ジャーマンショートへアードポインターは俊敏さと力強さを兼ね備えるドイツ原産のポインター犬種です。
現在でも狩猟犬として世界中で愛されていますよ。
この記事では、ジャーマンショートヘアードポインターの歴史、性格、特徴、しつけ、寿命や病気、飼い方についてまとめました。
目次
ジャーマンショートヘアードポインターの歴史や特徴は?
歴史
ナポレオンとの戦いの後、ドイツが統制されたことで領地さえ持っていれば誰でも狩猟ができるようになりました。
鳥だけでなく様々な獣猟に対応できる猟犬が必要となったことで、ドイツオリジナルの猟犬を作出しようという流れになります。スペインやイタリアなどの諸外国から狩猟犬を取り入れたもののイマイチだったため、1800年代後半にイギリス産のポインターを導入して性能を改良。
1870年には犬種の礎となるタイプが確立、ジャーマン・ショート・ヘアーポインターのクラブが設立されました。その後、戦火、戦後の混沌を乗り越え現在に至ります。
出典:藤田りか子 著/リネー・ヴィレス 編集協力「最新 世界の犬種大図鑑」
特徴
体高 58~66cm
体重 20~32kg
被毛 短く硬い
被毛カラー レバー、レバー地にホワイトの斑、ダークブラウンローン
ジャーマンショートヘアードポインターは体高58~66cm、体重20~32kg前後の大型犬です。
見た目
均整のとれた上品な外見であり、スクエア型の体格からは力強さを感じられます。引き締まった筋肉質な体、深い胸、大きな鼻、幅広の垂れ耳、狼爪、足の指の間にある水かきが特徴的です。実猟タイプとショータイプの二種類います。どちらもスリムで引き締まった体つきで外見はさほど変わりませんが、筋肉の付き方が違います。
被毛
被毛は硬く短い毛が密集して生えており、カラーはレバーの単色、レバー地にホワイトの斑、ダークブラウンローンなどがあります。
ジャーマンショートヘアードポインターの性格は?
性格
献身的
従順
陽気
温厚
陽気で優しい
ジャーマンショートヘアードポインターは、飼い主家族に対して献身的で従順、陽気で優しく温厚な性格をしています。気まぐれにいたずらをしたり神経質になったりする一面はほとんど見られませんが、しつけは必要です。子犬の頃から一緒に飼育をしてあげることでより親密な関係になれますよ。
友好的だが縄張り意識が強い
基本的には他の犬とも仲良くなれますが、オス同士だと攻撃的になる一面がありますので、散歩の時などには気をつけてください。縄張り意識と責任感が強く、知らない人や物音に敏感に反応する番犬向きの犬種です。また、獲物を追う本能が残っていますので、本能を満足させるよう多くの運動時間を与えてください。十分な運動時間を確保できる人に向いている犬種です。
ジャーマンショートヘアードポインターの寿命や病気は?
寿命
12~14年前後
ジャーマンショートヘアードポインターの平均寿命は12~14年前後です。
病気
股関節形成不全
心臓病
フォン・ヴィレブランド病
胃捻転
ジャーマンショートヘアードポインターが気を付けたい病気は「股関節形成不全」「心臓病」「フォン・ヴィレブランド病」「胃捻転」などです。
股関節形成不全
「股関節形成不全」は股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。大型犬に多い病気と言われており、変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こすため痛みで動くのを嫌がるようになります。遺伝的なものの他、肥満や激しい運動が原因となる場合もあります。飼い主さんの健康管理が大切になりますよ。
心臓病
「心臓病」には治療法がなく進行を遅らせることしかできません。頻繁に咳をすることがあれば疑いの可能性がありますので、すぐに病院へ行き診察を受けてください。
フォン・ヴィレブランド病
「フォン・ヴィレブランド病」は遺伝性疾患の1つで、止血に必要なフォン・ヴィレブランド因子が機能低下し、血が止まりにくくなる病気です。原因は遺伝性なので、フォン・ヴィレブランド病を発症する犬種を繁殖させない方法しか予防策はないと言えます。症状が起きた際は輸血などで正常な因子を補充する方法がありますので、おかしいなと感じた場合はすぐに病院へ行きましょう。
胃捻転
「胃捻転」は、何かしらの原因で胃がねじれてしまう病気です。ねじれたことで他の臓器が圧迫され血液の循環がうまくいかず、最悪命を落とす場合もあります。原因は食後の急な運動や大量の水飲み、早食いなどが関係しています。遺伝的な要因も持ち合わせていますが、日ごろの生活でも発症するリスクは潜んでいます。食事の回数や運動の方法について、飼い主さんがしっかりコントロールする必要がありますよ。
ジャーマンショートヘアードポインターの飼い方は?
飼育環境
ジャーマンショートヘアードポインターは、飼い主家族のそばで過ごすことを好む犬種なので、なるべく室内で飼育してあげて欲しい犬種です。
脱走癖があることで知られている犬種でもあります。飼い主とのコミュニケーション不足や退屈が原因なことが多いです。普段から愛情を注いで接してあげる事を忘れずに。屋外で飼育する場合は2メートルほどの高さのフェンスを用意すると安心です。
寒さに弱い犬種なので体温管理には気をつけてくださいね。
最低限揃えておくもの
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
ジャーマンショートヘアードポインターとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れ
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
ジャーマンショートヘアードポインターとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛は定期的にブラッシングすることが重要です。毛の絡まりや抜け毛を防ぎ、清潔で健康な被毛を保つことができますよ。週1回程度のブラッシングと、硬く絞ったタオル光沢が出るように拭ってあげれば十分です。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は汚れているタイミングで行います。ジャーマンショートヘアードポインターのような垂れ耳は通気性が悪いため、炎症した場合は悪化しやすくなります。「耳垢が増えた」「耳から悪臭がする」などいつもと違う様子であれば、病院で診察を受けるようにしてくださいね。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
ジャーマンショートヘアードポインターの運動やしつけは?
散歩・運動
ジャーマンショートヘアードポインターの散歩は毎日2回1時間以上を目安に行いましょう。
その他には、ハイキングやフェッチ遊びなどを交ぜて刺激的な運動をさせてあげます。水で遊ぶことが好きなので、暑い季節は安全な場所で泳がせてあげると喜びますよ。
しつけ
ジャーマンショートヘアードポインターは頭がよく忍耐強いのでしつけやすい犬種ですが、狩猟本能を押さえるための社会性は必ず身につけさせてください。
子犬の頃からたくさんの人や動物に会う機会を作ってあげることがおすすめです。独立心が強いので中途半端なしつけを行うと、飼い主のいうことを聞かなくなってしまう可能性があります。同じく子犬の頃から主従関係を教えてあげることが大切です。
しつけは優しく行い、褒めながら長所を伸ばしてあげてください。愛犬が飽きさせないように、短時間のトレーニングを取り入れ興味を持たせながら行うことがポイントです。
ジャーマンショートヘアードポインターにおすすめのドッグフードは?
総合栄養食と一般食
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
肥満は「股関節形成不全」や「脊椎の異常」などを発症する原因になるので、食事と運動とのバランスに気をつけてあげてください。
食事量
普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
ジャーマンショートヘアードポインターの迎え入れ方法は?
ジャーマンショートヘアードポインターはペットショップなどではほとんど見かけることはありません。迎え入れる際は「ブリーダー」「里親」などを利用してくださいね。
それぞれメリットとデメリットがありますので、自分に合った方を選択してください。
万能な狩猟能力を持つ理想的な猟犬
いかがでしたでしょうか。
ポインター種は数ある犬種の中で、最もタフな犬種の1つとされています。検討する際には、飼育環境や飼い主の時間的余裕などを考慮して決めてくださいね。
軽い気持ちで飼うことはできない犬種です。一筋縄ではいかないジャーマンショートヘアードポインターですが、苦労した分だけお互いの信頼関係は深まり、良好な関係性を築くことができますよ。