲渡はより多くの条件を設けています。ケースバイケースで判断し、場合によってはお断りすることもあります。

保護団体について

わんずぺ〜す

スタッフの数

スタッフは、私、社員1名、アルバイト2名の計4名です。他に副理事長2名が実務をフォローしていて、会計やシェルター業務をサポートするボランティアさんもいます。

犬猫の数

シェルターに14頭、預かりボランティアさん宅に3頭の計17頭です。

これまでの譲渡数は630頭です。(2024年4月現在)

活動の拠点

沖縄県で活動する犬の保護団体「ワン’sパートナーの会」さんと協力して、沖縄で保護されたわんちゃんを空輸して、埼玉県日高市でお世話をしながら里親探しをしています。

保護活動について

わんずぺ〜す

活動内容

里親希望の方とはメールでやり取り後、問題ないようであれば、犬とのお見合い予約をお取りしています。お見合い時間は1組につき平均2時間ほどで、完全予約制です。

丁寧でオープンな説明を心がけています。

活動をしていて嬉しかったこと

私たちにとっての喜びは、なんといっても巣立った子たちが里親さんのもとで大切にされ、幸せになっていることです。

病気がある子、過酷な環境にいた子やなかなかご縁に恵まれず長くシェルターにいた子が、「家族」として迎えられた時の喜びは格別です。

活動をしていて大変だったこと

活動資金の確保は今もなお苦労しています。

少人数のスタッフで多くの仕事を抱え、犬のお世話に時間をかけていることもあって、なかなか寄付を集める活動に時間と人手を割くことができていません。仕事は増える一方で次のステップに進めない状況が続いています。

また、わんずぺ〜すは2度移転を経験していますが、これがものすごく大変でした。移転場所がなかなか見つからず、資金調達も苦労しました。保護活動を続けながらの引っ越し作業は激務を極めました。

また、譲渡が難しい子や病気や老齢の子が年々増え、新たに受け入れられる頭数が減ってきていることも悩みです。

活動をするうえで大切にしていること

一番大切にしていることは、活動を共にする仲間への感謝を忘れないようにすることです。これまでたくさんの困難や苦労がありましたが、人に恵まれたことで何とか乗り越えることができました。

多くのサポーター様のご支援・人とのつながりこそが宝物となっています。

これからについて

わんずぺ〜す

ボランティアを始めたい人に向けて

現場は常に人手不足なため、年に数回でもよいので、長く続ける決意で臨んでくださるとありがたいです。ご自身の得意を活かすことも支援になります。

保護活動は犬のケアだけではなく、「犬の命と生活を守るための全て」であることを念頭に、犬の幸せを願う気持ちを行動に変えていただければ幸いです。

今後について

商品企画

多くの犬たちとの生活を通して、おもちゃやグッズなどを使っていて、不便だったり危険だと思うことが度々ありました。現場の声をもとにより良い商品となるように、企業と共同でチャリティ商品の企画・開発ができたらと願っています。

保護活動の漫画化

若いころに一時期、漫画やイラスト業をしていた経験から、日々の保護活動の様子や、わんずぺ〜すで保護されている犬たち「わんずキッズ」の様子を漫画で伝えていけたらいいなと思ってきました。

わんずキッズをキャラクターにして描くことで、皆さんに親しみをもってもらえたらと思いますが、忙しくて実現できていません。

保護犬と暮らせる集合住宅の運営

集合住宅に保護犬を飼うスペース(共有のリビング)を設けて、みんなでお世話をする建物をつくり、それをわんずぺ〜すがサポートする、社会貢献型の集合住宅を運営することが目標です。

鈴木さんの想い

寄付文化が根付いている海外では、桁違いの寄付金で素晴らしい動物保護施設が安定的に運営されていますが、日本における保護活動は、個人や一部の有志の善意に負担が集中し、過酷な運営を強いられています。

保護犬・保護猫は保護された時点で、病気やケガで治療が必要な場合がほとんどです。また、人馴れしておらず、数カ月〜年単位で根気のいるトレーニングが必要な場合もあります。「拾った動物=譲渡費用は安くて当然」と思われがちですが、むしろとても手間とお金がかかることをご理解いただきたいと思います。

動物福祉に無関心であることは、社会全体の人々の認識や動物を取り巻く環境、動物愛護管理法の改正にも大きく影響します。動物を愛してやまない方々一人一人がこの問題に関心を持ち続け、不幸な境遇にある子たちに思いを馳せ、その命を守るためにできることを行動に移してくださることを願ってやみません。

NPO法人 わんずぺ〜すの情報

ホームページ http://www.wanspace.jp/
Instagram https://www.instagram.com/wanspace_from2010/
Facebook https://www.facebook.com/Wanspace.jp
Amebaブログ https://ameblo.jp/wanspace-dogs/

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