家庭犬として日本で大人気のポメラニアンですが、長く一緒に過ごすためにも歯磨きは大切なポイントです。食べかすが残っていると病気を引き起こすきっかけにもなるため、口腔内を綺麗に保ってあげたいですよね。
この記事ではポメラニアンが骨と歯が弱いとされる理由と、飼い主さんが心がけたいポイント、おすすめの歯磨きグッズ、しつけ法についてまとめました。
目次
ポメラニアンの歯磨きの方法
犬用歯ブラシやガーゼを使うのがおすすめです。
口元を触られるのを嫌がる場合は、犬用の歯磨きガムを使う方法もありますよ。
嫌がらない程度に日頃から口元を触ったり唇をめくったりしておくと慣れてくれるかもしれません。口元を触られても吠えなかったらご褒美をあげてあげてくださいね。
ポメラニアンの飼育上の注意点. 歯が弱い
ポメラニアンは歯が隙間なくびっしりと生えており、口内細菌の塊である「歯垢」がたまりやすい犬種です。
「歯垢」は放置しておくと硬化して「歯石」という塊になってしまいます。
歯石は病気につながる?
歯石にはバクテリアが増殖するので、「歯肉炎」や「歯周病」の原因になります。
細菌が体内に入り込むと「下痢」や「腹痛」を起こすだけでなく、抜歯が必要になります。
ポメラニアンの歯の本数は?
生後2ヶ月頃から生えそろい乳歯の数は上14本・下14本の合計28本で構成されています。
4~5ヶ月頃になると永久歯に生え変わり、上下あわせて前歯12本・犬歯4本、前臼歯16本、後臼歯10本の合計で42本まで増えます。
ポメラニアンの歯の構造は?
歯冠
歯冠は、歯茎から外に飛び出している歯のことです。食物と接触し、噛む・切るといった歯の中で重要な役割を担っています。
エナメル質
エナメル質(Enamel)は歯冠の表面を覆っている硬い外層のことです。
96%の無機質と4%の水、有機質で構成されています。哺乳動物の体内で最も硬い組織ですが、強い衝撃には弱く、時に欠けたり折れたりしてしまいます(歯牙骨折)。
歯肉
歯の根元をおおい尽くす上皮組織のことです。
歯冠に隣接しており、骨に付着していない歯と歯茎の境目を「歯肉縁」といいます。炎症が起きた際、歯肉が減るなど目に見えて加減がわかることから健康チェックの目安としても用いられています。
歯肉溝
歯冠と歯肉の境目にできる小さなポケットのような溝のことです。
健康な歯の場合は隙間も小さく、細菌の侵入や繁殖を防ぎますが、炎症を起こすと溝が深くなってしまいます。
ポメラニアンの歯はいつ生え変わる?
生後3週間頃から生え始めて、生後約2ヶ月頃には生えそろいます。
乳歯の状態がしばらく続き、4~5ヶ月頃に生え変わり始め7~8ヶ月頃には永久歯になりますよ。
門歯
食物を噛み切る役割をもつ歯です。
永久歯は生後3~5ヶ月から生えかわり、歯の本数は上下6本ずつの計12本で構成されます。門歯は、「切歯」とも呼ばれていますよ。
犬歯
他の歯と比べ最も長く先端が鋭く尖っている歯です。食物などを噛み砕くときに固定する役割をもちます。
乳歯には存在せず、永久歯の生えてくる生後5~7ヶ月ごろから現れます。歯の本数は上下2本ずつの計4本ですよ。
前臼歯
食物を切る、固定するといった役割をもつ歯です。歯の形が平らに近いため、食物などを引き裂くのに適している形です。
乳歯にはなく永久歯からのため、生後4~6ヶ月ごろに生えますよ。歯の本数は上下8本ずつの計16本ですよ。
後臼歯
人間の奥歯と同じようにすりこぎ状の形をしており食物を磨り潰す役目を持つ歯を後臼歯といいます。
永久歯しかないので、生後5~7ヶ月ごろに生えます。歯の本数は、上が4本で下が6本の計10本ですよ。
ポメラニアンの歯から出血している場合の対処法は?
ポメラニアンが乳歯から永久歯に生え変わるときの出血はすぐに止まるため、特に心配はいりません。
ポメラニアンの歯のかみ合わせは?
ポメラニアンや他の犬種と共通してのかみ合わせのパターンは大きく4つあります。
良い状態
「鋏状咬合(はさみじょうこうごう)」や「シザーバイト」とよばれる状態です。
鋏状咬合は、上の門歯の裏と下の門歯の表面が、接触をしているかみ合わせのことをいいますよ。下の犬歯は、上の犬歯の前にきれいにはまります。
悪い状態
「切端咬合(せったんこうごう)」「下顎突出咬合(かがくとっしゅつこうごう)」「上顎前出咬合(じょうがくぜんしゅつこうごう」の3パターンあります。
切端咬合は「レベルバイト」とも呼ばれ、上下の門歯の端がかみ合ってしまうかみ合わせです。
下顎突出咬合は「アンダーショット」とも呼ばれ、口を閉じたときに下の門歯が上の門歯の前に出てしまうものをいいます。
上顎前出咬合は「オーパーショット」とも呼ばれています。上下の門歯の間に隙間ができていることをいいます。
特にペットショップなどで購入されるときには、オーバーやアンダーと特記事項に書かれていることが多いですよ。
ポメラニアンの歯並びが悪いときは?
食べたものをしっかり噛むことができない、歯磨きがうまくできないなど健康上の問題点が発生することがあります。
日常的にしっかりとケアをしてあげられれば、悪い歯並びでも健康に過ごさせることができますよ。
ポメラニアンの歯が生え変わらないときは?
歯が生えかわらない、永久歯とともに乳歯が残ってしまう状態を「乳歯遺残」といいますよ。ポメラニアンや小型犬に多くみられる現状ですよ。
乳歯と永久歯両方があるため、歯の密度が上がり食べ物などが挟まりやすくなります。歯垢や歯石がたまりやすく、かみ合わせにも影響しますよ。対策法はありませんが、日ごろのチェックをして、異変に気付いてあげてくださいね。
治療法としては、抜歯をして乳歯を取り除くことがすすめられます。永久歯が生えて時間が経ってしまうと抜歯をしても永久歯が本来の位置に戻らない可能性がありますので、早めに獣医さんに相談してくださいね。
ポメラニアンの歯の病気は?対策は?
ポメラニアンがかかりやすい歯の病気は?
ポメラニアンのかかりやすい歯の病気としては、人間と同じで「歯槽膿漏」があげられますよ。日ごろの歯磨きや健康チェックを欠かさなければ対策しやすい病気ですよ。
歯槽膿漏
歯のぐらつきや口臭・歯茎の腫れやただれの状態をいいますよ。定期的に歯磨きや健康チェックをすると対策ができます。
ケアを怠ってしまうと、2歳頃から歯石がつき始めて、全体が歯石でおおわれてしまいます。歯石の除去は動物病院で行えますが、歯石除去には麻酔が必要になるため、注意してくださいね。
ポメラニアンは乳歯遺残になる場合もあります。乳歯が残ってしまった場合、歯槽膿漏になりやすいので、抜歯するなど動物病院に相談したほうがよいですよ。
歯垢を溜めないことがポイント
ポメラニアンの歯の病気を対策するには、「歯石」を作らないことがポイントです。「歯垢」は溜まってから48時間で歯石になります。毎日歯磨きをしてあげて、歯垢を溜めさせないことが大切ですよ。
ポメラニアンは歯のケアが大切!
ポメラニアンは歯が密集して生えている犬種なので、歯のケアは大切ですよ。
歯磨きのしつけは慣れない頃は噛まれたり逃げられたりするかもしれませんが、愛犬の長生きのために根気よくしつけてあげてくださいね。