オランダの国犬であり、かつて船舶の番犬として活躍したキースホンド。現在はペットとして世界中で親しまれています。
この記事では理想的な家庭犬とも称されるキースホンドの性格や特徴、価格、注意する病気についてまとめました。
目次
キースホンドの歴史と特徴は?
歴史
キースホンドは数百年に渡りオランダで愛好されてきました。スカンジナビア半島の北方犬がドイツに渡り「ウルフ・スピッツ」となり、さらにオランダにて改良されました。オランダでは長らく運河の停泊船を守る番犬として活躍していたため、かつては「ダッチ・バージ・ドッグ(オランダのはしけ用の犬)」とも呼ばれました。
キースホンドという犬名は、18世紀のオランダ紛争時に愛国党の党首であったキース・ド・ゲスラーがキースホンドを寵愛したことで反体制派のシンボルとなったことに由来します。また、オランダ語で「咬む」を意味する「ケーゼン」、つまり「番犬」という意味に由来するという説もあります。
出典:JKC「キースホンド」
特徴
体高 43~55cm
体重 25~30kg
被毛 ダブルコート
被毛カラー ウルフグレー
キースホンドの体高は43~55cm、体重は25~30kg前後で中型犬に分類されます。
見た目
キースホンドは、正方形に近い頑健な胴体を持ち、口角の上がった口、メガネをかけているようにみえる目の周りのクリーム色の被毛、首回りの飾り毛が特徴的です。
被毛
被毛はダブルコートで短い綿毛のような豊富なアンダーコートと、長く直毛のアウターコートから成り立っています。豊富な被毛は寒さや湿気からしっかりと体を守ることに適しています。被毛カラーはシルバー・グレーのみ認められています。
キースホンドの性格は?
性格
活発
社交的
賢い
忠誠心が強い
警戒心が強い
フレンドリーで社交的
キースホンドは明るく社交的な性格をしています。フレンドリーな性格を持ち合わせているため、子犬の頃から他の動物と一緒に生活をしていれば多頭飼育の環境でも問題ありません。飼い主と共に過ごすことを好むので、一匹で放っておかれるとストレスを溜めこみ、無駄吠えや噛み付きにつながってしまうので室内で飼育するようにしてください。キースホンド本来の性格を引き出してあげるためにも、できるだけ長く一緒に過ごす時間をとってあげてくださいね。
勇敢で警戒心が強い
キースホンドは、飼い主さんに対して忠誠心が強く学習能力も高い犬種です。そのため、初めての方でもしつけがしやすい犬種と言えます。また、初めて合う人間や動物には警戒心を持ち一定の距離をとることがあります。家族のために勇敢に立ち向かうこともあるので、番犬としても活躍できますよ。
キースホンドの販売価格は?入手はブリーダーから?
販売価格
25〜35万円程度
キースホンドを迎え入れる際の販売価格は、25〜35万円程度が相場です。それほど高額な犬種ではありませんが、日本ではまだ馴染みの薄い犬種です。
入手方法
キースホンドを迎え入れる際の入手経路は「ブリーダー」「里親」などを利用してみてください。「ブリーダー」をみつけて犬舎見学の予約をとることをおすすめしますが、国内にはブリーダーがあまり多くありませんので苦労するかもしれません。
ペットショップでの購入は難しく、一部の大規模なショップでしか店頭販売はしていない場合が多いため、出会う確率は非常に低いでしょう。
キースホンドの子犬の選び方
キースホンドの子犬を選ぶ際は、購入時に現在健康面に問題がないかと親からの遺伝性疾患がないかを確認してください。
立ち姿が不自然でないか、痩せすぎていないかといった点をブリーダーさんに質問することをおすすめします。
後述しますがキースホンドは遺伝性疾患である「ファロー四徴症」にかかりやすい犬種ですので、親犬の血統などを質問しておくといいですよ。
キースホンドの寿命は?かかりやすい病気、ファロー四徴症とは?
寿命
12~14年前後
キースホンドの平均寿命は12~14年前後です。中型犬としては平均よりも少し長寿な傾向にあります。
病気
股関節形成不全
皮膚疾患
ファロー四徴症
てんかん
キースホンドは比較的健康な犬種ですが「股関節形成不全」「皮膚疾患」「ファロー四徴症」「てんかん」などに注意が必要です。
股関節形成不全
「股関節形成不全」は、股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。原因は遺伝的なものと、肥満や激しめの運動があげられますので、幼犬期から過剰な運動と肥満に気をつけるようにしてください。
皮膚疾患
「皮膚疾患」の対策は手入れの時に絡んだ毛を解きほぐし死に毛をきちんと取り除いてあげることです。日々のケアをしっかり行うことで発症のリスクを減らすことができます。
ファロー四徴症
「ファロー四徴症」とは、19世紀後半にフランス人医師「エティエンヌ・ルイ・アルチュール・ファロー」が発見した先天性心奇形です。心臓の形状が異常で、呼吸困難や貧血を頻繁に起こす疾患です。自然治癒は望めないので、投薬による症状緩和や運動制限、重度の場合は手術が必要になります。命に関わる病気なので、早期発見が重要です。少しでも気になることがあれば、早めに動物病院を受診してくださいね。
てんかん
「てんかん」は、脳機能に異常が見られる病気であり原因ははっきりわかっていません。普通は短時間で回復しますが、長時間回復しなかったり、頻繁に起こる場合は病院で診てもらうようにしてください。
「ファロー四徴症」と「てんかん」は親からの遺伝子疾患なので、事前に検査をしておくようにしましょう。
キースホンドの飼い方は?
飼育環境
キースホンドを日本で飼育する際は、室内飼育がオススメです。飼い主さんと一緒ではない環境の場合は、ストレスを溜め込み問題行動をするようになりますよ。
また、分厚い被毛を持っているので暑さに弱く涼しい気候を好みます。エアコンなどで部屋の温度と湿度に気を使ってあげてください。
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
キースホンドとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
キースホンドを迎え入れる時に最低限揃えておくものは「ケージ」「トイレ用品」「食器類」「首輪やリード」「ケア用品」になります。
その他、「おもちゃ」などを用意してもいいでしょう。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
キースホンドとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
キースホンドの被毛の手入れは、堅い獣毛ブラシを使って週に3~4回程度ブラッシングしてあげてください。毛が大量に抜ける換毛期には丁寧にムダ毛を取り除いてあげてくださいね。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。シャンプーは月に1回程度を目安に行いましょう。皮膚疾患を防ぐためにも、清潔に保つよう心がけてくださいね。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシで、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
キースホンドの散歩やしつけは?
散歩・運動
キースホンドは活発な犬種なので、1日1回、1時間程度の散歩、または散歩に加えてボール遊びなどを交ぜて活発に運動をさせてあげてください。
ただ、暑さに弱い犬種であるため、夏場は熱中症にならないように暑い日中を避けるようにしましょう。他には、ドッグランなどで思いっきり自由運動させてあげてもいいですね。とても喜んでくれるでしょう。キースホンドは太りやすい体質なので、運動不足は大きなストレスになります。食事と運動量のバランスに注意してあげてください。
もしクルクルと同じ場所を回る様子が見られた場合、もっと刺激的な運動を欲している表現だといわれています。見逃さないようにしてあげると愛犬との関係性がより深まるでしょう。常にコミュニケーションをしっかり取って、愛情を沢山注いであげてくださいね。
しつけ
キースホンドは賢く忠誠心も強いので、しつけやすい犬種です。スピッツ犬種によく見られる独立心の強さを持ち合わせているので一貫した態度で主従関係を教えてあげることがポイントです。
ただ、高圧的で強引なしつけは反抗心を生んでしまいかねません。褒めてあげることで同時に信頼関係も構築するようにしてみてください。難しいと感じた場合は、プロに相談してみましょう。
しつけは愛犬が穏やかに生活をするために必要なことです。可愛いからと甘やかさず、メリハリを行ってしつけてくださいね。
キースホンドにおすすめのドッグフードは?
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
ドッグフードの場合は裏面に記載されている量を与えるようにしましょう。ただ、体重との換算表は愛犬が「理想体型」であることが前提ですので、太っている子や痩せている子の量は調整が必要になります。子犬やシニア犬の場合も同様で、体形や体質を確認を確認しながら量の調整を行ってくださいね。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
心優しく活発なキースホンド
キースホンドは国内での入手が難しいですが、飼いやすくどんな家族構成の方でもペットとして迎え入れやすい犬種です。初めて犬を飼う方で、珍しい犬種をご検討の方におすすめできます。
また学習能力も高く足元も頑丈なので、アジリティ競技や服従訓練の大会にも向いています。愛犬と一緒に何かに挑戦してみることもできますよ。