今回は、東京都世田谷区を中心に活動をしている、NPO法人 いぬねこプロジェクトさんを取材しました。
今回取材した方
今回取材したのは、「NPO法人 いぬねこプロジェクト」の「渡邊裕樹」さんです。保護団体の代表を務めています。気さくな方で、とても話しやすい方でした。
渡邊さんは、保護活動歴が今年で約12年になるそうで、長く活動されています。
活動のきっかけ
動物保護団体を立ち上げたのは、先輩に誘われて東日本大震災でのボランティア活動を手伝ったことがきっかけだそうです。
代表の渡邊さんには、社会貢献事業にまつわる先輩がおり、その先輩からボランティア活動に誘われました。東日本大震災でのボランティア活動では、人だけでなく、取り残されてしまった動物たちも救っていたそうです。当時は動物たちの状態もひどい状況でした。そこから次第に動物たちの保護活動も行ってきました。
かつて渡邊さんが所属する社会貢献事業では動物愛護団体はありませんでしたが、立ち上げの話があり、現団体代表の渡邊さんが代表を務めることになりました。
保護団体について
スタッフの数
スタッフさんの数は、コアメンバーとして各支部と各シェルターに2人ずつ在籍しているそうで、合計で15人いらっしゃいます。動物保護に関わっているボランティアさんは全体で50名いらっしゃいます。もともと、シェルターなどのお客様の里親になった方でお手伝いに来られている方もいるそうで、繋がりが強いと感じました。
犬猫の数
保護されているわんちゃんの数は、各シェルターと各支部を合わせて約30頭ほど保護されています。保護されているねこちゃんの数は、各シェルターと各支部を合わせて約40頭保護されており、わんちゃん、ねこちゃん合わせて約100頭保護しています。
(保護活動や譲渡も行われているため、数は流動的です。)
活動の拠点
シェルターや支部があるのは東京都です。
ねこちゃんの保護は様々な場所で行われています。また、世田谷区の保健所ともやり取りをしていて、時には多頭飼育崩壊を起こしている家にも向かいます。
わんちゃんの場合、活動初期は東京都愛護センターから保護していたそうです。嬉しいことに現在では収容されているわんちゃんは減少傾向にあるため、保護が減っているそうです。また、新型コロナウイルスが流行する前は、茨城県のシェルターからも保護していたそうで、東京だけでなく、幅広い地域で活動されています。
支部とシェルターについて
各拠点についても教えていただきました。
各支部では、シェルターのみでの運営は医療費などがかかることから難しいため、街頭活動(募金活動)、譲渡会、外に接する機会を作り、活動費を捻出しています。また、シェルターで多頭飼育ができない感染症を持つ子や攻撃性が強い子、マンツーマンでお世話をしなければならない子を保護しています。慣れるためには3~4年かかることもあり、シェルターに移動できなさそうなわんちゃん、ねこちゃんは団体で責任をもってお世話しています。
シェルターでは、里親を探す、動物の保護、啓蒙の場として活用されています。シェルターは閉鎖的にせず、開放的にしています。里親になれない方にも、今の動物たちの現状を知ってもらうことや、遊びに来てもらうことで支援につながるなどのメリットがあるそうです。この機会にぜひ、足を運んでみてください。
保護活動について
活動内容
活動内容は先ほど述べたように、街頭活動(募金活動)、譲渡会の開催、保護動物のお世話、シェルターの運営をしています。
活動をしていて嬉しかったこと
保護活動をしていて嬉しかったことは、保護していたわんちゃん、ねこちゃんが里親さんのもとへ行った後に、里親さんからお話を聞かせてもらったり、写真をもらうことだそうです。
保護された動物には3つの顔があるとお話ししてくださいました。まず、1つ目の顔は、保護した当初の顔。2つ目の顔はシェルターでお世話をしているときの顔。そして3つ目の顔は里親さんといる時の顔です。3つ目の安心している顔はどうしてもシェルター内では見ることができません。その3つ目の顔を引き出してくれる里親さんには感謝をしているそうです。
また、家族の会話の中心になったり、わんちゃん、ねこちゃんをお迎えしたことをきっかけに会話が増えたなど言ってもらえることも嬉しいことの1つとおっしゃていました。
活動をしていて大変だったこと
保護活動をしていて大変だったことは、周囲からの心無い発言がとても苦しかったことだそうです。活動を始めた当初は、まだまだ動物愛護や動物保護に理解のない時代でした。街頭活動などをされていた際に、心無い発言や罵詈雑言を受けたことがあったそうです。
また、現在でも、動物に対して意識の差があることに対して苦しいと感じることがあるとおっしゃっていました。まだまだ動物愛護に対して、意識を向上していくことは大切だと感じます。優しい輪が広がっていくといいですね。
活動をするうえで大切にしていること
団体全体で、活動をするうえで大切にしていることは、動物のことをなるべく優先にすることを当たり前にすることだそうです。また、できる限り、多くの動物たちがいぬねこプロジェクトで保護されて少しでも幸せで健康に暮らしていけるようにすることを団体として大切にされています。
渡邊さん個人として大切にされていることは、支援者さんのことを忘れないようにするということだそうです。活動するにはお金がとてもかかりますが、支援者さんの寄付で、活動ができているということをしっかり考えていらっしゃいます。いぬねこプロジェクトを信じて寄付してくれた気持ちに報いるような動きができるように心がけているそうです。
記憶に残っている出来事
記憶に残っている出来事もお聞きしました。
初めて東京都の動物愛護センターに行ったとき
もともと渡邊さんは東日本大震災でのボランティア活動をされていましたが、その時は被災地から保護されたある程度ケアされた動物を東京で引き取る役割をしていたため、ケアがされていない動物たちを見たのが動物愛護センターに行った時が初めてでした。当時は小さいケージに動物たちが詰められているような状況で、渡邊さんは、このままではいけないなと感じたそうです。
初めて多頭飼育崩壊を起こしている現場に行ったとき
多頭飼育崩壊を起こしている家では、匂いもすごく、床中排出物だらけで床に餌がまかれている状況だったそうです。他にもこのような事例があると思い、当時はぞっとしたそうです。渡邊さんは動物だけでなく、人も幸せになることが重要だとおっしゃっていました。そのため、多頭飼育崩壊を起こしているその人を責めずに、どうしてそうしてしまったのか背景を考えることが大切とおっしゃっていました。
これからについて
ボランティアを始めたい人に向けて
現在の動物愛護では、これが正解というものが現状なく、答えを探っている状態だそうです。そのため、様々な考え方をもって活動している方がいます。最初の入り口は大変かもしれませんが、様々な人、様々な団体に話を聞きに行って、自分の動物愛護像と合うか鑑みて活動するのがよいのではないかとおっしゃっていました。また、自分に無理のない範囲で、自分の考えにマッチして協力できる仲間を見つけて1つずつ取り組むことも大切だそうです。
最初はだれしもわからないことだらけです。ですが、恥ずかしがったり、怖がったりせずに聞きに来てほしいとアドバイスをいただきました。
今後について
今後は、特定の大変な場所にコミットすること、活動費集めをうまく行いたいそうです。また、シェルターの来場者数を増やし、譲渡数も増やしていきたいそうです。ちなみにここ最近でのシェルター来場者数は1週間に50~60人ほどです。
最終的な目標としては、もともと活動初期は殺処分0を目指していたそうですが、それ以前に、「動物を飼うこと」ということを皆さんに考えていただきたい思いがあるそうです。シェルターなどでわんちゃん、ねこちゃんと触れ合った人たちが触れ合った後に考えるきっかけの種まきになっていればいいなとおっしゃっていました。
NPO法人 いぬねこプロジェクトの情報
ホームページ | https://inunekoproject.or.jp// |
各支部、各シェルターにアカウントがあります(詳しくはHPで) | |
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