サーロスウルフドッグはオランダ原産のウルフドッグで、オオカミと犬の中間のような姿をしています。
狼の特性を強く引き継いでいるユニークな犬種ですよ。
この記事ではサーロスウルフドッグの性格、体重や被毛の特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてまとめました。
目次
サーロスウルフドッグの歴史や基本情報について
歴史
サールロース・ウルフドッグは、Leendert Saarloos氏が作出した犬です。
1932年に「Gerard van derFansenum」とヨーロッパタイプのシベリア系列を起源とする牝の狼と交配、その後、戻し交配して狼の血を1/4もつ基礎個体群を繁殖。新しい犬種となる「ヨーロピアン・ウルフドッグ」を作出しました。
その後1975年に犬種として公認、名前は作出者に敬意を表して「サールロース・ウルフドッグ」と命名されています。
狼犬とは
狼犬とは、イヌ(ジャーマンシェパードやシベリアンハスキー)と狼の交雑犬のことです。
大きさ
サーロスウルフドッグは体高60~75cm、体重41kgほどの大きさで大型犬に分類されます。
外見の特徴
引き締まった柔軟性のある体型をしており、反射神経と運動神経に優れています。
「オオカミのような顔立ち」「鋭い嗅覚」「ジャーマンシェパードのような立ち耳」「ふさふさした垂れ尾」が特徴的ですよ。
サーロスウルフドッグの性格について
性格
忠実
愛情深い
慎重
用心深い
自主性
家族には忠実で愛情深い
サーロスウルフドッグは飼い主家族に対して忠実で愛情深い性格をしています。信頼できる存在には従順な一面をあらわにしますが、初めて会う人間には積極的に触れ合おうとすることはせず、控えめな態度を取ります。また、自主性があり自身の考えや心で感じたことに従って行動する一面が見られるため、信頼関係が築けていないと勝手な行動をする可能性があります。
慎重で用心深い
サーロスウルフドッグは、オオカミ独特の慎重さと用心深さも持ち合わせており、不審な人物が家族に危害を与えようとした場合、守ろうとする勇敢な一面も見られます。また、オオカミは群れで生活をするため、1匹でのお留守番はストレスになります。多頭飼いや屋内での飼育環境を用意する必要がありますよ。犬の特性である従順さと、オオカミの注意深さを兼ね備えた犬種といえますね。
サーロスウルフドッグの寿命と病気について
寿命
10〜12歳
サーロスウルフドッグの平均寿命は10〜12歳です。他の大型犬種と同じくらいですね。
病気
股関節形成不全
膿皮症
胃捻転
サーロスウルフドッグが気を付けたい病気は「股関節形成不全」「膿皮症」「胃捻転」などです。
股関節形成不全
股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。特に大型犬に多い病気と言われています。原因は遺伝的なものと、肥満や激しい運動が原因となる場合もあります。「歩くのを嫌がるようになった」「歩行に違和感を感じる」といった様子が見られるようであれば、病院で診察してもらいましょう。
膿皮症
ニキビに似たボツボツの湿疹ができる皮膚疾患の1つです。免疫力やバリア機能が低下すると皮膚に細菌が入り込んで発症します。日ごろから清潔を保つことや、ブラッシングを丁寧に行うことで予防できます。
胃捻転
何かしらの原因で胃がねじれてしまう病気です。ねじれたことで他の臓器が圧迫され、血液の循環がうまくいかず、結果命を落とす場合もあります。原因は、食後の急な運動や大量の水のみ、早食いなどが関係しています。遺伝的な要因も持ち合わせていますが、日ごろの生活でも発症するリスクは潜んでいます。食事の回数や運動の方法について、飼い主さんがしっかりコントロールする必要がありますよ。
ウルフドッグはウルフホンド協会の監視下に置かれており、健康問題はしっかりと管理されています。が、大型犬のなりやすい病気は気を付けるに越したことはないでしょう。上記の病気の他、「眼の疾患」「脊椎の異常」などにも注意が必要です。
サーロスウルフドッグにおすすめのドッグフードについて
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
肥満は「股関節形成不全」や「脊椎の異常」などを発症する原因になるので、食事と運動とのバランスに気をつけてあげてください。
食事量
普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
サーロスウルフドッグの散歩やしつけについて
散歩・運動
サーロスウルフドッグの運動量はかなり多いです。毎日2回1時間程度の散歩に加え、自転車併走運動やジョギングを混ぜた長距離の散歩、十分なスペースでの豊富な運動を毎日させてください。
しつけ
サーロスウルフドッグをしつけ始めるのは子犬の頃から始めます。
しつけで大切なことは、飼い主がリーダーであるという関係性を理解してもらうことです。この関係性の構築が不十分だと、立場が逆転してしまい、手に負えない猛犬になってしまいうからです。
犬のしつけに関して豊富な経験を持つ方、ドッグトレーナーに預けてしつけしてもらうことも考えてくださいね。
サーロスウルフドッグの生活環境について
飼育環境
狭い空間スペースや1匹でのお留守番が多いとストレスを溜めてしまい、破壊行動をするようになります。また、オオカミのように群れでの生活を好みますので、多頭飼育の環境が適しています。
飼育をする際は、さみしい思いをさせない環境を作るようにしましょう。
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
サーロスウルフドッグとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
歯磨き
爪切り
耳掃除
サーロスウルフドッグとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「歯磨き」「爪切り」「耳掃除」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
ブラッシングは、毎日、換毛期であれば1日2回を目安に行います。スリッカーブラシで余計なアンダーコートを取り除いた後にコームで仕上げます。
シャンプー
1~2ヶ月に1回を目安に行います。シャンプー前にブラッシングで余計な抜け毛を取り除いておくと、毛が絡みにくくなってシャンプーしやすくなりますよ。シャンプーが終わった後は流し残しのないように、丁寧にすすぐことも忘れないでくださいね。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
血管を傷つけないように、爪の先端から少しずつ切るようにします。万が一の時のために止血剤も用意しておくといいですよ。
耳掃除
耳掃除は、耳が汚れているタイミングで行います。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
サーロスウルフドッグの迎え入れについて
迎え入れにかかる費用
50万円以上
サーロスウルフドッグの迎え入れにかかる費用は、50万円以上です。アメリカなど現地に住んでいれば1000~2000ドルで迎え入れることができますが、日本に迎え入れる場合は飛行機などの移動費用がかかり、合計50万円ほどまたはそれ以上かかる計算です。
迎え入れ先
ペットショップなどで販売されることはないため、海外からの迎え入れがメインになります。
ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録数では、2022年は登録がありませんでしたので、日本で繁殖しているブリーダーさんがいるかは不明です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
外見が美しく高い運動神経をもつサーロスウルフドッグ。犬とオオカミのそれぞれの特徴を兼ねそろえた犬種です。
飼育にはかなりの根気が必要ですが、手間がかかるからこそ心の距離も縮まったときの喜びは何にも代え難いですよ。
興味がある方はドッグショーなどを観に行くところからはじめてみてくださいね。