凛々しい姿が魅力の日本犬は、昔から根強い人気を誇っています。最近ではタレント犬の活躍により、テレビで見ない日はありませんよね。
そんな日本犬が本当はどんな犬なのか気になりませんか。
この記事では、日本犬の歴史や種類についてまとめました。
目次
日本犬とは?
古くから日本に住んでいる土着犬の総称です。
日本犬の姿は数千年前からほとんど変わっておらず、現代においても犬本来の美しさを見ることができますよ。
日本古来の種類に加えて、外来犬との交配で誕生した一部の犬種も日本犬と呼ばれています。
日本犬の歴史は?
日本犬は、日本の在来犬種として、古い歴史を持っています。起源や形については、縄文時代の遺跡から出てくる犬の骨や、古墳時代の埴輪などから推測できますが、原始的な姿を変えることなく現在に至っていると言われています。
狩猟犬として人間と共に狩りに出て、獲物の追跡や捕獲をしていたほか、家庭犬としても大切にされてきました。
昭和6年から12年にかけては、「日本に特有の蓄養動物」として、6犬種が国の天然記念物に指定されました。
和犬にはどんな種類がいるの?
日本犬の中に「和犬」と呼ばれる犬種がいます。和犬は次の6種類で、天然記念物に指定されています。
秋田犬
甲斐犬
紀州犬
四国犬
柴犬
北海道犬
現存している6種類の他に、「越(こし)の犬」と呼ばれる日本犬もいました。北陸地方原産の優秀な狩猟犬でしたが、1971年に純血種が途絶えてしまいました。
越の犬は狩猟能力を重視して交配が行われていたため、他の日本犬と比べると体格や被毛の色に統一性がなく、固有種として保存するのが困難だったのが原因です。
和犬以外の日本犬の種類は?
天然記念物に指定されている「和犬」の他に、外来犬と交配して作られた日本原産の犬種もいます。
狆(ちん)
土佐闘犬
日本テリア
日本スピッツ
地犬とは?
地犬は代々その土地で飼われ、固有の特色を持っている犬のことです。各地で保存活動が続けられたり、県の天然記念物に指定されたりしている犬種もいますよ。
主な地犬は次の通りです。
川上犬(長野県)
琉球犬(沖縄県)
大東犬(沖縄県)
薩摩犬(鹿児島)
十石犬(群馬県、長野県)
美濃柴犬(岐阜県)
山陰柴犬(鳥取県、島根県)
肥後狼犬(熊本県)
岩手犬(岩手県)
三河犬(愛知県)
他にも様々な地犬が存在していましたが、残念ながら多くが絶滅してしまいました。
天然記念物に指定されている和犬1. 秋田犬
秋田県原産で、日本犬の中で唯一の大型種です。
かつて闘犬が盛んに行われていた時代に、土佐闘犬などと交配し大型化が進められました。骨格が頑丈でたくましく、堂々とした風格があり、「もっとも美しい日本犬」といわれています。
飼い主さんには忠実ですが、闘犬としての本能が残っており、攻撃的な一面も見られます。
被毛は「赤」「白」「虎」があります。
天然記念物に指定されている和犬2.甲斐犬
山梨県原産の中型犬です。
1929年に発見され、原産地の山梨県が「甲斐の国」と呼ばれていたことから甲斐犬と名づけられました。狩猟犬としての歴史を持ち、動きが俊敏で運動能力が高い犬種です。筋肉質で引き締まった体つきをしています。
頑固で気難しいところがありますが、飼い主さんには忠実です。
被毛は「黒虎」「赤虎」「中虎」があり、野山で狩りをする時の保護色になります。
天然記念物に指定されている和犬3. 紀州犬
三重県~和歌山県原産の中型犬です。
イノシシの狩猟に使われていた歴史があり、筋肉質で力強く、瞬発力があります。
忍耐強い性格で家庭犬としての適性も高く、現在では柴犬に次いで飼育頭数が多い犬種ですが、気性が荒い一面も見られます。
被毛はほとんどが「白」で、稀に「赤」「胡麻」「虎」も見られます。
天然記念物に指定されている和犬4. 四国犬
四国地方(主に高知県)原産の中型犬です。
かつては「土佐犬」と呼ばれていましたが、土佐闘犬と混同されることが多かったため「四国犬」と改名されました。
日本犬の中で最も素朴な風貌で、まるでオオカミのような姿をしています。体力・持久力に優れていて、かつてはイノシシ猟で活躍していました。
飼い主さんに忠実かつ冷静な性格ですが、闘争心も兼ね備えています。
被毛は「胡麻」「赤」「黒褐色」があります。
天然記念物に指定されている和犬5. 柴犬
日本犬の中で唯一の小型種です。
飼育頭数が最も多く、日本で飼育されている日本犬の80%を柴犬が占めています。
山岳地帯で小動物や鳥の狩りに使われていた狩猟犬がルーツです。小型ながら力が強く、引き締まった体つきをしています。
警戒心が強い個体から友好的な個体まで性格は幅広いですが、飼い主さんに忠実なのが特徴です。
被毛は「赤」「黒」「胡麻」で、稀に「白」が生まれることもあります。柴犬について詳しくはこちらの記事です。
天然記念物に指定されている和犬6. 北海道犬
アイヌ民族が飼育してきた中型の日本犬です。
「アイヌ犬」とも呼ばれていましたが、天然記念物に指定された際に「北海道犬」が正式名称になりました。
北海道の厳しい環境でも生きられるように、粗食や寒さに耐える強さを持っています。クマやシカ猟で活躍した犬種で、筋肉質で骨格がしっかりしています。
野性味が強く怖いもの知らずで、気性が荒い一面もありますが、辛抱強く飼い主さんに忠実です。
被毛は「赤」「白」「黒」「虎」「胡麻」「黒褐色」です。
日本犬を飼育する時に気をつけることはある?
日本犬の飼育では次のことに気をつける必要があります。
運動量
ブラッシング
しつけ
運動量
日本犬の多くは、かつて狩猟犬として野山を駆け回っていました。身体能力が高く体力があり、毎日十分に運動させないとストレスが溜まってしまいます。
運動不足は無駄吠えなどの問題行動の原因にもなるので、朝夕30分~1時間の散歩は欠かせません。
ブラッシング
日本犬の被毛は、四季のある日本の気候に適したダブルコートです。年2回の換毛期には、びっくりするくらい大量の毛が抜けます。
死毛をそのままにしておくと、かゆみなど皮膚トラブルの原因になる可能性があるので、こまめにブラッシングしてあげてくださいね。
しつけ
日本犬の特徴として、主人と認めた人には忠実ですが、他人には心を開きにくい傾向があります。十分なしつけをしておかないと、攻撃的な一面を見せることがあるので注意が必要です。
しつけるのが難しい犬種といわれることもありますが、日本犬は頭が良く記憶力も抜群なので、飼い主さんの言葉をしっかり聞いてすぐに身につけてくれますよ。
愛情深い日本犬
日本犬は誰とでも打ち解けられる犬種ではありませんが、一度心を開いた相手への愛情深さには驚かされます。
そっと寄り添ってくれたり、まるで子供のように甘えたりと、飼い主さんにとっては本当に愛おしい最良のパートナーとなります。
日本犬の気質をしっかりと理解して、家族の一員として迎えてみてはいかがでしょうか。