アイリッシュセッターは、アイルランド原産の大型犬です。
美しい被毛の優雅なルックスが目を引きますよ。猟犬であるため、身体能力の高さや忠誠心が魅力的な犬種です。
この記事では、アイリッシュセッターの歴史や性格、体重や被毛の基本情報から、寿命や病気、子犬価格と迎え入れ先などについてまとめました。
お手入れやしつけなどについてもまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみて下さいね。
目次
アイリッシュセッターの基本情報
歴史
アイリッシュセッターは、セッター種の中で最も古い歴史を持つ犬種といわれています。
正確な起源は分かっていませんが、ヨーロッパ大陸にいたレッド・スパニエルが祖先と考えられています。アイルランドで狩猟犬として作出されましたが、さまざまな改良が重ねられ、健康な体を持ち利口かつ優秀な作業能力と体力のある犬になり、原産国だけでなくイギリス諸島周辺で優秀な狩猟犬として活躍していました。
1800年代初期、アイリッシュセッターの毛色は赤一色以外にも、白地に斑のあるカラーも全てアイリッシュセッターと呼んでいましたが、のちに白地に斑のカラーはアイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッターとして独立したため、1876年から単色の赤いコートだけをアイリッシュセッターと呼ぶようになりました。
出典:JKC「アイリッシュ・セター」、若山正之監修「まるごとわかる犬種大図鑑」、藤田りか子著/リネー・ヴィレス編集協力「最新 世界の犬種大図鑑」
外見の特徴
アイリッシュセッターの体面の特徴は見た目の優美さだけではありません。スリムな体は、筋肉質でとても高い運動能力を誇ります。
狩猟の際に不可欠なスピードとスタミナを持ち合わせた引き締まった体型をしています。
体高・体重
アイリッシュセッターは体高64~69cm、体重27~32kg前後で大型犬に分類されています。
体高とは犬が立った状態で地面から背中までの高さを指します。
スリムな体で軽量ながら、その持久力には目を見張るものがあり、狩猟では1日100km以上の距離を走ることも珍しくありません。
被毛の特徴
アイリッシュセッターの最大の特徴は、マホガニーレッドの美しい直毛の被毛です。
長く伸びた艶やかな被毛とスラリとした体型は、アイリッシュセッターが狩猟犬からドッグショーの花形犬種になれた理由なのです。
耳、脚の後ろ、おなか、胸、尾に見られる長めの飾り毛は優雅さを感じさせるだけでなく、イバラなどにひっかかることなく草木などから体を守ることにも適していますよ。
性格
高い忍耐力
忠誠心
やんちゃ
甘えん坊
アイリッシュセッターの性格は「忍耐力」「忠誠心」「やんちゃ」「甘えん坊」をしています。
忠誠心が高く忍耐強い
アイリッシュセッターは、もともと鳥猟に用いられてきた狩猟犬です。鳥猟には高い忍耐力と飼い主への忠誠心、勇敢さが求められますがアイリッシュセッターはこれらの気質を高いレベルで兼ね備えている犬種です。
甘えん坊な一面も
見た目と気質から、アイリッシュセッターにはクールな印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際には精神的な成熟が遅く子供っぽい性格をしています。甘えん坊な一面もあり、訓練に手こずる場合もありますが、知能はとても高いので一度覚えたことは忘れません。子犬の頃からしっかり訓練を施せば、優れたパートナーとなってくれます。しつけが中途半端になると、イタズラをしたりやんちゃな行動をするようになりますので、一貫したメリハリのあるしつけをするようにしましょう。
フレンドリーで友好的
アイリッシュセッターはフレンドリーな性格をしているので他の動物や子供とも仲良くやっていけます。ただ、体が大きいので赤ちゃんや幼児に偶然ぶつかってケガをさせたり、乱暴的に見える動作をしたりすることもあります。赤ちゃんや幼児がいる家庭での飼育は、性格をよく見て注意深く育ててくださいね。
アイリッシュセッターのしつけや散歩は?
散歩
アイリッシュセッターは豊富な運動量が必要で、毎日朝夕2回それぞれ少なくとも30~60分程度の散歩を心がけてください。ドッグランなどで遊ばせてあげることもおすすめです。
一緒にジョギングをしたり、自転車との並走をさせたりするのも喜びます。フェッチや水泳など様々な方法で運動のバリエーションを増やし、飽きさせないようにしてあげてください。
運動不足はストレスになり、破壊的行動を採ることにも繋がりますので気をつけてくださいね。
ペットとして飼育する際も充分に運動欲求を満たしてあげてくださいね。
しつけ
賢いのでしつけやすい犬種ですが、断固とした態度で一貫したしつけをすることを心がけます。
感受性が強いので、厳しく叱ったり肉体的に罰を与えたりするようなしつけは絶対にやめてください。
自己主張が強く頑固な一面もあるので、幼犬期の頃から服従訓練は徹底して行うことも忘れないでくださいね。
ポジティブレインフォースメントという好ましい行動を誉め、同じ行動を繰り返させる教育訓練法がおすすめで、ご褒美としておやつを与えたり、誉めたりすることで伸ばしてあげてください。
好奇心が強く落ち着きに欠ける一面もあるので、興味を維持させるためにも頻繁にエサやアクティビティを変えることもポイントですよ。
ポジティブレインフォースメントとは?
行動心理学のことであり、日本語では「正の強化」と訳されます。犬の訓練において「褒める」ことに特化し、自発的に良い行動を持続できるようにすることを目指します。
指示したことに対して成功したら「褒める」ではなく、「褒める」ためにどうすればよいかということを覚えさせる訓練になりますので、叱ることや罰を与える事はしません。
アイリッシュセッターの食事は?
ドッグフードをメインで与えたい場合は「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。
選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。
手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。
食事量
アイリッシュセッターに与える食事の量は、ドッグフードのパッケージ裏面に記載されている量を与えるようにしましょう。
ただ、体重との換算表は「理想体型」であることを前提としていますので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要になります。
子犬やシニア犬に対しても、体形や体質を確認しながら量の調整を行ってくださいね。
ごはんを食べない・・・どうすればいい?
ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。
この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。
トッピングをしてみる
まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。
フードを食べやすくする
食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。
食器や環境を変える
食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。
動物病院で診てもらう
食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
アイリッシュセッターの飼育環境やお手入れは?
飼育環境について
飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院
アイリッシュセッターとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。
飼育スペース・ケージ
快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。
食器類・床材
ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。
首輪やリード・おもちゃ
散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。
ドッグフードとおやつ
健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。
トイレ用品
屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。
ケア用品
健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。
動物病院
何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。
お手入れについて
被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り
アイリッシュセッターとの生活をともにする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。
被毛ケア
被毛は定期的にブラッシングすることが重要です。毛の絡まりや抜け毛を防ぎ、清潔で健康な被毛を保つことができますよ。毛の絡みからシルキーな被毛と長さを保つためにも毎日か2日に1回のブラッシングを欠かさないようにします。
シャンプー
適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。
耳掃除
耳は定期的にチェックしましょう。アイリッシュセッターは垂れ耳をしていますので、定期的な耳掃除は大切です。
耳掃除を行う際は、人用の綿棒を使用しないでください。犬の耳の皮膚は人よりも薄く、傷つきやすいです。必ず、獣医さんや動物看護師さんから方法を教えてもらったうえで掃除を行いましょう。
見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。
歯磨き
犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
爪切り
犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。
アイリッシュセッターの寿命や病気は?
寿命
12~13年
アイリッシュセッターの平均寿命は、およそ12~13年です。大型犬の中では平均的と言えます。
病気
胃捻転
股関節形成不全
進行性網膜萎縮症
耳の病気
アイリッシュセッターの気を付けたい病気は「胃捻転」「股関節形成不全」「進行性網膜萎縮症」「耳の病気」などです。
胃捻転
胃捻転は、飼い主が注意することで発症のリスクを下げられます。一回あたりの食事の量を減らし回数を増やす、食前食後の激しい運動を避ける、水をがぶ飲みさせない、過食や早食いなどに注意してくださいね。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
早食い防止のお皿も販売されています。早食いが治らない場合は購入を検討してみてもいいかもしれません。
股関節形成不全
股関節形成不全は遺伝性のことが多いですが、幼犬期の過剰な運動と肥満も発症のリスクを高めるので、年齢に見合った運動量と食事と運動のバランスに気をつけてあげてくださいね。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方や腰を左右に振る歩き方がみられます。
進行性網膜萎縮症
進行性網膜萎縮症は遺伝性の病気で治療法がなく、最終的には失明してしまうので遺伝的に問題のある血統の犬を避けなければなりません。
愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
視界が悪くなるため、家の模様替えを控えるようにしましょう。また、ぶつかったら危ない角にはガードを付けるなど二次的な怪我の防止に努めましょう。
耳の病気
垂れ耳の犬種に多い外耳炎にも注意してください。綿棒とイヤーローションを使い定期的に耳のケアをして耳垢が臭ったり、頻繁に耳を掻いたりするようなことがあれば重症化する前に病院で診てもらうことをオススメします。
アイリッシュセッターの価格や迎え入れ先は?
価格
15〜20万円
アイリッシュセッターの子犬は、15〜20万円程度が相場の目安です。ペットショップにはあまり並ばないので、ブリーダーから入手することが一般的です。
迎え入れ先
アイリッシュセッターを迎え入れる場合は、ブリーダー・里親を利用しましょう。
遺伝性疾患に気をつけたい犬種なので、繁殖業者(パピーミル)を避けて信頼できるブリーダーを見極めることも大事ですよ。近年はインターネットでも子犬を簡単に購入できますが、ブリーダーの犬舎に実際に出向き、自分の目で個体を選ぶことをおすすめします。
選ぶ際のポイントは体型のバランスが良く、立ち姿が立派な個体を選ぶことが大切です。実際に子犬を抱っこさせてもらって、体つきを確かめてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アイリッシュセッターの魅力が少しでも伝われば幸いです。
もしアイリッシュセッターを飼育したいと考えている方は、子犬の状態だけでなく親犬を確認することもオススメです。
親犬を見れば将来の毛並みは予想がつきますし、遺伝的な病気を持っていないかも確認できます。
アイリッシュセッターは遺伝病として進行性網膜萎縮症を持っている場合があるので、親犬の健康についてあらかじめ聞いておくと安心ですよ。ブリーダーはその犬種の深い知識と飼育経験を持つプロなので、不安なことは気兼ねなく質問をしてくださいね。
アイリッシュセッターは賢くてしつけもしやすく、大型犬としては飼いやすい犬種です。しつけが中途半端だと、やんちゃになったりいたずらをするようになるかもしれませんので、子犬の頃からのしっかりとした訓練が重要です。しつけがうまくできるか不安・・・という方は、プロの方に相談することをオススメします。
また、アイリッシュセッターは運動欲求を満たしてあげる必要が大切になります。飼育を決める際は、散歩や遊ぶ時間を十分に確保できるのかという点もよく考えてくださいね。
愛犬と思いっきり遊びたいという飼い主に特にオススメです。