人間の生活をサポートする犬は一般的に「補助犬」といわれ、日本には盲導犬、介助犬、聴導犬の3種類がいます。中でも「盲導犬」は補助犬の約9割を占めるほど頭数が多いですよ。
盲導犬は視覚に障がいを持つ方が、行きたい場所へ安全に歩いて行けるようにサポートをする犬のことです。
道路交通法や体障害者補助犬法で認められているので、特別に電車やバスに乗ったりお店に入ったりすることが認められています。
この記事では日本で活躍する盲導犬の種類、仕事内容、盲導犬訓練士についてまとめました。
日本に盲導犬はどのくらいいるの?
984頭
平成28年4月1日現在で、盲導犬は984頭日本全国にいます。都道府県ごとの内訳をみると、東京にいる盲導犬が最も多くて103頭、2位は大阪で63頭、3位は神奈川で59頭と続きます。
しかし日本国内で盲導犬を希望している視覚障がい者は約4000名いるといいます。都内にいると盲導犬はよく目にする機会が多いですが、現状その頭数はまだまだ不足しているということになります。
盲導犬の種類は?
ラブラドールレトリバー
ゴールデンレトリバー
F1(ミックス犬)
実は日本で活躍する盲導犬は「ラブラドールレトリバー」と「ゴールデンレトリバー」の2種類しかいません。両犬種を親に持つミックス犬「F1」をいれて3種類です。
レトリバー種は人と仕事をすることが大好きな性格の大型犬で、環境適応能力も高いため盲導犬に向いているのです。
大型犬といっても、垂れ耳でアーモンド型の優しい目をしている外見は周囲の人に威圧感を与えにくいですよね。障がい者の方を安全に誘導するのに適しているといえます。
世界で活躍する盲導犬
世界では様々な犬種が盲導犬として活躍しています。「スタンダードプードル」や「ボーダーコリー」「オーストラリアンシェパード」「スタフォードシャーテリア」「ドーベルマン」「ロットワイラー」など多くの犬種がいます。
8000頭の盲導犬がいる世界1の「盲導犬大国」アメリカでは、「ラブラドールレトリバー」「ゴールデンレトリバー」に加え、飼い主に忠実な性格をもつ「ジャーマンシェパード」が盲導犬として活躍しています。
盲導犬の仕事内容は?
指示した方向に進む
道路の左端を歩く
障害物・段差・道角を伝える
盲導犬の仕事内容は「目の見えない方の目の代わりになる」ことです。
具体的には、飼い主が指示した方向に安全に進むサポートをして、なるべく道路の左端を歩きます。また狭い道によくありがちな障害物や段差、道角を発見したら教えてくれます。
盲導犬は道の安全な歩き方をサポートしてくれますが、「カーナビ」のように目的地まで連れて行ってくれることはできません。
盲導犬ユーザーは頭の中で目的地までの地図を描きながら指示を出す必要があります。まさに盲導犬は飼い主さんの目のかわりとなってくれて、共同作業によって目的地まで向かうのです。
盲導犬の訓練士は?資格が必要?
約70名
現在盲導犬の訓練士の数は全国に約70人ほどしかおらず、不足している状況です。
盲導犬の訓練士になるためには高校卒業程度の学力を有している必要がありますが、国家資格があるわけではありません。
盲導犬育成団体(全国11団体・14施設)の職員になり、約1年の研修を受けた後に試験に合格すると「盲導犬訓練士」になることができます。
団体によっては個別に認定する場合もありますが、認定NPO法人全国盲導犬施設連合会に加盟している8団体では各団体から資格審査員を出し審査に合格した者を「盲導犬訓練士」と認定しています。
訓練士の数が少ない原因のひとつに、定期的な職員の新規採用を行っていないことが挙げられます。全国で11ある盲導犬育成施設のどこかに就職をすることが、現状訓練士になるための一番の近道といえます。
盲導犬は命を預かる役割を持つ
盲導犬は飼い主さんの「目」となり、あらゆる日常生活の危険から飼い主さんを守ることが仕事です。そのため訓練士の資格を取ることは大変ですし、犬も盲導犬になるためには厳しい試験があります。
1匹の盲導犬を育てるためには約1年間訓練士のもとで訓練を受ける必要があるのです。70名しか訓練士がいない現状では、視覚障がい者の増加に盲導犬の頭数が追いつきません。
盲導犬訓練士に興味がある方は、「日本盲導犬協会」へ問い合わせてみてくださいね。