ジャーマンピンシャーの性格、体重や被毛の特徴は?寿命や病気、飼い方、しつけや歴史は?

ジャーマンピンシャー

ジャーマンピンシャーは主にネズミ駆除や家畜の護衛犬として活躍したドイツ原産のピンシャー犬種です。爆発的な人気があるわけではなく頭数は少なめですが、ドイツ国外でも使役犬やショードッグ、ペットとして愛されていますよ。

実はドーベルマンの先祖にあたる犬種であり、ドーベルマンはジャーマンピンシャーを元に作られたのです。

この記事はそんなジャーマンピンシャーの基本情報である歴史・体重や被毛の特徴、性格、寿命や病気、飼い方、しつけについてまとめました。

 

ジャーマンピンシャーの基本情報は?

ジャーマンピンシャー

歴史

ジャーマンピンシャーは1880年にはドイツで犬種認定をされたので、約140年前から存在しています。ネズミ退治や、家畜の防衛のための犬として活躍してきました。

祖先は、「ラフコーテッドピンシャー」と呼ばれていた「スタンダードシュナウザー」と同じです。「ミニチュアピンシャー」や「シュナウザー」、「ドーベルマン」の先祖にあたる犬種です。

出典:JKC「ジャーマン・ピンシャー」
出典:若山正之監修「まるごとわかる犬種大図鑑」
出典:ブルース・フォーグル著/福山英也監修「新犬種コンパクト図鑑」

体重や被毛の特徴

ジャーマンピンシャーの特徴

体高 41~50cm
体重 11~16kg
被毛 つややかなスムースコート
被毛カラー ブラック・アンド・タン、レッド

ジャーマンピンシャーは体高41~50cm体重11~16kg前後中型犬に分類されます。

見た目

筋肉質で引き締まったスクエア型の体つきをしており、シワが寄った額と半垂れ耳、飾り毛のない先細りの垂れ尾が特徴的です。

耳は断耳して立たせ、尾は短く断尾されている場合がほとんどです。これはショードッグとしての外見を優先したわけではなく、ネズミに噛まれたり、傷口が膿んで感染症にかかったりすることを防いだ、当時の処置の名残です。

被毛

被毛はつややかなスムースコートで、カラーはディア―・レッド、レディッシュ・ブラウン、ダーク・レッド・ブラウンなどの赤みが入ったブラウンや、黒を基調としたブラック・アンド・タンなどがあります。ブラック・アンド・タンはブラウンやレッドが入り、深みがありはっきり見分けられる毛色が望ましいとされています。

ジャーマンピンシャーの性格は?

ジャーピンアイ

性格

ジャーマンピンシャーの性格

従順
愛情深い
陽気
活発
やや頑固

愛情深く活動的

ジャーマンピンシャーは、飼い主に対して愛情深く従順な性格で、陽気で活発に動き回ります。賢い犬種なのでしつけはしやすいですが、やや頑固な一面がありますので、いうことを聞かないこともあるでしょう。飼い主家族に対して、友好的な態度をとる人や犬には仲良く接してくれますよ。遊ぶことが大好きでなの子供とも仲良くできますが、甘噛みの癖があるので怪我を防止するためにも早い時期からしつけてあげてくださいね。豊富な運動量が必要になりますので、十分な時間を確保できる人に向いている犬種です。

勇敢で警戒心が強い

ジャーマンピンシャーは、物怖じしない勇敢さも兼ねそろえています。また知らない人には警戒心をあらわにし、吠えることがあります。番犬としても向いている犬種と言えますが、無駄吠えが増えないよう、しつけや人間に慣れさせるといいかもしれませんね。そのためには、子犬の頃から様々な場所に足を運び、多くの人間や動物に会う機会を作ってあげるといいですね。

 

ジャーマンピンシャーの寿命や病気は?

ジャーマンピンシャー

寿命

平均寿命

12~14年前後

ジャーマンピンシャーの平均寿命は12~14年前後です。中型犬としては平均的です。食事や運動に気を付けることで、寿命を延ばせるかもしれません。

病気

気を付けたい病気

股関節形成不全
遺伝性白内障
フォンヴィレブランド病
進行性網膜萎縮症

ほとんどのジャーマンピンシャーは戦後70年の短い間にわずか5頭の犬から繁殖・育種された個体なので、特に親からの遺伝に異常がみられる「遺伝性疾患」を起こしやすい犬種といえます。具体的には「股関節形成不全」「遺伝性白内障」「フォンヴィレブランド病」「進行性網膜萎縮症」に注意が必要です。

股関節形成不全

股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。「股関節形成不全」は親からの遺伝だけが原因ではなく、肥満でも発症のリスクを上げてしまいます。飼い主さんが運動と食事のバランスに気をつけてあげる必要があります。

遺伝性白内障

遺伝性の白内障の場合、若いうちから発症する場合や生まれた時からすでに発症している子もいます。迎え入れる際は事前に調べておく必要があります。

フォン・ヴィレブランド病

遺伝性疾患の1つで、止血に必要なフォン・ヴィレブランド因子が機能低下し、血が止まりにくくなる病気です。原因は遺伝性なので、フォン・ヴィレブランド病を発症する犬種を繁殖させない方法しか予防策はないと言えます。症状が起きた際は輸血などで正常な因子を補充する方法がありますので、違和感を感じた場合はすぐに病院へ行きましょう。

進行性網膜萎縮症

物や形を認識するために必要な膜が薄くなることで、失明へ至る目の病気です。「進行性網膜萎縮症」には有効な治療法がありません。長い時間をかけてゆっくりと進行していくため、日々愛犬の様子に変化がないか注意してください。事前に必ず遺伝子検査をするようにしましょう。

 

ジャーマンピンシャーの飼い方は?

ジャーピン3

飼育環境

ジャーマンピンシャーは室内での飼育がオススメです。寒さに弱いので、冬は快適な温度に設定してあげて下さい。また、本能的に素早い動きをするものを追いかけることがあります。多頭飼育の環境では、同じ空間での飼育に問題がないかをよく確認し、十分注意してくださいね。

揃えておくもの

準備するもの

飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院

ジャーマンピンシャーとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。

飼育スペース・ケージ

快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。寒さに弱いので、「洋服」を準備しても良いですね。お洒落をしつつも、防寒対策をしてあげましょう。

食器類・床材

ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。

首輪やリード・おもちゃ

散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。

ドッグフードとおやつ

健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。

トイレ用品

屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。

ケア用品

健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。

動物病院

何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。

お手入れ

お手入れ項目

被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り

ジャーマンピンシャーとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。

被毛ケア

被毛は1週間に1度ブラッシングやコーミングをして死毛を取り除いてあげれば十分です。

シャンプー

適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。シャンプーは月に1回を目安に、臭いが気になり始めたら取り入れてあげて下さい。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。

耳掃除

耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。

歯磨き

犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

爪切り

犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。

 

ジャーマンピンシャーの運動や散歩、しつけは?

ジャーピン1

運動や散歩

ジャーマンピンシャーは毎日豊富な運動が必要な犬種なので、散歩は毎日2回1時間以上を心がけてください。

散歩に加えリードを自転車に乗って引っ張ったり、ドッグランに連れて行ったりしてあげると喜びますよ。運動神経がいいので、一緒にアジリティなどのドッグスポーツに挑戦してみるのもおすすめです。

寒さには強くありません。気温が氷点下になると耳が凍傷になるおそれがあるので、冬の散歩は短時間で済ませ室内で遊ばせるようにしてあげてください。

しつけ

ジャーマンピンシャーは訓練性能が高い犬なのでしつけやすい犬種といえます。

子犬の頃から飼い主との主従関係をきちんと教え、服従訓練をしてあげてください。独立心が強いのでしつけを中途半端に行うと、自分勝手に動くようになり、いうことを聞かなくなります。そういった点が苦戦するかもしれません。高圧的にしつけるのではなく、褒めながらしつけてあげることをおすすめします。

飼い主の指示をきちんと理解できる犬なので、来客にも行儀よく接することができるようになりますよ。

社会性を身に着けさせよう

ジャーマンピンシャーの警戒心は番犬に適していますが、その警戒心が育ちすぎるとテリトリー意識の強さから見知らぬ人に吠えるようになります。これを防ぐためには、子犬の頃から多くの人間や動物に多く触れ合う機会を作り、様々な環境に慣れさせることが重要です。社会性を身につけさせることで、日々の生活を穏やかに過ごすことができますので、意識してみてください。

 

ジャーマンピンシャーにおすすめのドッグフードは?

総合栄養食と一般食

ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。

手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。

食事量

ドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。

ごはんを食べない・・・どうすればいい?

ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。

この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。

トッピングをしてみる

まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。

フードを食べやすくする

食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。

食器や環境を変える

食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。

動物病院で診てもらう

食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

 

ジャーマンピンシャーを迎え入れる方法は?

ジャーピン2
ジャーマンピンシャーを迎え入れる場合、「ブリーダー」「里親制度」を利用する方法が挙げられます。ペットショップで出会うことは難しいので、どちらかを利用してみてくださいね。

日本でジャーマンピンシャーを扱うブリーダーはあまり多いとは言えないため、タイミングによっては出会えない場合もあります。ジャーマンピンシャーの販売価格や餌代などについてはこちらの記事で解説していますので、気になる方は読んでみてくださいね。

 

初心者の方向けの犬種

ジャーマンピンシャー
いかがでしたでしょうか?

ジャーマンピンシャーの被毛カラーについてですが、欧米の一部で「フォーン&タン」「ハーレクイン」など、もともと存在しない被毛カラーを導入しようと無理な繁殖を行うケースがあります。

淡色やマールなどの被毛カラーを持つジャーマンピンシャーの場合、「先天性疾患」と深く関連している場合がありますので、上記の被毛カラーの子犬の飼育を考えている場合は、再考してみてください。

豊富な運動量が必要なので都内では飼いにくいかもしれませんが、しつけやすく短毛で抜け毛も少ないので、初心者にもおすすめしたい犬種ですよ。

関連記事